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親ガチャと格差の自動化

今年から目にするようになった用語に「親ガチャ」なるものがあります。子どもの貧困が、子どもが選べない親の経済力などの資質に起因することを受けて、自分の親の当たりはずれを揶揄する表現としてあるようです。確かにさまざまな先行研究で親の学歴や蔵書数の違いが子どもの学歴の高さと比例する関係にはあります。結論から言えば、どのような親の子どもとして生まれてきても教育や福祉の機会が受けられる社会創造に政治(立法と行政)の役割があり、その実現に向けて子どもの有無にかかわらず大人が行動する責任があります。表紙の写真は次に読む本で、サブタイトルには、「デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし、取締り、処罰するか」とあります。米国の警察モノのTVドラマでは、犯罪発生後に市民の個人情報が捜査当局にいとも簡単に把握され、容疑者や証人の確保に役立つシーンがしばしば登場します。その点では、米国と対立する権威主義国家と同様以上の管理社会の姿が見えてきます。所得の再分配に寄与するデジタル化なら理解できますが、支配を容易にすることだけなら考えものです。

国民審査も重要

10月31日に投開票が予定されている総選挙では、同時に最高裁裁判官の国民審査も行われます。今回は4年ぶりとあって対象となる判事が11人と多くなっています。本来であれば前回までに審査されてない判事がもう1人いましたが、すでに定年退官をしていて対象になりませんでした。審査は10年に1回対象となるのですが、判事に就くのが60歳代以上のケースがほとんどで、満70歳が定年なので1回しかありません。したがって、解散の間隔が長いと一度も審査対象にならないケースが生まれるというわけです。司法判断が時代環境に合っているかいう意味では、審査の間隔はもっと短くして同一判事について複数回審査の機会があっても良さそうに思えます。ところで、国民審査は平成29年以降、総選挙の期日前投票初日から行われます。それ以前は審査用紙への裁判官名の印刷が間に合わないということで、4日遅れで期日前投票所において開始されていました。そのため、早めに投票した人は、国民審査を棄権する人がほとんどでした。まれに、国民審査だけ後日投票する人がいましたが、この際に間違って総選挙の投票用紙も渡してしまう投票所のミスもありました。現行の総選挙でも期日前投票時に判断がつかないとして審査用紙を返せば、後日投票することは可能です。つまり、棄権の確定は投票日をすぎないとできないというわけです。ともかく、立法の動きを進めるためにも、国民審査で国民の意志を示すことは重要です。×をつけないまま審査用紙を投函すれば信任となり、罷免の割合を低くします。判断がつかなければ用紙を投函しないことで、棄権となり罷免の割合に影響を与えません。写真は投稿記事とは関係ありません。新しい消防署の建設風景です。

見方と向き合い方

このところ知中の研究者の見方に努めて接するようにしています。武力だけを見て武力にだけに頼った一面的な見方では向き合い方を誤ると考えるからです。中国(大陸)の中にあっては分からないこと、発言できないこと、拡散できないことがたくさんあり、無理やり台湾との統一を図るよりも、台湾の存在が生む大陸側にとっての実益もあったりして、ことはあまり単純ではないように思います。写真の本(橋爪大三郎・中田考『中国共産党帝国とウイグル』集英社新書、880円+税、2021年)で感じたのは、中国を知る専門家がまだまだ日本において少ないことでした。同様にイスラム世界についてもまだ知らないことが多く、日本だからこそ動ける場がもっとあるような気がします。

因素工作

写真は次に読む本である、大橋洋一著『社会とつながる行政法入門〔第2版〕』(有斐閣、1800円+税、2021年)です。その前に『中国ファクターの政治社会学』の読後感を少しばかり記しておきます。主に台湾側からの視点で大陸側からの「統一工作」をリポートした著作となっています。ひところは、大陸側から台湾への観光客がたいへん多かったのですが、そうした観光が経済効果についていえば、あまり効率のいいものではなかったことが理解できます。まず中国の観光客は国営系の旅行社が独占して団体ツアーしか催行されません。旅行代金のほとんどは大陸の旅行社に還流します。中国の観光客が立ち寄る台湾現地の宿泊ホテルや土産物店は中国資本か国民党支持経営者の施設に限られます。台湾現地のツアーコンダクターは旅行社からはタダ同然で請けて、なんとか旅程外の土産物店へ観光客を誘導してその店からのキックバックで稼いでいるということでした。統一工作は、ほかにも台湾企業の中国資本による買収が進んでいます。半導体関係やメディア関係への進出が警戒されています。武力誇示以前にさまざまな中国因素が台湾の政治・経済・社会へ浸透しているのをあまり日本では知られていないと思いました。とはいえ相互に依存している関係もあるわけで、大陸の影響力を一切排除するのも非現実的です。警戒しながらも利用できるところは利用して実を取るというのが台湾の考え方だと思います。

