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大課長やコンサルがはびこる企業に未来はない?

きょうの朝日新聞くらし面に、企業にはびこる「大課長」問題の記事が載っていて面白く読ませてもらいました。会社員を14年前に卒業した私からすると、社内の階層にまつわる話は無縁でどうでもいいように思えます。しいて言えば、大企業だろうが、零細企業だろうが、あるいは官公庁でも、社長マインドをもった人がいなければ、事業の継続もままならないだろうし、内部の社員が仕事に携わっていても楽しさや誇りは感じられないのではないかと思います。
記事中では、社長の役割にも触れてあって、それによると次の4点となっていました。
(1)会社の中期重要推進テーマの策定・決定
(2)中期的重要テーマの推進を役員にミッションとして渡す
(3)中期的重要テーマの進捗モニタリングをする
(4)中期的な重要テーマを推進できる人を登用する
私が注目するのは、上記(1)と(4)です。(4)の前提として、社内に仕事ができる人材を養成しておかなければなりません。ところが、(1)のテーマ策定や(4)の人材養成を安易に外部のコンサルに投げてお任せの企業はうまく事業が回っていかない気がします。大課長上がりの大部長の社長であれば、コンサルを入れればそれで自分の仕事が終わったと勘違いしてしまうのかもしれません。
逆に言えば、こうした重要な役割を内製化できないようでは、ろくな計画も立案できないし、事業を推進できるスキルをもった集団にはいつまで経ってもなれないと思います。最近は地方の行政の計画づくりにもそうした傾向が見られますし、先行きに不安を感じる若手の自治体職員の退職も目立ちます。
結局社長にとって代わる人材が育っていない企業(地方自治体も)に未来はないのではと考えます。
https://digital.asahi.com/articles/AST1P3V1BT1PULLI004M.html

オカケンに学ぶ

まだ途中ですが、オカケンこと岡田憲治氏の近刊『言いたいことが言えないひとの政治学』(晶文社、1800円+税、2024年)を読んでいるところです。岡田氏は専修大学教授を務める政治学者の方、生まれ年は私と同じです。同氏の名前は新聞雑誌、SNSなどでこれまで見かけたことはありましたが、著書は初めて手に取りました。本書は、タイトルにもある通り通常の政治学の専門書ではありません。職場や地域社会、家庭において他者との関係に困っている人たちに、政治学の知恵を授ける読み物となっています。
「わからんちん」の上司の下で働かないといけない立場の人にはすぐに役立つと思いますし、あるいはそういう立場にある人を周囲にもつ人が読んでアドバイスのツールにしてもいいかと思います。私自身の体験に即しても本書が提示する理論と実践の内容は納得できる部分がほとんどでした。
しかし、ときたまいい歳こいた大人が、つまり私からしたら先輩諸氏や同級生といった初老以上の人たちのなかに、やれディープ・ステートがどうたらとか、すっかり陰謀論に目覚めた例に出会います。岡田氏によれば、ネトウヨは思想ではなく、彼らの言動は「自分を脅かすのではないかというものへのやや過剰な反応」のように思われる、としています(p.127)。こういう議論にならない相手を日常生活では放置するに限るのですが、それらの票を束にしたポピュリスト政党がバカにできない勢力になることもありえるので、そのへんは実に厄介です。

