エッセー」カテゴリーアーカイブ

躺平族という希望

次に読む本は、表紙写真の『米中対立』。米中関係を踏まえて日本の針路を考えるときに、米国をリーダーとする陣営に与する議論が多いのですが、果たして手段はそれだけなのかという思いもします。急速に高齢化して成長スピードが減速する見込みのある中国が、実際に専制主義・覇権主義一辺倒を継続できるのか、疑問に思えることもあります。国の指導部だけで考えるのではなく、国民の動向も注意深く見る必要を覚えますし、そうした国民にどう国際社会から接していくかということも重要です。最近の中国の若い世代の「家を買わない、車を買わない、結婚しない、子どもを産まない、消費しない」という「寝そべり族」(躺平族)という存在は、かなり日本の若い世代と親和性があり、政治関係とは異なる結びつきが生まれる可能性があると感じます。

開会宣言で見えた演出

昨夜の東京五輪の開会式の模様は23時台ごろから視聴しました。面白かったのは、名誉総裁が起立して開会宣言を述べ始めてから慌てて開催都市の知事が立ち上がり、それに気づいて出し抜かれた開催国首相が腰を上げたシーンでした。こればっかりはどんな演出家も考えつかず、都知事と首相の人間性が一瞬にして切り取られた名シーンだったと思います。第一に、名誉総裁が起立する前に率先して立って宣言を待つという礼儀を二人は持ち合わせていない点が見てとれました。第二に、都知事が首相に起立を促すでもなく、我先に出し抜いてやろうという悪意が垣間見えました。第三に、基本的な礼儀に無知であり、追随しかできない無能な首相の資質を世界へ示してくれました。コロナの祭典の一場面として記憶にとどめたいと思います。

世界の見取り図

今読んでいるのは、内田樹氏と姜尚中氏による対談本の『新世界秩序と日本の未来』(集英社新書、860円+税、2021年)。根拠も出所も不明な陰謀論に惑わされたくなかったら、顔出しして史実を踏まえながら流れを説明できる学者の意見に接した方が役に立ちます。立ち位置や相手とのかかわり方というのは、周辺への影響も考えながら決めていくべきだと思います。

学校と社会の常識格差

先日、3年ぶりに開かれた地元小学校との情報交換会に参加する機会がありました。常日頃、学校での常識と社会の常識との格差を感じる点があって、意見を述べさせてもらいました。
1.法的義務を果たしているか? 例に挙げたのが、学校におけるいじめ防止対策委員会の活動についてです。いじめ防止対策推進法では、学校内だけではなく外部の専門人材も入った委員会の設置義務があるのですが、当該校ではこれが果たされていませんでした。学校内のメンバーだけでの委員会ではどうしても学校長の判断が優先され、組織的に適切な対応ができないことが多く、仮にいじめ事態が発生しても対応を誤る可能性が高くなります。コロナを理由に外部人材を入れていませんでしたが、法的義務を満たしていない点では変わりありません。
2.施策の効果を考えているか? 当該校では環境教育の一環として「無言そうじ」を取り入れているのですが、結びつき理由が不明です。この「無言そうじ」は福井県の永平寺の修行僧らが黙々と掃除を行うことにならったものですが、おそらく修行僧らは環境保護のために行っているのではないと思います。社会の常識では、たとえば10分間の時間いっぱい黙々と清掃活動を行うことに意味を見出しません。それよりは、メンバー同士でコミュニケーションをとりながら効率的に清掃を行い、10分間という時間いっぱいかけるのではなく、5分間で終わらせて残りは自由に使える時間を作ることが、メンバー全体の利益にもなります。つまり、無言そうじは、子どもたちにロボットとして動かすことでしかないように感じます。子供たちに校則を作らせようとしている熊本市のある教育委員は、この無言そうじを否定的に捉えていますが、私も同意見です。
3.現実の把握能力、説明能力があるか? 今年度から当該校の学校運営協議会の委員を外れたのですが、毎年実施されている学校評価の分析についても奇怪な点があるので指摘させてもらいました。項目ごとに「4点:そう思う、3点:ややそう思う、2点:あまりそう思わない、1点:そう思わない」で評価した点数の平均点を、0~4点の横棒グラフで示されています。この評価点方式では、平均点3点以上でプラス評価となるのですが、横棒グラフの中心値が2点となっているために、平均点が2点台のマイナス評価であってもプラス評価であると誤認させる視覚効果を持たせています。評価コメントでも合格点である3点を割った結果についてもプラス評価しています。せっかくアンケートをとっても結果を正しく捉えていなかったり、不当に高評価へ見せるのでは、意味がありません。分析力がないのか、だまそうとしているのか、不信感を持たざるをえませんでした。

