坂本龍一さんが生前に都知事に神宮外苑再開発の見直しを訴える手紙を出したことで、外苑のいちょう並木が危機に瀕していることが広く知られるようになりました。それでも、地方に住む者からすると、都内の一角の環境問題とだけしか正直捉えていませんでした。
しかし、『世界』(2024年7月号)の大方潤一郎氏・佐々木実氏による対談記事「神宮外苑再開発とスポーツ利権を問う」を読むと、事業には森喜朗氏や同氏の名代である萩生田光一氏が暗躍していたことが明らかになっています。東京都幹部、三井不動産、日建設計とのつながり、文科省(萩生田文科相時代の事務次官は元JSC理事)やその所管下にある日本スポーツ振興センター(JSC)への影響力、地代が入るようになる明治神宮(2012年当時の三井不動産会長が総代に就任)・JSC・伊藤忠商事の目論見。三井不動産へは行政手続きの骨抜きに関与した都幹部が多く天下りしており、公共空間の私財化に向かった蜜月関係も指摘されています。
詳しくは『世界』の記事を読むことを勧めますが、「貴重な歴史と緑の公共空間を劣化させ、営利企業や宗教法人を儲けさせる事業を東京都が主導している事態を見過ごすわけにはいきません。」と結ばれています。来月の都知事選で「緑のタヌキ」を萩生田氏が推すのも10年以上前から進めていた利権案件があればこそというワケで、この動きはもっと関心をもって見ていく必要を感じました。