話は変わりますが、知らない間に浸透するものとしてさまざまなコンピューターソフトがあります。先日、当ホームページのコンテンツ管理システムが最新のバージョンに自動更新されたがために、ページのデザインかさまざまなプラグインソフトの一部が最新バージョンに未対応のためか、数日間ページが表示されない現象が発生しました。今は復旧していますが、インターネットの世界はそれこそもっと強力な統一工作に日々さらされているのだなと思いました。

校則は主権者教育の良き教材

本日の地元紙で、昨日の地元市議会でなされた一般質問の話題が取り上げられていました。それによると、中学校の校則でツーブロックのヘアスタイルが禁止されているそうです。答弁に立った中学校長上がりの教育長は「中学校が『華美』と判断したと考えられる」と理由を学校のせいにしたうえで、「生徒が主体的に話し合う機会をつくり、PTAなどへのアンケートも実施して、時代の変化に合わせた必要な見直しをしていく」と見直しの可能性をアピールしてみせました。このツーブロック髪型禁止をめぐっては、昨年3月の都議会でも議論(このときは都立高校の校則)があり、なぜ禁止するのか問われた教育長が「外見を理由に事件や事故に遭うケースがあるため」と発言し波紋を呼んだことがありました。どのような髪型にするかは、まさにその人の個性の主張であり、人権の一つだと思います。自衛隊や警察、消防といった汗をかきやすい現場に携わる人たちにもツーブロック髪型は多いように感じるのですが、それを見て「華美だ」とか「外見を理由に事件や事故に遭うケースがある」とは到底思えません。むしろ教職員が凛々しい若者の姿に一方的なやっかみを感じてこうしたバカげた校則を設けたのではないかと思います。どのような校則が本当に必要なのかまずは生徒自身に考えてもらうことが主権者教育になるかもしれません。
写真は記事とは関係ありません。

専門書の効用

写真は次に手にする本ですが、先日読了した『現代中国経済〔新版〕』には新たに知る情報が多くて日本があるいは世界が中国とどう向き合うべきかを考えるうえでたいへん役立ちました。とにかく巨大な隣国・中国についてまだまだ知らないことが多いのだなと思いました。まず外から捉え切れない理由として各種統計の少なさがあります。公表される統計自体が少ないですし、その統計の取り方に問題があることがあります。特にかつては経済指標の内容が地方党幹部の出世に影響するため、かなり水増しされることがありました。そのため、統計分析においても数字をそのまま受け取るのではなく、かなり補正してより実態に近い推計を出すことが求められます。
他にも数字の伸びを競うために市場の求めとは関係なく生産されたこともありましたし、材料の供給網が非効率であったこともあります。党員が3人以上いれば企業内に党支部が置かれ、経営者とは別の人間が権力をもつ、いわば二重権力の問題もありました。沿岸部と内陸部の発展格差の問題もあります。反面、日本における眼鏡産業の福井県鯖江市、金属洋食器産業の新潟県燕市のように、中国には単一の産業が集積した都市(バルブの温州市)が多数あるのも特徴です。これは儲かる産業が見つかると、そのノウハウを周囲の人と共有し、教え合う文化が盛んであることのようです。知的資産に対する考え方が世界とは違うようです。
このように外から見ても分からないことが多い具合ですから、中国国内でも経済政策の運営は相当難しいのではと思います。とはいえ、巨大な市場がそこにあって自国だけではどこの国も生活していくのは苦しいわけですから、経済的な付き合いは止めらないのが現状です。軍事力だけを誇示してもそれらは生産的ではなく武力が豊富であるほど無用な食い扶持がさらに必要になるわけで、ましてや国民の負担が増えれば、対外問題より内政の不満解消に努めなければたいへんなことになります。民間の経済交流で国際関係を良くする道の方が断然得だと思います。