科学と報道と政治

私も含めて大半の国民は学者でもジャーナリストでも政治家でもありません。政策が決定し法制化されるまでには、さまざまな知見の発表・報道があり、国民よろんの後押しもあって政治判断があってのこととなります。しかし、問題なのは既存利益を得ているグループは、これまたさまざまなロビイストを使って世論操作をして巻き返します。その場合、学者の活用がなされますが、たとえ肩書が教授だろうが、研究員であろうが、中には博士号も持たずもちろん論文も書かず学会発表の実績がない人もいます。学会には属せず、実態不明な○○会議、○○研究所の肩書頼りの例もあります。そのため、ある分野の学会では常識的な見方として確定しているのを隠して、あたかも学者の意見で大きな対立があるかのような宣伝を行うことを仕事にしている人もいます。そうした人についてはメディアでの露出を控えてもらいたいものですが、外見やトーク力だけで影響を及ぼしがちです。写真の本を読み終えてエセ学者に騙されないようにしなければとつくづく思いました。

独善主義と権威主義は同根

先日の中国共産党創立100周年での主席の演説を聴いてみると、強国志向の一点張りで他国からの説教は一切受け付けないという独善性が目立ちました。もともと党の存在自体を絶対的な指導組織と位置付けている中で、指導者個人も不可侵の存在として言っているようなもので、危なっかしいなあと思いました。『キッシンジャー回想録』を読むと、開放改革路線を築いた鄧小平がキッシンジャーに対して、毛沢東は7割は正しかったが、3割は誤っていたという評価を語っていたことが明らかになっています。鄧小平の見てくれは小柄なうだつの上がらない老人でしたが、若いころにフランス留学歴があり、英語も解していました。キッシンジャーもハーバードで教鞭をとっていた学者ですし、双方の資質と現主席を比べてみると、現主席の小物感は否めない気がしますが、それこそ我が国もどうかという話になりますので、この辺で止めておきます。

農家のうつは高いのか

けさの地元紙で農家のうつ病発生率が一般よりも高いという研究報告を紹介していました。この場合の農家は、農業経営者という立場の人たちで、天候不順による収量の低下や収入の減少、周囲に同業者が少なく相談相手がおらず孤立していることがストレスの原因とありました。なんとなくわかるようであり、いや被雇用者のストレスも高いのではという思いもありました。一つ確実に言えることは、気象変動は農産物の収量に影響しているし、今の農業と流通、消費のあり方は気象変動の要因になっていて政治としては非常にストレスの高い課題だと思います。

不正受給を行うバカは希少

家賃支援給付金の不正受給に手を染めた官僚がいたと聞いて、文字通りキャリアを失うバカさ加減に呆れました。きょうの朝日新聞にはその家賃支援給付金と持続化給付金の支払い状況について報じていましたが、発生率からいってかなり希少なバカであることがわかりました。
給付(3月まで) 家賃支援:104万件(9千億円)、持続化:424万件(5兆5千億円)
自主返還(6/24時点) 同上:925件(6億7600万件)、同上:1万3436件(144億1300万円)
不正認定(5~6月時点)同上:8者(1122万円)、同上:118者(1億1788万円)
金額的にもこうした不正受給は、返還を求められますから、バカが儲けるということはありません。税金ドロボーという点では、事件にかかわった国会議員の歳費の方が取り戻せないので、はるかに悪質です。同じ日の朝日新聞でこの問題を扱っていましたが、国民の被害額は以下の通りです。
参院選広島選挙区巨額買収事件 当選無効となった人物への約1年半の支払額:4942万円
東京10区公選法違反事件 略式起訴で辞職した前衆議院議員の期末手当:314万円