異能人材包摂力について

昨夜放送のNHKスペシャル「岐路に立つ東京大学 〜日本発イノベーションへの挑戦〜」を興味深く視聴しました。番組では、AI研究で著名で知られ、学生たちに起業を促し、イノベーションを生む人材を育成する松尾豊教授と、マッチング理論を使って人材がより生かされる社会を目指す、経済学者の小島武仁教授の二人を軸に、東京大学の取り組みを紹介していました。一方で、シリコンバレーと連携するスタンフォード大学やAI学部をわずか1年の準備期間で創設したマレーシア工科大学についても取り上げていて、規模やスピードで日本のイノベーション人材の輩出が立ち遅れていることが浮き彫りにされていました。それと若者の早期離職の高さや就労先に対する満足度の低さが世界と比較すると、「普通」ではない点が明らかにされました。このことによって、単に東京大学だけの問題ではなくて、日本社会における人材育成・活用の停滞ぶりに危機感を覚えさせる番組内容になっていたと思います。
社会にさまざまな才能をもった人材がいることは確かですが、適切な教育を受ける機会がなかったり、受け入れてくれる組織がなかったりすることは、容易に想像できます。スターアップにしろ、既存組織での新規事業立ち上げにしろ、そのワクワク感はそれを体験したことがない人にしか分からないことだと思います。しかし、それを可能にして成長軌道に乗せるには、資金や運営管理組織、取引先も必要になります。異能人材自身が必ずしも対人コミュニケーション能力に優れているとは限りません。場合によっては事業撤退・整理をせざるを得ない場合もあります。
ほとんどの企業からすれば大博打はせず、使いやすい人を雇用して組織を存続させることに重きが置かれると思います。
番組の最後の方では、元ヤンキーの中卒のIT技術者の若者が松尾研究室に出入りするようになったのを追っていました。イノベーション人材育成の入口がいくつもあるのはいいなと思いました。結局のところ包摂する側の器量次第なのかなという感想を持ちました。

フリーランス新法が2024年11月1日施行

「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」が、本日から施行となりました。この法律で保護の対象となるフリーランスとは、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義されています。
ところで欧米では、スマホやタブレット端末の専用アプリを通じて、単発の仕事を請け負う就労者である「ギグワーカー」はフリーランスにあたるのかが議論になっているようです。具体的にはウーバーなどの自家用車を用いたタクシー(ライドシェア)の運転手やフードデリバリーの配達員がそれにあたります。しかもこれら「ギグワーカー」は、使用者から直接的に労働指令を受けるのではなく、プラットフォームを通じたアルゴリズムによる管理を受けて働いています。日本でも今年4月から限定的にライドシェアが解禁されましたが、現在のところ、運転手は、既存のタクシー会社に雇用されることになっているので、今後、自営の運転手も認められるようになれば議論の対象となります。
その他、新法の目的などについて手っ取り早く知りたければ、『世界』2024年11月号の橋本陽子学習院大学法学部教授の「労働者・自営業者・フリーランス 労働者性をめぐって」を読むと参考になります。私の同業者にとっても密接なかかわりがある法律ではないかと思います。
もともと上記号の第2特集は、「フリーランスを生きる」となっています。ジャーナリストの北健一氏の「生身の働き手としての権利 四つの現場から」も、印象に残るルポでした。その記事ではフリーランスの凄まじい実態が描かれています。たとえば、九州の久留米市と佐賀市に2店ずつあるラーメン店「ふくの家」の「経営パートナー契約書」の悪質さを知ると、同店へは絶対に足を運んではならないと思わされました。
https://www.iwanami.co.jp/book/b653708.html?_gl=1*fmqxos*_ga*MTk5MDU0Nzk5MS4xNzI5MDAwMDcy*_ga_L95Q1BL1G0*MTczMDQyNzczMC4yLjAuMTczMDQyNzczMC4wLjAuMA..