まさに腹が減っては

これから読む本は、丸川知雄著『現代中国経済〔新版〕』(有斐閣、2400円+税、2021年)。このところ台湾海峡の安定について注目が集まっていますが、大陸側がすぐにも力づくで獲りにくるかのような煽り方はどうかと思います。『キッシンジャー回想録 中国』の中では、毛沢東が三国志を好んで読んでいたことが紹介されていましたが、中国の外交手法を顧みると、「夷狄をもって、夷狄を抑え(以夷制夷)」や「夷狄に夷狄を攻撃させる(以夷攻夷)」を彷彿とさせる点があり、毛沢東に限らず漢民族が有する歴史的教訓として常に脳裏に刻み込まれているのではないかと思います。それと、三国志で描かれた戦いでは、兵糧の確保が重要だったことが理解できます。数十万の軍隊も食い扶持がなければ、まるで戦力にはなりません。それどころか、食えなければ餓死するか、反乱が起きてヘタすれば敵に寝返ってしまわれるリスクもあります。特に高齢化が著しい現代中国では大勢の老兵たちの老後の生活維持が社会的課題になってくると思います。台湾の取り込みどころではなくなってくるではないでしょうか。

アフガニスタンの子どもたちの教育は

アフガニスタンの政権があっけなく崩壊しました。同国と日本とのかかわりでいえば、故・中村医師のような民間での支援が思い起こされます。私も3年前に公益財団法人ジョイセフを通じて子どもが使っていたランドセル2個と未使用の文房具を同国の子どもたちへ寄付しました。子どもたちとりわけ女子の教育支援が必要とされているなかにあって見知らぬ誰かの役に少しでも立っていればと期待しましたが、これからどうなるのか憂慮しています。こうした混乱した地域への支援は、必ずしも政府間のそれが有効とは限りません。相手の政府関係者が中間搾取してしまうことがあるからです。日頃、多くの日本国民が目にすることはないと思いますが、外務省や国家公安委員会が告示しているタリバンリストというものがあります。これは、国際連合安全保障理事会決議に基づく資産凍結等の措置の対象となるタリバーン関係者等を指定する情報リストです。たとえばアルカイダと資金面でかかわりがある人物の個人名やパスポート番号等が官報に掲載されています。私たち行政書士は、こうした人物から業務の依頼は受けられません。同様に企業もそれらの人物との取引は行えません。それはともかく、これから先ますます民間同士の支援が重要になります。日本政府の出番があるとすれば、難民や留学生の受け入れを増やすことではないかと思います。

東アジアの時空を知るには

今月、地元紙・熊本日日新聞の「わたしを語る」欄において、思想史家・京都大名誉教授 山室信一「熊本発 アジアの時空を歩く」が連載中です。同氏の功績を知るには、著書を読むか、謦咳に接するかが一番です。私が大学在学中の1983年度の1年間だけ非常勤講師として政治学科の専門科目を開講されていたのを知ったのはずいぶん後のことで惜しい思いをしました(コメント写真は当時の履修要覧より)。講演でナマの姿を拝見したのは、2013年に熊本市で一度だけあります。昨日の朝日新聞には切れ味の鋭い歴史の見方が載っていて、ほんとうはこういう視点を引き出す力を地元紙にも求めたい思いました。連載の後半に期待したいものです。

躺平族という希望

次に読む本は、表紙写真の『米中対立』。米中関係を踏まえて日本の針路を考えるときに、米国をリーダーとする陣営に与する議論が多いのですが、果たして手段はそれだけなのかという思いもします。急速に高齢化して成長スピードが減速する見込みのある中国が、実際に専制主義・覇権主義一辺倒を継続できるのか、疑問に思えることもあります。国の指導部だけで考えるのではなく、国民の動向も注意深く見る必要を覚えますし、そうした国民にどう国際社会から接していくかということも重要です。最近の中国の若い世代の「家を買わない、車を買わない、結婚しない、子どもを産まない、消費しない」という「寝そべり族」(躺平族)という存在は、かなり日本の若い世代と親和性があり、政治関係とは異なる結びつきが生まれる可能性があると感じます。