 

 

総合知が問われる

今度読む本は『グリーン・ニューディール』。脱炭素社会の実現には再生可能エネルギーを発生させるだけでなく安定供給のシステムも重要です。脱炭素(あるいは低炭素)の一つの側面だけではなく、総合的に地球への負担はどうなのか、まさに総合知が問われます。環境破壊リスクという面では、さまざまな兵器の実験を含む使用も大きな影響があると思います。対話する能力も大切です。

林檎殺人事件の歌詞がよぎってしまう

中満泉著の『未来をつくるあなたへ』(岩波ジュニアスタートブックス、1450円+税、2021年)の最終章で著者が考えるリーダーの資質が4点挙げられていました。リーダーと言えば、政府や政治家をまず思い浮かべますが、企業や学校など大小を問わずさまざまなかかわりになかに存在するものです。以下の4つの観点からリーダーの言動を観察してみるのも面白いものだと思います。権威に寄りかかるしか能力のない人は、往々にして取り巻きをはべらして話しますし、都合の悪い質問には逃げるものです。
1.先が読めない時だからこそ、歴史を理解しつつ、未来を常に考え、ビジョン(見通し)を持つこと。
2.大きな変化や大転換を恐れず、それを可能にする勇気(モラルコンパス)と決断力を持つこと。
3.多様な意見の存在をプラスと考え、耳を傾ける余裕と柔軟さを持ち、変革を進める力にする能力を持つこと。
4.多くの難しい問題を抱える今だからこそ、常に誠実であること。

ところで、香港のアップルデイリーの廃刊のニュースからの連想で、林檎殺人事件の歌いだし「アア 哀しいね 哀しいね」が頭をよぎります。香港関連のメディア報道の際に流してみるのもいいと思います。

未来をつくる議論をしているか

これから読む本は、中満泉さんの『未来をつくるあなたへ』。タイトルからうかがえるように主に若い世代向けに書かれた本ですが、いずれも放置すれば未来を破滅させる問題を取り扱っています。著者だけでなく、これらの問題に立ち向かい、賛同して行動する人類が多いにこしたことはありません。どう伝えたらよいかを学びたいと思います。

夫婦同氏の強制は何のため

一昨日、最高裁大法廷は夫婦別姓を認めない判断を出しました。家事審判の申立者の訴えは、夫婦同姓を求める規定は「法の下の平等」を保障する憲法14条と「婚姻の自由」を定めた24条に反するというものでした。裁判官のうち4人は、現在の仕組みは「婚姻を希望する者に夫婦同氏(姓)を強制している」と指摘し、24条違憲としました。夫婦同姓を強制されるなら婚姻ができない人が生じるなら、やはり婚姻の自由を阻害することになると思います。イソノ姓とフグタ姓の別姓家族が同居するサザエさん一家の一体感については、国民的理解があるのに、なぜ夫婦が別姓なら一体感が失われると勝手に判断する勢力があるのか、まったく合理的ではありません。日本において夫婦同姓が強制されるようになったのは、明治初期のころです。徴兵制度の導入など、国民管理の都合上、そうなったに過ぎません。紙でしか管理ができない当時と異なり、デジタル管理の時代ともなれば行政が家族関係を把握することは、たとえ別姓でもたやすいことですし、今後同性婚も認められるようになるなら、なおさら別姓を選びたい人が多くなるはずです。個人情報保護が浸透している今日では、社会生活において家族全員の氏名を対外的に示す機会はほとんどありません。根拠希薄の伝統・家族感議論は何に怯えているのでしょうか。婚姻を後押しせずためらわさせることの方がはるかに亡国に向かわさせることになると考えます。

