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このたび、日行連の企画による専修大学大学院における令和7年度司法研修「法律学応用特論(高リスク到来社会に対応する行政救済法の研究)」を受講する機会を得ました。受講してみての感想などを記してみます。
まず受講にあたっては出願動機についての課題文や最終学歴の卒業証明書などの用意と提出が必要で、その審査があり許可されます。そのうえ募集要項には「申込者が30名に満たない場合には開講されません」とあります。しかも、受講料48,000円を負担して都合5回もキャンパスへ足を運ばないといけません。いかに6万人近い会員を有するとはいえ、全国に30名もこんな物好きな行政書士がいるのかと、ちょっと気をもんでいました。
しかし、全国から15名(うち九州からも3名)もの会員が集い、無事開講。おまけに年度末までは大学図書館も利用できるので、ライブ講義と合わせて担当講師の著作(例:山下竜一先生『行政裁量と原発政策』5500円+税)を読んだりすれば十分受講料は回収でき、安いどころかおつりが来る思いでした。
次に、講義内容についてですが、最初は山下竜一教授による行政救済法分野の行審法と行訴法が6コマあり、続いて山田健吾教授によるやはり行政救済法分野の国賠法、加えて災害対策基本法とで9コマありました。最終回は「テスト」となっていますが、これは感想文の提出のようなもので受講者はそう心配する内容ではありません。
講義のねらいとしては、現在の災害対策基本法なるものが十分なものなのか、その関連で地方自治法第14章の規定は役に立つのか、憲法に合うのかを考えるところにあったと思います。それと、学究の場からずいぶん遠ざかっている受講者のために、毎回詳細な講義資料が配布されて理解を助けてくれました。中には熊本地震後の熊本市の災害弔慰金不支給事件の認容裁決や水俣病被害者の国賠訴訟の最高裁勝訴判決など、熊本にも縁がある資料があり、なおのこと受講意欲がそそられました。
受講を終えての感想としては、行審法、行訴法、国賠法のいずれをとってみても公権力を相手にした国民の権利実現にかかわるものであり、行政書士であれ、弁護士であれ、代理報酬で食べている専門職としてはやはりコスパ、タイパを考えてしまいます。現状、本研修を受講すること以上に奇特な法律専門家でなければ公権力相手の国民救済の仕事に手を出さないのではないでしょうか。
たとえば現在、熊本では長射程ミサイル配備計画が注目となっています。仮にこれに異議を申し立てたい住民を支援するとした場合、配備の段階に応じてどのような手立てを講じることができるかは学びました。ですが、それを支援する法律専門家が見つけられるかはまったく別モノの話だなという思いもしました。
長射程ミサイル配備についてもう一つ述べておくと、有事の際に発射部隊は駐屯地を離れて動くと、だから駐屯地周辺住民は安心してろと言わんばかりに、地元選出の元防衛大臣が先々月地元紙取材に答えていました。言い換えると、攻撃される可能性があるのは、駐屯地(弾薬庫)に限らないわけです。行政訴訟提起の際の原告適格については、駐屯地周辺住民に限らず部隊が動いた遠く離れた先(おそらく九州・沖縄のどこかの陸上部)の周辺住民まで広く含められるのではないかと考えます。そこのところはどう想定して政府関係者は、これからものを言っていくのか注目してみます。