世界の見取り図

今読んでいるのは、内田樹氏と姜尚中氏による対談本の『新世界秩序と日本の未来』(集英社新書、860円+税、2021年)。根拠も出所も不明な陰謀論に惑わされたくなかったら、顔出しして史実を踏まえながら流れを説明できる学者の意見に接した方が役に立ちます。立ち位置や相手とのかかわり方というのは、周辺への影響も考えながら決めていくべきだと思います。

科学と報道と政治

私も含めて大半の国民は学者でもジャーナリストでも政治家でもありません。政策が決定し法制化されるまでには、さまざまな知見の発表・報道があり、国民よろんの後押しもあって政治判断があってのこととなります。しかし、問題なのは既存利益を得ているグループは、これまたさまざまなロビイストを使って世論操作をして巻き返します。その場合、学者の活用がなされますが、たとえ肩書が教授だろうが、研究員であろうが、中には博士号も持たずもちろん論文も書かず学会発表の実績がない人もいます。学会には属せず、実態不明な○○会議、○○研究所の肩書頼りの例もあります。そのため、ある分野の学会では常識的な見方として確定しているのを隠して、あたかも学者の意見で大きな対立があるかのような宣伝を行うことを仕事にしている人もいます。そうした人についてはメディアでの露出を控えてもらいたいものですが、外見やトーク力だけで影響を及ぼしがちです。写真の本を読み終えてエセ学者に騙されないようにしなければとつくづく思いました。

独善主義と権威主義は同根

先日の中国共産党創立100周年での主席の演説を聴いてみると、強国志向の一点張りで他国からの説教は一切受け付けないという独善性が目立ちました。もともと党の存在自体を絶対的な指導組織と位置付けている中で、指導者個人も不可侵の存在として言っているようなもので、危なっかしいなあと思いました。『キッシンジャー回想録』を読むと、開放改革路線を築いた鄧小平がキッシンジャーに対して、毛沢東は7割は正しかったが、3割は誤っていたという評価を語っていたことが明らかになっています。鄧小平の見てくれは小柄なうだつの上がらない老人でしたが、若いころにフランス留学歴があり、英語も解していました。キッシンジャーもハーバードで教鞭をとっていた学者ですし、双方の資質と現主席を比べてみると、現主席の小物感は否めない気がしますが、それこそ我が国もどうかという話になりますので、この辺で止めておきます。

不正受給を行うバカは希少

家賃支援給付金の不正受給に手を染めた官僚がいたと聞いて、文字通りキャリアを失うバカさ加減に呆れました。きょうの朝日新聞にはその家賃支援給付金と持続化給付金の支払い状況について報じていましたが、発生率からいってかなり希少なバカであることがわかりました。
給付(3月まで) 家賃支援:104万件(9千億円)、持続化:424万件(5兆5千億円)
自主返還(6/24時点) 同上:925件(6億7600万件)、同上:1万3436件(144億1300万円)
不正認定(5~6月時点)同上:8者(1122万円)、同上:118者(1億1788万円)
金額的にもこうした不正受給は、返還を求められますから、バカが儲けるということはありません。税金ドロボーという点では、事件にかかわった国会議員の歳費の方が取り戻せないので、はるかに悪質です。同じ日の朝日新聞でこの問題を扱っていましたが、国民の被害額は以下の通りです。
参院選広島選挙区巨額買収事件 当選無効となった人物への約1年半の支払額:4942万円
東京10区公選法違反事件 略式起訴で辞職した前衆議院議員の期末手当:314万円

 

 

総合知が問われる

今度読む本は『グリーン・ニューディール』。脱炭素社会の実現には再生可能エネルギーを発生させるだけでなく安定供給のシステムも重要です。脱炭素(あるいは低炭素)の一つの側面だけではなく、総合的に地球への負担はどうなのか、まさに総合知が問われます。環境破壊リスクという面では、さまざまな兵器の実験を含む使用も大きな影響があると思います。対話する能力も大切です。