『環境とビジネス』読書メモ

現在、慶應義塾大学総合政策学部教授とアジア開発銀行研究所(ADBI)のサステナブル政策アドバイザーを務める、白井さゆり氏が著した『環境とビジネス』(岩波新書、920円+税、2024年)は、これから政治や経済の場で世界的に活躍したいと考えている若者にはぜひ手に取ってもらいたい書籍だと思いました。
白石氏によると、世界の投資家が重視しているのが、温室効果ガス排出量の測定だと言います。それなしには削減目標も立てられませんし、削減貢献量もアピールできません。企業は自社の排出量が、スコープ1(企業が事業活動から自ら直接排出した量)、2(他社から購入した電力消費や熱・蒸気使用による間接的な排出量)、3(1と2を除く、上流から・下流までの過程における排出量)のそれぞれでどれだけあるかを把握し、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の基準に沿った開示が必要となります。企業の内部統制として、排出量の監視や評価がきちんと行われるような組織や人材の配置が重視されることとなります。
実際、米国ではカリフォルニア州(GDP世界5位に相当)を中心に、スコープ3を含む温室効果ガス排出量の開示の義務化の動きがあります。同州では2023年10月に州内で事業を行う年間売上高10億ドル以上の企業を対象に、気候関連の情報開示を義務づける法案が成立。日本企業がすべきことは進出先のくにでどのような開示要件が義務付けられようとしているのかを調査することとなります。すでにEU(GDP世界3位に相当)、豪州、カナダ、英国、ASEAN、香港、韓国、ブラジルが義務づける意向を発表していて、それが世界トレンドになっているそうです。
興味深いのは、米国共和党のトランプ大統領候補を支援するイーロン・マスクが代表の、EVメーカー最大手テスラが成長した一因に、民主党地盤のカリフォルニア州が行う自動車排ガス規制対策としてのクレジット制度があるという事実です。EVだけを製造するテスラが2022年に販売したカーボンクレジットの収入は17億8000万ドル(約2770億円)に達していて、この仕組みは他の民主党地盤の州を中心に取り入れられているとのことです。なお、テスラは世界最大のEV販売市場である中国でも生産を行っています。
著者は、「世界の大企業や大手金融機関は、気候変動・環境リスクの管理が、企業の取締役会と経営者にとって最も重要な決定になると肌で感じとっている。企業は生産・営業活動からの温室効果ガス排出量を減らしていかないと、いずれ株価や市場価値が大幅に低下したり、格付けや資金調達費用が高まっていく可能性がある」と記しています。さらに、この世界のトレンドは大企業だけでなく中小企業や上場していない企業にも影響があると示しています。それが商機と捉えられる人材を確保できた企業が利益を拡大できるのかもしれません。熊本県も半導体生産ばかりでなく環境経営に強い人材の育成にも力を入れたがいいと思います。

老害三原則とな

老害三原則とな。こうした老害シーンに立ち会う機会は他人と出会う以上確かにあります。
さまざまな団体・集まりにおいて高齢者でなくとも先輩諸氏が自戒したい事柄です。ベテランの振る舞い一つで若者が背を向けることもあり、組織をリードしてくれることもあります。組織の代表例としては、「職場」ということになりますが、私のブログ投稿で「職場」をキーワードに検索したら、直近の10本で以下のようなものがありました。
高齢者の自戒も大切ですが、若者のみなさんには老害をモノともしない知恵を読書や対話の中から身につけていただきたいと思います。

ネット観戦の楽しみ 2024年4月7日  ※「職場を腐らせる人たち」の15事例を紹介。
小先生にはなるな  2022年5月14日
ブルシット・ジョブの主要5類型を知る 2021年5月5日
おろよかボス宣言  2022年5月19日
対話は一人でもできる 2023年1月7日
代わりはいくらでもいるんだよ 2024年4月18日
過ちを繰り返すことなかれ 2022年4月3日
これでは働く魅力がない 2021年6月22日
長平の戦い 2021年5月2日
定住と遊動  2020年10月13日

