「政治資金オンブズマン」代表を務めながら「政治とカネ」にかかわる告発を100件超も行っている、闘う憲法学者の上脇博之氏が、5月4日、自身のXに「長年裏金をつくり続けてきた自民党議員らによって政治資金規正法はザル法の状態のままにされてきた。そのザル法にさえ違反したのが、派閥の政治資金パーティー裏金事件。その裏金議員らがさらに暴走できるようにするために日本国憲法をザル憲法にしようとしている。そうさせないのが真の主権者国民!」とポストしていました。まさにその通りで、そうした連中には憲法は言うまでもなく、一切の法律審議を行う資格はないと考えます。
さらに、議院内閣制であるため、資質を欠く議員らの一部から成り立つ政府についても、その資質についてよく見極める必要があります。上脇氏と同じ憲法学者である長谷部恭男氏が、「世界」(2024年6月号)において集団的自衛権の行使の解釈変更にかかわる2014年の閣議決定の判断能力について正常さを失っていると指摘していました。存立危機事態の存立可能性が実に謎めいた判断となっていて、「たとえ話に即して言えば、外出先と同時に自宅にもいるという事態を想定」していて、「同様に、他国が攻撃されたにもかかわらず、日本が直接攻撃されたのと同様の深刻で重大な被害を受ける事態があり得ると想定」することとなっています。このような存立不可能な事態であれば、集団的自衛権の行使は現実的には不可能(だから先の解釈変更が明白に違憲であると断定することができないというのが2023年12月5日の安保法制違憲訴訟仙台高裁判決の結論)になるのですが、「募っているけど募集はしていない」という謎答弁ができる想定外のあるいは異次元の能力の持ち主レベルの政府だったら、集団的自衛権の行使を思い止まらないでしょう。そうした危うさに国民の生命は晒されているのだと思います。
写真は記事と関係ありません。2024年5月4日撮影。
たとえ話
個別的自衛権の行使のルール(2014年7月の閣議決定前) 牛肉麺を食べるのは日本にいるときだけ。台湾では牛肉麺を食べないことにする。
例外的に集団的自衛権を行使できるルール変更(2014年7月の閣議決定以降) 台湾にいると同時に日本にもいるという例外的な場合には、台湾でも牛肉麺を食べても良いことする。
・原告団の立場 台湾と同時に日本にもいることはできない。こんなおかしなルール変更はできない。
・判決の立場 台湾にいると同時に日本にもいることは現実的に不可能。ルール変更後も台湾では牛肉麺を食べてはならない。実はルールは変わっていない。