知の巨人のもしも

立花隆氏についてのけさの朝日新聞の「評伝」で興味深かったのが、科学少年だった同氏が「色弱であるために理系に進学できない」という当時の誤った指導により、文系の道に進んだというエピソードでした。「評伝」では、田中角栄を追い詰めた金脈取材で「10年は損した」と語っていたことも触れられています。後に科学分野の取材に熱意を傾けたように、誤った進路指導や金権政治家がいなければ、もっと科学分野で多大な功績を上げた研究者としての同氏の存在があったかもしれません。そもそも指導の過ちが判明したのも科学の成果とするならば、これまでの人材的損失はいかばかりかと思います。

これでは働く魅力がない

けさの地元紙が報じていましたが、「過労死ライン」超えの県職員が、2020年度は延べ1568人に上り、前年度比2.23倍と大幅に増えたそうです。その要因として新型コロナウイルス感染症や7月豪雨災害への対応があるとのことで、熊本地震の対応に追われた2016年度とほぼ同じ水準になったということでした。月80時間を超える時間外勤務が心身にもたらす影響は文字通り人災です。とてもまともな働きができる職場ではありません。これではいい政策も生まれないのではと危惧します。

使えるエネルギーとは

脱炭素社会に向けて水素エネルギーに対する注目が高まっていますが、水素を安価に発生させるだけでなく、その貯蔵や運搬も課題です。今の太陽光発電のように送電に乗せるとなれば、安定供給も問題になります。環境だけでなくコストや技術などいろんな課題があるようです。

難民審査が任せられない

昨日の朝日新聞で入管庁長官のインタビュー記事が載っていました。驚きだったのが、「審査にあたる入管職員が、申請者の母国の政治じょうせいなどの知識を深めることや、申請者の協力を得ながら何が起きたのかを聞き出し、現地情報とつきあわせていくインタビュー手法を習得するなど、資質の向上も課題に挙げた」とあった点です。つまり、難民審査を行う入管職員の資質が欠如していることを認めていることになります。難民といった場合、内戦によるものだけでなく、民族や宗教など、政治情勢以外にも社会、文化情勢もあります。日頃、留学や就労などの側面からの在留資格申請を中心に審査する機関では、こうした海外情勢に疎いのが当然とも思います。職員の中に国際政治を専攻したり、紛争当事国・地域に暮らしてた経験をもつ人は、ほとんどいないと思います。しかも、最初の審査は入管の担当者だけで行われ、弁護士などの立ち会いは認められていません。将来的に立ち会いが認められたとしても、国内法には明るくても国際法や国際政治情勢に明るい弁護士はこれまたほとんどいないと思います。結論から言えば、現在の入管庁に審査を任せるのは無理があり、難民条約が求めるところの人権保護を果たせない不名誉な国に成り下がってしまうことになります。

グローバル・コンパクト

今、滝田賢治編『国際関係学(第3版)』を読んでいますが、そのなかで国連グローバル・コンパクトに賛同する日本企業414団体が参加して形成している、「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」について触れられていました。ここの会員企業・団体について研究してみるのもおもしろいと思います。たとえば、コンビニのローソンを動かしているのは三菱商事ですし、ファミリーマートを動かしているのは伊藤忠商事ですが、いずれもUNGCJNの理事会員として重要な地位にあります。こうした総合商社ではビジネスモデル特許や商標を有して権利ビジネスで安定的な収益確保にも積極的です。準理事会員の海運会社・日本郵船は三菱系ですが、戦没した祖父が働いていた企業です。今では水素の国際輸送に取り組んでいます。国連の取り組みについては事務次長の中満泉さん(両親が熊本出身)が最近出した『未来をつくるあなたへ』(岩波ジュニアスタートブックス)に詳しく書かれていそうなので、近いうちに購読してみようかと思っています。

船場蔵屋敷周辺古地図より

宇土の中心市街地の船場川岸のアジサイが見頃です。船場橋のたもとに周辺の古地図が表示されています。つながりがあるのかどうかわかりませんが、私と同姓の屋敷の表示があります。長柄(槍)衆、弓衆、鉄砲衆の屋敷が蔵の周辺にあったのがわかります。