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日本を現場とする国際人権問題

今読んでいる『国際人権入門』を読むと、日本社会で起こっている国際人権問題についていかに無自覚であったかと思い知らされます。私のような行政書士の立場にある人でもそうだと思います。たとえば、行政書士試験に合格して行政書士になる人は、憲法や民法などは学習経験があるはずですが、入管法もヘイトスピーチ解消法もそれらの各法について知るのは行政書士になってからだと思います。ましてや人権問題の国際基準について学ぶのはよほどの機会がなければありません。本書では、国際人権条約の条約機関の活動の中身の解説だけでなく、日本の入管収容施設における外国人の人権侵害問題、ヘイトスピーチ解消法の限界など、なかなか実情を知り得ない部分に光を当てて教えてくれます。中国その他の海外の人権問題もそうですが、足元の人権問題が、なぜ国際人権問題なのかを知ることは、なぜ日本政府の取り組みが及び腰なのかを知ることにもつながってくる思いがします。

無自覚ほど怖いものはない

昨日、外国人の方と会った後に、その方の出身国の人名について興味を持ち、後で調べてみました。それによると、その国では一般にいわゆるファーストネームしかなく、いわゆるラストネームはないのだそうです。しかし、それだと同じファーストネームの人が多いので、いわば区別するために、姓名代わりに父の名前を付け名乗ることはあるそうです。たとえば、父の名前が「太郎」、その息子兄弟の兄の名前が「一郎」、弟の名前が「二郎」だったとします。そうすると、兄は日本では「太郎一郎」、弟は「太郎二郎」として名乗っていることになります。仮に祖父の名前が「一夫」だっととすると、父は日本風には「一夫太郎」と名乗ることになります。ともかく、姓がないのですから、日本の常識で考えると、父と息子の関係が親子だということが、名前だけではわからないと思います。でも兄弟は兄弟、親子は親子としての絆はあり、その外国人は生きておられます。日本でも姓がなければ、夫婦の姓に悩む必要もありませんし、能力に見合わない世襲の弊害もなくなったかもしれません。
それで、きょうはある日本人の高齢者の方と話をする機会があったのですが、正確に言えばまったく会話が成立しませんでした。高齢者の方は自分の勝手な思い込みだけで、話をするだけで、こちらの説明することを聴かなかったり、説明されても理解ができなかったようです。認知症の傾向がみられましたが、そうした方が何か重要な職務を任されていたり、自動車の運転をするのはたいへん怖いなと思いました。

