月別アーカイブ: 2021年9月

見方と向き合い方

このところ知中の研究者の見方に努めて接するようにしています。武力だけを見て武力にだけに頼った一面的な見方では向き合い方を誤ると考えるからです。中国(大陸)の中にあっては分からないこと、発言できないこと、拡散できないことがたくさんあり、無理やり台湾との統一を図るよりも、台湾の存在が生む大陸側にとっての実益もあったりして、ことはあまり単純ではないように思います。写真の本(橋爪大三郎・中田考『中国共産党帝国とウイグル』集英社新書、880円+税、2021年)で感じたのは、中国を知る専門家がまだまだ日本において少ないことでした。同様にイスラム世界についてもまだ知らないことが多く、日本だからこそ動ける場がもっとあるような気がします。

因素工作

写真は次に読む本である、大橋洋一著『社会とつながる行政法入門〔第2版〕』(有斐閣、1800円+税、2021年)です。その前に『中国ファクターの政治社会学』の読後感を少しばかり記しておきます。主に台湾側からの視点で大陸側からの「統一工作」をリポートした著作となっています。ひところは、大陸側から台湾への観光客がたいへん多かったのですが、そうした観光が経済効果についていえば、あまり効率のいいものではなかったことが理解できます。まず中国の観光客は国営系の旅行社が独占して団体ツアーしか催行されません。旅行代金のほとんどは大陸の旅行社に還流します。中国の観光客が立ち寄る台湾現地の宿泊ホテルや土産物店は中国資本か国民党支持経営者の施設に限られます。台湾現地のツアーコンダクターは旅行社からはタダ同然で請けて、なんとか旅程外の土産物店へ観光客を誘導してその店からのキックバックで稼いでいるということでした。統一工作は、ほかにも台湾企業の中国資本による買収が進んでいます。半導体関係やメディア関係への進出が警戒されています。武力誇示以前にさまざまな中国因素が台湾の政治・経済・社会へ浸透しているのをあまり日本では知られていないと思いました。とはいえ相互に依存している関係もあるわけで、大陸の影響力を一切排除するのも非現実的です。警戒しながらも利用できるところは利用して実を取るというのが台湾の考え方だと思います。

話は変わりますが、知らない間に浸透するものとしてさまざまなコンピューターソフトがあります。先日、当ホームページのコンテンツ管理システムが最新のバージョンに自動更新されたがために、ページのデザインかさまざまなプラグインソフトの一部が最新バージョンに未対応のためか、数日間ページが表示されない現象が発生しました。今は復旧していますが、インターネットの世界はそれこそもっと強力な統一工作に日々さらされているのだなと思いました。

著作権相談員名簿に登載されました

このたび、日本行政書士会連合会が作製した「令和 2 年度新規著作権相談員名簿」(2021年3月31日集約)に当職の氏名が登載されました。この名簿は、下記の関係団体へ提出され、著作権業務における行政書士の積極活用の申し入れにも使われています。
<提出先>
・文化庁
・公益社団法人 著作権情報センター
・一般財団法人 ソフトウェア情報センター

写真は記事と関係ありません。

校則は主権者教育の良き教材

本日の地元紙で、昨日の地元市議会でなされた一般質問の話題が取り上げられていました。それによると、中学校の校則でツーブロックのヘアスタイルが禁止されているそうです。答弁に立った中学校長上がりの教育長は「中学校が『華美』と判断したと考えられる」と理由を学校のせいにしたうえで、「生徒が主体的に話し合う機会をつくり、PTAなどへのアンケートも実施して、時代の変化に合わせた必要な見直しをしていく」と見直しの可能性をアピールしてみせました。このツーブロック髪型禁止をめぐっては、昨年3月の都議会でも議論(このときは都立高校の校則)があり、なぜ禁止するのか問われた教育長が「外見を理由に事件や事故に遭うケースがあるため」と発言し波紋を呼んだことがありました。どのような髪型にするかは、まさにその人の個性の主張であり、人権の一つだと思います。自衛隊や警察、消防といった汗をかきやすい現場に携わる人たちにもツーブロック髪型は多いように感じるのですが、それを見て「華美だ」とか「外見を理由に事件や事故に遭うケースがある」とは到底思えません。むしろ教職員が凛々しい若者の姿に一方的なやっかみを感じてこうしたバカげた校則を設けたのではないかと思います。どのような校則が本当に必要なのかまずは生徒自身に考えてもらうことが主権者教育になるかもしれません。
写真は記事とは関係ありません。

専門書の効用

写真は次に手にする本ですが、先日読了した『現代中国経済〔新版〕』には新たに知る情報が多くて日本があるいは世界が中国とどう向き合うべきかを考えるうえでたいへん役立ちました。とにかく巨大な隣国・中国についてまだまだ知らないことが多いのだなと思いました。まず外から捉え切れない理由として各種統計の少なさがあります。公表される統計自体が少ないですし、その統計の取り方に問題があることがあります。特にかつては経済指標の内容が地方党幹部の出世に影響するため、かなり水増しされることがありました。そのため、統計分析においても数字をそのまま受け取るのではなく、かなり補正してより実態に近い推計を出すことが求められます。
他にも数字の伸びを競うために市場の求めとは関係なく生産されたこともありましたし、材料の供給網が非効率であったこともあります。党員が3人以上いれば企業内に党支部が置かれ、経営者とは別の人間が権力をもつ、いわば二重権力の問題もありました。沿岸部と内陸部の発展格差の問題もあります。反面、日本における眼鏡産業の福井県鯖江市、金属洋食器産業の新潟県燕市のように、中国には単一の産業が集積した都市(バルブの温州市)が多数あるのも特徴です。これは儲かる産業が見つかると、そのノウハウを周囲の人と共有し、教え合う文化が盛んであることのようです。知的資産に対する考え方が世界とは違うようです。
このように外から見ても分からないことが多い具合ですから、中国国内でも経済政策の運営は相当難しいのではと思います。とはいえ、巨大な市場がそこにあって自国だけではどこの国も生活していくのは苦しいわけですから、経済的な付き合いは止めらないのが現状です。軍事力だけを誇示してもそれらは生産的ではなく武力が豊富であるほど無用な食い扶持がさらに必要になるわけで、ましてや国民の負担が増えれば、対外問題より内政の不満解消に努めなければたいへんなことになります。民間の経済交流で国際関係を良くする道の方が断然得だと思います。