熊本県知事は環境大臣の飼い犬か

このところロアッソ熊本の戦績の不甲斐なさに閉口し、ローカルのスポーツ関係のニュースは見ないよう努めています。ですが、水俣病犠牲者慰霊式後に伊藤信太郎環境相と懇談した患者団体の発言が環境省職員によって打ち切られた一件については、憤りを覚える気持ちが収まらず、報道を追いかけています。今月26日に開かれる相思社(水俣病患者連合事務局を担当)の理事会にも出席しますが、本件についても議事に上ると思います。
本日(5月8日)の熊本日日新聞社会面では、本件をめぐる熊本県知事の対応について以下のように触れていました。「1日の懇談には、熊本県の木村敬知事や県幹部も出席。団体側の発言が打ち切られても、善処を求める言動は一切なかった。水俣病保健課は『環境省が運営している場に参加させてもらっている県として、何か言うことは難しい』と説明。懇談後の記者会見で木村知事は『忙しい大臣が例年通り時間をつくってくれた』と謝意を示した。」。見出しなしで記事本文の半ばに記されていましたので、大半の読者は見落とす可能性があるかもしれません。しかし、県民の権利を守ることをせず、来水した大臣に謝意を示す能しかなかった知事に阿ることなくその不甲斐なさの一端を晒してくれたように思います。
同じくけさの朝日新聞読者投稿欄(「声」)に、今春に31歳で東京都職員を早期退職した現在自営業の男性の投書が載っていて、興味深く読みました。それによると、投稿者は公務員時代の自身を「飼い犬」と評し、現在は「野良犬」としてエサは与えられなくとも本当の自由がある爽快さを語っていました。「野良犬も悪くない。」と文章は結ばれていて、25年間の会社員経験後に自由業に転じた私には共感できる内容でした。
この投稿と併せて先の地元紙の記事を読むと、まるで熊本県知事は環境大臣の「飼い犬」だなと、本当の「飼い主」である県民の一人として感じてしまいます。

代わりはいくらでもいるんだよ

ちょうど1年前に読んだ、民事の元裁判官・瀬木比呂志氏の『我が身を守る法律知識』(講談社現代新書)の中で、過労死・過労自殺をめぐり以下のような記述がありました。年度が替わり新しい仕事環境で心身に変調をきたしている人も多いと思います。p.200-201より長い引用ですが、一助となればと示してみます。
【過労死や過労精神障害・自殺による請求がなされるような例では、被用者は、まじめで責任感の強いタイプが多いのです。そういう人は、長時間労働でも途中で適当に気を抜くことができず、自分だけで苦労を抱え込み、自分がやるしかないと悲壮な覚悟をし、さらに、「ここで倒れたら自分はおしまいだ」とみずからを追い詰めてゆくことになりやすい。そうならないためには、「そうした自分から距離を取ってクールに状況を見詰めること」と「倒れる前に手を挙げる心構え」が必要だと思います。 若いころ、ある先輩が、「裁判官なんて、代わりはいくらでもいるんだよ。最高裁判事だろうと、難件を抱えた裁判長だろうと、死んだらすぐ代わりが来るのさ。ただ、ほんのちょっとの間波が立つだけのことなんだよ」と言うのを聞いたことがあります。そして、今になってみると、あれは真理だったと思います。 代替性のない仕事などほとんどありませんが、あなたという人間については代替性はありません。動物の一種として人間も「サバイバル」あってこそですから、「もうだめだ」と感じたらすみやかに医師にかかり、診断書を書いてもらって見切りをつけましょう。まずは、その時点で、肉体か精神に異変が出始めています。 私自身もそうした経験があるからいうことですが、実際には、そこで見切りをつけさえすれば、回復と再挑戦は難しくないのです。まずは、自分と家族を大切にしてください。なお、自分の職場の休職制度についても、あらかじめ調べておくとよいと思います。】

