日別アーカイブ: 2021年3月5日

石牟礼展から

作家・石牟礼道子さんの足跡を辿る展示が、くまもと歴史・文学館で開かれていて、先日近くに用があった際に見てきました。石牟礼作品についてはもちろん評価する人は多いと思いますが、私にとってはかなり苦手な作家です。とてもではないですが、私だったら書き尽くせない表現力をもっていて、それこそ現世を超えたところがあるためです。かつてそれを評して石牟礼巫女説もあったのを記憶しています。石牟礼氏の功績として水俣病被害の実態に衆目を集めたこともありますが、その後の行政や司法との関係でどれほどの力があったかというと、評価はまた別だと思います。とにかくシステム社会で通用する言葉を繰る方ではないので、被害者救済の旗手として何かを求めるのはもともと無理な話だと思います。
今、森本あんり著の『不寛容論』を読んでいるのですが、日本にとって最も関係性の深い国家である米国の歴史についてどれほど知っているかというと、黒船来航以来がほとんどで、せいぜいが独立宣言以後だと思います。英国の植民地時代の入植者たちにどのような思想があったのか、考えたことのある日本国民は少ないと思います。
石牟礼作品では、水俣の漁村民の暮らしを描いていますが、米国建国前の入植者たちの世界と同じで、水俣に暮らす人たちの世界観を初めて言葉にした衝撃を感じます。語弊があるとは思いますが、どの時代、どの地域の民衆にも思想があるということすら、現代人は知らないし、驚きなのかもしれません。