先日初めて「波佐見陶器まつり」と「有田陶器市」へ行ってみました。イベント期間が同一ですし、臨時列車の有田陶器市号や有田駅~波佐見やきもの公園間のシャトルバスが出ているため、十分ハシゴして楽しめました。これがマイカーで行くとなると、会場周辺での駐車時間待ちに見舞われるので、そうはいかなかったと思います。私はもともと鑑賞オンリーですから帰りに荷物が増えることもありませんでしたが、もしも陶磁器を買い込むなら現地から発送する手があるので、断然公共交通機関を利用するのがお勧めだと感じました。
まず長崎県波佐見町(ここは長崎県で唯一海に面していない自治体)の波佐見焼に関心をもったのは、朝日新聞経済面の「けいざいプラス」欄で2023年12月に「波佐見焼 小さな町の奇跡」というタイトルの5回シリーズの記事によります。隣の有田のような高級品ではなく大衆向けのデザインで勝負する製品づくりや問屋を通さない流通への移行などを行い、この十数年でブランド化に成功したと言われます。作り手も客層も若い感じがします。「波佐見陶器まつり」期間中は、やきもの公園に窯元がまとまってテント出店しているため、目当ての焼き物を探しやすい形態となっています。それと、私は立ち寄りませんでしたが、高速の波佐見IC近くにも第2会場が設けられていました。
対する「有田陶器市」は今回が第121回を数えるだけあって伝統を誇っていますが、逆に波佐見焼を意識したデザインの店も見受けられました。こちらは1カ所集中方式ではなく、既存の店舗が通り沿いに軒を連ねているので、有田駅~上有田駅間だけでも約3kmを歩くこととなります。すべて見て回るとなると、時間と体力が要求されます。この通りに面した有田焼で最も名高いのは今右衛門窯だと思います。今右衛門陳列館は無料で入館できて当代の作品を堪能できます。今右衛門古陶磁美術館は入館料500円ですが、ここは製造工程や先代・先々代との作風比較が理解できます。別格です。
一方、期間中のグルメ出店は、波佐見も有田も共通していて、九州内のみならずさまざまな飲食が楽しめるようになっていました。私は、有田の通りに出店していた村岡総本舗の小城羊羹を買い求め、上有田駅内のカフェで佐賀牛しぐれ煮弁当を食べてみました。
ともかくどちらも町単独で地産経済を回しているわけですから大したものです。豊かさを感じてきました。