競争的選挙は民主主義の基本

アダム・プシェヴォスキ著『民主主義の危機 比較分析が示す変容』(白水社、2400円+税、2023年)の第一章イントロダクションションのp.14において以下の記載があります。「ギンズバーグとヒュクのいう三つの「民主主義の基本的な述語」なるものは、競争的選挙、表現や結社の自由の権利、法の支配から成り立っている。この三位一体を民主主義の定義とすれば、民主主義が危機にあるかを見極めるための便利なチェックリストを入手できる。すなわち、選挙が非競争的か、権利が侵害されているか、法の支配が崩壊しているか、というものだ」。つまり、競争的選挙は民主主義の定義の筆頭に挙げられる基本ということになります。現代においてロシアや中国では選挙による権力交代はありませんので、民主主義が機能していないと言えます。しかし、完全な比例代表選挙が行われていても、ナチスに政権を与えるまでに至った歴史もあります。どういう道をたどってそれに至ったかは、同書を手に取ってみると理解できると思います。
さて、9月26日に任期満了を迎える市選挙管理委員としての実質的に最後の職務となる主権者教育に本日は立ち会いました。小学6年生を対象にした模擬選挙の出前授業において投票所の受付・選挙人名簿対照係を務めました。模擬選挙とはいってもかなり本格的で、候補者の選挙演説動画や選挙公報を児童に見てもらって自身の投票行動を決定してもらいます。実際の選挙で使われている記入台や投票箱を用いて投票を行ってもらい、開票結果の発表まであります。真剣にワークシートに取り組んでいるのがたいへん頼もしく感じました。
架空の十八ヶ丘市の市長選挙では、人口減少対策が争点となり、3人の候補が政策を訴えました。私は起業・雇用・進学支援を訴えた候補が課題解決に効果的に思えて当選を期待したのですが、児童たちの支持を集めたのは子育て支援を訴えた候補でした。給食無償化など児童虐待の中でも経済的ネグレクトの解消に期待する声が多く聞かれました。世代的には少数ですが、模擬投票では94.53%と極めて高い投票率でしたので、選挙権が得られる年齢になって実際に投票を行えば、選挙結果を大きく変えることになります。その力を感じ取ってもらえたのなら嬉しい限りの経験でした。

AI君の働き甲斐感の晒し合い

山口浩著『就活メディアは何を伝えてきたのか』(青弓社)は、面白そうですね。就活のエントリーシート作成にもAI活用が広がっているように、企業の採用広報にもそれが使われる流れになるとなれば、これからはAI君の働き甲斐感を晒し合っているようでヘンな感じです…。
https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787235169/
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230414/k10014038331000.html

イーロン・マスクをどう見るか

朝日新聞経済面の「けいざい+」欄で7月21日から23日にかけて3回にわたり「イーロン・マスク 何者か」と題して同氏の人となりを取り上げていました。現在、米電気自動車大手テスラや宇宙ベンチャー企業スペースXの経営者として知られるマスク氏は、世界一の富豪でもあり、ウクライナ侵略に際してはウクライナへドローンを提供するなど、政治的な影響力すらもっています。その動向は常に世界から注目される存在です。南アフリカ生まれの彼は、8歳の時に両親が離婚、父親のもとで暮らしますが、その父親はたいへん暴力的だったといいます。自身をアスペルガー症候群と認めていて、子どものときの支えは読書とコンピュータープログラム開発だったといいます。17歳でカナダへ移住。その後、スタンフォード大学の博士課程へ進みますが、そこは入学2日後に退学し、起業家の道を歩みます。大学時代に大切なテーマだと気づいた、インターネット、持続可能なエネルギー、宇宙にかかわるビジネスへの挑戦を続けています。こうした人物の登場を後押しする教育と経済の環境があったからこそだともいえます。半面、他人にも週40時間現場にいるよう求めるなど、一緒に働きたい人物かというと、まったくそうではありません。ツィッターのような言論空間が一人の人物の差配によって変質する危険性を考えても、同氏による買収はむしろ不成立になって良かったように思います。

ビジネスと人権

就職活動を行っている人に意識してもらいたいのが、「ビジネスと人権」という視点です。とりわけ人材ビジネスは労働者自体が商品という側面がありますから、密接な問題です。行政書士の中には技能実習の監理団体や特定技能の登録支援機関に関係している方もいるでしょうから、そこでも必要な視点です。実際、海外の人材送り出し機関の中には悪徳な業者もいて来日を希望する人から高額な手数料を取って借金漬けにしてから送り出すところもあると聞きます。もちろんこれは違法なことですが、それを黙認して付き合っている日本側の機関があるとすれば、人権を蹂躙する「運び屋」稼業として同罪です。私自身は、技能実習にしろ特定技能にしろ、こうした懸念が付きまとうので業務としてかかわるのは距離を置いています。
写真は上海(1997年9月撮影)。

