独裁者の失脚のさまを見るのは、その体制で甘い汁を吸っている取り巻き以外の人にとっては痛快なのだろうと思います。ドラマの世界ならなおさらそうだと思いますが、得てして現実はそれら取り巻きを含めた新しい独裁者に取って代わられるのがオチで、なかなか民主化へ進むのは歴史的にもレアです。ことに外国に強制された政権交代の実績は惨憺たるもので、過去100年間に米国が行った政権交代作戦の11%ほどしか民主体制の確立につながらなかったと以下の書のp.237にあるくらいです。
マーセル・ディルサス著の『独裁者の倒し方 暴君たちの実は危うい権力構造』(東洋経済新報社、2200円+税、2026年)を読んでみる気になったのは、3月21日の朝日新聞に掲載された書評がきっかけです。評者は同紙文化部記者で、本書を身近な話として読める部分があるとして、「忠実に見えるという理由で無能な役人たちを独裁者が昇格させると、政権の上層部は権力にけっして近づくべきでない人だらけになる」(p.68)を引用し、「あなたの会社に、そんな社長はいませんか」と結んでいました。ひょっとしたら、評者の勤務先に対するグチなのかと勘繰りました。
確かに会社にも独裁者はいるでしょうが、権威主義国家と異なり社員の命を取る暴力装置まで備えているのはさすがにないでしょうし、私服を肥やしし過ぎると市場からも見離され、会社自体の存立が行き詰ってしまいます。私企業の独裁者を倒すのははるかに容易だと思います。
そうした中、本書で紹介している希望が持てる情報としては、抵抗運動の「3.5%ルール」というものがありました。これはハーヴァード大学のエリカ・チェノウェスが命名した法則で、「戦闘や一般大衆によるデモ、その他の大規模な非協力的行動のような、観察可能な突出した出来事に国民の3.5%が積極的に参加したときに、失敗した革命は1つもない」(p.165)というものです(ただし、1962年のブルネイでの叛乱と2011-14年のバーレーンでの抗議活動は例外的に失敗したともチェノウェス自身が指摘しています)。
ところで、一応民主主義国家である日本国内における政治参加というのは選挙での投票行動だけとは限りません。他にも手軽で楽しい方法があるものです。
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