林檎殺人事件の歌詞がよぎってしまう

中満泉著の『未来をつくるあなたへ』(岩波ジュニアスタートブックス、1450円+税、2021年)の最終章で著者が考えるリーダーの資質が4点挙げられていました。リーダーと言えば、政府や政治家をまず思い浮かべますが、企業や学校など大小を問わずさまざまなかかわりになかに存在するものです。以下の4つの観点からリーダーの言動を観察してみるのも面白いものだと思います。権威に寄りかかるしか能力のない人は、往々にして取り巻きをはべらして話しますし、都合の悪い質問には逃げるものです。
1.先が読めない時だからこそ、歴史を理解しつつ、未来を常に考え、ビジョン(見通し)を持つこと。
2.大きな変化や大転換を恐れず、それを可能にする勇気(モラルコンパス)と決断力を持つこと。
3.多様な意見の存在をプラスと考え、耳を傾ける余裕と柔軟さを持ち、変革を進める力にする能力を持つこと。
4.多くの難しい問題を抱える今だからこそ、常に誠実であること。

ところで、香港のアップルデイリーの廃刊のニュースからの連想で、林檎殺人事件の歌いだし「アア 哀しいね 哀しいね」が頭をよぎります。香港関連のメディア報道の際に流してみるのもいいと思います。

未来をつくる議論をしているか

これから読む本は、中満泉さんの『未来をつくるあなたへ』。タイトルからうかがえるように主に若い世代向けに書かれた本ですが、いずれも放置すれば未来を破滅させる問題を取り扱っています。著者だけでなく、これらの問題に立ち向かい、賛同して行動する人類が多いにこしたことはありません。どう伝えたらよいかを学びたいと思います。

夫婦同氏の強制は何のため

一昨日、最高裁大法廷は夫婦別姓を認めない判断を出しました。家事審判の申立者の訴えは、夫婦同姓を求める規定は「法の下の平等」を保障する憲法14条と「婚姻の自由」を定めた24条に反するというものでした。裁判官のうち4人は、現在の仕組みは「婚姻を希望する者に夫婦同氏(姓)を強制している」と指摘し、24条違憲としました。夫婦同姓を強制されるなら婚姻ができない人が生じるなら、やはり婚姻の自由を阻害することになると思います。イソノ姓とフグタ姓の別姓家族が同居するサザエさん一家の一体感については、国民的理解があるのに、なぜ夫婦が別姓なら一体感が失われると勝手に判断する勢力があるのか、まったく合理的ではありません。日本において夫婦同姓が強制されるようになったのは、明治初期のころです。徴兵制度の導入など、国民管理の都合上、そうなったに過ぎません。紙でしか管理ができない当時と異なり、デジタル管理の時代ともなれば行政が家族関係を把握することは、たとえ別姓でもたやすいことですし、今後同性婚も認められるようになるなら、なおさら別姓を選びたい人が多くなるはずです。個人情報保護が浸透している今日では、社会生活において家族全員の氏名を対外的に示す機会はほとんどありません。根拠希薄の伝統・家族感議論は何に怯えているのでしょうか。婚姻を後押しせずためらわさせることの方がはるかに亡国に向かわさせることになると考えます。

これでは働く魅力がない

けさの地元紙が報じていましたが、「過労死ライン」超えの県職員が、2020年度は延べ1568人に上り、前年度比2.23倍と大幅に増えたそうです。その要因として新型コロナウイルス感染症や7月豪雨災害への対応があるとのことで、熊本地震の対応に追われた2016年度とほぼ同じ水準になったということでした。月80時間を超える時間外勤務が心身にもたらす影響は文字通り人災です。とてもまともな働きができる職場ではありません。これではいい政策も生まれないのではと危惧します。

グローバル・コンパクト

今、滝田賢治編『国際関係学(第3版)』を読んでいますが、そのなかで国連グローバル・コンパクトに賛同する日本企業414団体が参加して形成している、「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」について触れられていました。ここの会員企業・団体について研究してみるのもおもしろいと思います。たとえば、コンビニのローソンを動かしているのは三菱商事ですし、ファミリーマートを動かしているのは伊藤忠商事ですが、いずれもUNGCJNの理事会員として重要な地位にあります。こうした総合商社ではビジネスモデル特許や商標を有して権利ビジネスで安定的な収益確保にも積極的です。準理事会員の海運会社・日本郵船は三菱系ですが、戦没した祖父が働いていた企業です。今では水素の国際輸送に取り組んでいます。国連の取り組みについては事務次長の中満泉さん(両親が熊本出身)が最近出した『未来をつくるあなたへ』(岩波ジュニアスタートブックス)に詳しく書かれていそうなので、近いうちに購読してみようかと思っています。