これでは働く魅力がない

けさの地元紙が報じていましたが、「過労死ライン」超えの県職員が、2020年度は延べ1568人に上り、前年度比2.23倍と大幅に増えたそうです。その要因として新型コロナウイルス感染症や7月豪雨災害への対応があるとのことで、熊本地震の対応に追われた2016年度とほぼ同じ水準になったということでした。月80時間を超える時間外勤務が心身にもたらす影響は文字通り人災です。とてもまともな働きができる職場ではありません。これではいい政策も生まれないのではと危惧します。

熊本県感染防止対策認証店について

以下熊本県のHPより引用してお知らせします。
熊本県感染防止対策認証店とは、この制度は熊本県内の飲食店における感染防止策を強化し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を継続的に抑えこむとともに、感染防止策を県が第三者として認証を行うことにより、飲食店の利用客増加につなげ県内飲食業の振興を図ることを目的とします。
熊本県民、飲食店、行政の三者が一緒になって取り組む「安心して会食・飲食できる環境づくり」のため、本制度について何卒御理解・御協力いただきますようお願いいたします。
認証申請はこちらから

https://kuma-ninsho.jp/application/
八代市の飲食店の方は

https://8246.anshinnamachi.com/

熊本県時短要請協力金の受付が始まっています

以下熊本県のHPより引用してお知らせします。
令和3年6月14日(月曜日)から協力金の申請受付を下記のとおり行います。
なお、令和3年6月14日(月曜日)以降の時短要請に基づく協力金の申請については、後日ご案内します。

[申請対象及び対象期間]
(1)熊本市中心部の飲食店等
令和3年4月29日(木曜日)~令和3年5月15日(土曜日):酒類を提供する飲食店(※)
令和3年5月16日(日曜日)~令和3年6月13日(日曜日):飲食店全般
(※の期間分の一部分割申請を既に行っている方は、その分の申請はできません。)
(2)熊本市全域(熊本市中心部を除く)の飲食店等
令和3年5月10日(月曜日)~令和3年5月15日(土曜日):酒類を提供する飲食店
令和3年5月16日(日曜日)~令和3年6月13日(日曜日):飲食店全般
【重要】(1)(2)の飲食店については、6月14日(月曜日)以降も時短要請が継続されるため、全ての期間が終了した後に一括申請を行うことも可能です。
(3)有明保健所管内の飲食店等
令和3年5月6日(木曜日)~令和3年5月15日(土曜日):酒類を提供する飲食店
令和3年5月16日(日曜日)~令和3年6月13日(日曜日):飲食店全般
(4)熊本県内全域(熊本市及び有明保健所管内を除く)の飲食店等
令和3年5月16日(日曜日)~令和3年6月13日(日曜日):飲食店全般
[申請受付期間]
令和3年6月14日(月曜日)~ 令和3年7月30日(金曜日)まで(予定)
[申請受付方法]
以下の(1)か(2)のどちらかの方法により申請ください。
(1)電子申請による申請
電子申請の場合、設問に回答していくことで、自動的に必要な添付書類のみ表示されます。
申請・審査の効率化が図られますので、できる限り電子申請を御利用ください。
電子申請はこちらから↓↓ ※URLへは6月14日(月曜日)からアクセスできるようになります。
・熊本市中心部:(  URL  )
・熊本市全域(中心部を除く):(  URL   )
・有明保健所管内:(   URL   )
・県内全域(熊本市全域及び有明保健所管内を除く):(  URL  )
(2)郵送による書面申請
<宛先> 〒862-8570
熊本県商工政策課 時短要請協力金係(※住所記載不要)
必要書類などこちらでご確認ください。

