日別アーカイブ: 2022年4月13日

蘊奥の窮理

毎年東京大学入学式は注目されて報道で取り上げられますが、昨日午後に行われた東京大学大学院入学式のインターネット動画配信を視聴してみると、新入生の声を拾うよりは、知の最前線に立つ研究者が抱く思いに耳を傾けてみるべきだと思いました。というのも、大学院入学の対象者は修士課程学生と博士課程学生であり、人数から言っても前者の方が多いのですが、式辞を述べた研究者の発言内容は圧倒的に後者に対するものだったからです。実際、修士から博士進学率は1割を割っており研究者はたいへんな危機感を抱いているのだと思います。分かりきった正解を早く導く能力をないに越したことはないですが、この問題が非常に重要だと発見したり、問題解決の選択肢を設定したりする能力が非常に大切で、このレベルに至るには学部卒業ぐらいでは容易ではないと思います。博士号を有する人材が枯渇することは日本の地位の低下のみならず、世界への貢献度・存在感の低下にもつながります。このままではいけないとの思いを強くしました。写真は先端研が入る駒場リサーチキャンパスの風景です。