ユースエール認定企業について

男性が育児休業をとりやすくすことなどを目指した改正育児・介護休業法が成立する見通しになったと、けさの新聞では報じていました。今月から新卒予定の大学生の採用面接が本格化していますが、男性の育休が取りやすい企業かどうか、学生側が判別することは難しいと思います。当社が従事したことのある高校生向けの就職ガイダンスでは「ユースエール認定企業」について紹介していますが、熊本県内でこの認定を受けている企業名は残念ながら承知していません。一応、触れ込みでは「ユースエール認定企業」とは、「若者雇用促進法」に基づき、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良であると厚生労働大臣が認定した企業とされています。認定基準を例示すると、「直近3事業年度の、新卒者などの離職率が20%以下」「前事業年度の、正社員の月平均の所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員がゼロ」「前事業年度の、正社員の有給休暇の、年平均の取得日数が年10日以上または、年平均取得率70%以上(付与日数に占める取得日数の平均)」などとなっています。その「ユースエール認定企業」を調べるには、厚生労働省が運営する「若者雇用促進総合サイト」があります。いろんな検索条件で探せるのですが、ヒット数が驚くほど少ないので、反面、希少価値はありますし、応募対象つまり就職活動先も絞りやすいかもしれません。

登録確認機関の不継続について

当事務所はこれまで一時支援金における登録確認機関として登録されてきましたが、新たに実施される月次支援金における登録確認機関としての登録については継続しないこととしましたので、お知らせします。
なお、
中小企業庁では、新たに、本年4月以降の緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業や不要不急の外出・移動の自粛の影響により、売上が50%以上減少した中小法人・個人事業者等の皆様向けに「月次支援金」を実施します。
<参考>月次支援金について
★月次支援金のリーフレット:
https://www.meti.go.jp/covid-19/getsuji_shien/pdf/leaflet.pdf
★月次支援金の詳細について:
https://www.meti.go.jp/covid-19/getsuji_shien/pdf/getsujishien.pdf

熊本県事業継続・再開支援一時金の申請期間の再延長について

熊本県ホームページ(5月26日更新)からの以下引用の通り、熊本県事業継続・再開支援一時金の申請期間が再延長されているので、お知らせします。

熊本県事業継続・再開支援一時金の申請期間を延長します

熊本県独自の緊急事態宣言(1/14~)に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛の影響により、売上が減少した県内に店舗や事業所等を有する中小事業者等に対し交付する、「熊本県事業継続・再開支援一時金」について、5月31日(月曜日)までとしておりました申請期間を再延長し、6月14日(月曜日)までとします。
申請期間
【現在】
2021年3月1日(月曜日)から5月31日(月曜日)まで

【延長後】
2021年3月1日(月曜日)から6月14日(月曜日)まで
申請方法等はこちらから

ブルシット・ジョブの主要5類型を知る

『ブルシット・ジョブ』を読み出したところですが、これはこれまでの職業人生を振り返りたい人にとっても、これから職業人生を迎えようという人にとっても有益な本だと思います。本書は、世界各国のブルシット・ジョブ経験者の証言データを基にした共同プロジェクト的な構成となっていて、きわめて説得力があります。私自身も35年余りの職業体験でブルシット・ジョブは身近ですので、すんなりと頭に入ってきます。ところで、そのブルシット・ジョブの主要5類型として以下が示されています。「取り巻き(フランキー)」「脅し屋(グーン)」「尻ぬぐい(ダクト・テーパー)」「書類穴埋め人(ボックス・ティッカー)」「不要な上司・仕事割当係(タスクマスター)」がそうです。自分自身の仕事の中にそれらが含まれてもいましたし、周囲にもそのような役回りの人がずいぶんいた職場環境を体験してきました。1980年代はイリイチが指摘する「支払われない労働(シャドウワーク)」が話題になりましたが、当時はどうでもいい仕事の存在に目を向けてはいませんでした。この点はまた考えたいとは思います。1930年に経済学者のケインズは、20世紀末までに英米のようなテクノロジーが発達した国では週15時間労働制が実現されると予言しました。現在のところそれは当たっていないのですが、仕事の中身を問うと、十分実現可能なのではないかという気がします。