国内法と国際法の関係について

国内法と国際法の関係について放送大学テキストの『法学入門』の記載からメモを残しておきます。私自身は仕事柄少し国際法とは縁のある、行政書士という立場にいます。たとえば、在日外国人の難民認定についていえば、当然に難民条約の規定を意識しなければなりません。それだけではなく、迫害の背景を知ることも必要になります。インターネットを利用する上での著作権侵害の問題を検討するとなれば、まさしく世界に影響しますから知的財産保護の条約の規定も意識しなければなりません。といっても、いつもすらすら頭脳から湧き出すことはないので、必要に応じて資料にあたる作業が求められます。
まず国内法は必ずしも国内だけに適用されるものではありません。日本の刑法を例にとると、日本国民または外国人が、内乱罪、通貨偽造罪などを犯した場合(すべての者の国外犯)、日本国民が殺人罪、業務上堕胎罪などを犯した場合(国民の国外犯)、そして外国人が日本国民に対して殺人罪、強制性交罪などを犯した場合(国民以外の者の国外犯)は、適用されます。ただ、立法・執行・司法の国家管轄権が競合することがあるので、それは属地主義が基本となります。次に国際法(条約と慣習国際法)はどうかというと、国家はそれを遵守する義務があります(国内法援用禁止の原則はありますが、国際法に違反する国内法はただちに無効となるわけでもありません。しかし、国際法上の国家責任は問われます)。それにとどまらず、条約についてはそれぞれの国家で一定の措置が取られた後に、慣習国際法についてはなんらの国内的措置も取られることなく、国内的効力をもつとみなされています。
そこで問題なのは、国際法の国内的効力がどう確保されるかです。第一は、条約を国家の国内的な手続きを経て公布・発表する一般的な受容方式で、日本や米国、中国など多くの国家で採用されています。第二は、条約の内容を国内法のなかに移し替える変型の受容方式で、イギリスやスカンジナビア諸国で採用されています。なお、慣習国際法は特段の措置をとることなく国内的効力が認められています。
さらに、国際法を直接に国内裁判所が適用して判決が下せるかという問題があります。これに関連して国際法の国内的序列の問題もあります。日本においては、憲法と条約とでは憲法優位説が支配的とされています。慣習国際法と法律とでは慣習国際法が優位であり、憲法とでは憲法が優位と一般に考えられています。
そこで、前記の国際法の直接適用の問題ですが、最近の裁判例として以下があります。
・受刑者接見妨害国家賠償請求事件(高松高判H9.11.25)・・・受刑者が接見を制限されていることについて「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」14条(公正な裁判を受ける権利)違反を主張した例。→監獄法施行規則という法令よりも上位にある人権条約違反にあたらないかが審査され、損害賠償が認められた。最高裁判決では逆転敗訴となった。
・大麻取締法・関税法違反事件(東京高判H5.2.3)・・・外国人の被告人が通訳料の負担を命じられたことについて同規約14条3項(f)(無料で通訳の援助を受けること)違反を主張した例。→条約の具体的規定を裁判規範として用いて、通訳料の負担を命じた国側の行為が違法と認められた。ただし、現在も刑事訴訟法第181条第1項本文の改正は行われていない。
・小樽入浴拒否事件(札幌地判H14.11.11)・・・公衆浴場への外国人の入浴を拒否されたことについて同規約26条(法の前の平等・無差別)および人種差別撤廃条約5条(f)・6条違反を主張した例。→民法1条、9条、709条の解釈にあたっての基準として人権条約を間接適用し、入浴施設に賠償支払いが命じられた(高判で確定)。市の条例制定責任は最高裁まで争われたが認められなかった。
本書ではあまり触れられていませんでしたが、国内の人権状況が各条約機関からどのようにみられているのかについて確認する必要があります。ほんとうに国際水準に達した人権先進国なのかどうか、各条約機関から勧告の対象となっている国内法が意外と多いことを知ると驚きです。その点については、私が人権擁護委員として一端を担う法務省の人権擁護行政もお粗末極まりなくパリ原則が求める人権擁護機関の水準ではありません。人権委員会設置の方向も考えられているようですが、法務局の多くの職員はふだん国際法を意識することなく仕事をしています。

なぜ歴史を学ぶべきか

本投稿で何度か触れましたが、『中国と東部ユーラシアの歴史』はたいへん有益な歴史解説書でした。中国の今と未来志向を知るには歴史を学ぶ必要が高いということが理解できました。それを知って現代中国の政権はたいへん難しいこと、無理なことをしようとしていると思えました。どう付き合えば、相手を動かせるのか、そうした点も語学力以前に歴史的知識に基づく洞察力が必要だと思います。さまざまな民族の事情を理解することで、在留資格申請取次の業務においても役に立つと感じます。

新型コロナ関連の外国人生活支援策情報のご案内

外国人の生活支援のため、やさしい日本語や多言語(英・中・韓など)により住居確保給付金・特別定額給付金申請などについて案内されたホームページを、法務省が紹介しています。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00052.html

新型コロナに関する在留諸申請における取扱い

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う諸情勢により、申請受付期間及び申請に係る審査結果の受領(在留カードの交付等)期間の延長について、既に講じられている申請受付期間の延長に加え、申請に係る審査結果の受領(在留カードの交付 等)期間の延長が行われることとなっていますので、お知らせします。詳しくは、下記のURL先及び法務省ホームページをご確認ください。

●申請受付期間及び申請に係る審査結果の受領(在留カードの交付等)期間の延長について
http://www.moj.go.jp/content/001315947.pdf

法務省ホームページ  http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/20200131comment.html

2020年度の行政書士無料相談会

2020年度も熊本県行政書士会による無料相談会が開かれます。一例を挙げると以下の通りです。
ゆうちょ銀行熊本支店(熊本城東郵便局)・・・毎月第3木曜(祝日と重なるときは翌平日)11-16時
熊本市国際交流会館・・・毎月第1水曜11-16時
熊本県庁新館人権センター・・・毎月22日(祝日と重なるときは翌平日)11-16時

入国制限の意味は

3月から在留期間延長の手続きが満了日の1か月後以内までと延長されました。一方で中国韓国からの入国制限もとられています。しかし、これが感染症防止に効果的だとは思えません。むしろ、経済や社会生活上での損害を大きくする弊害の方が深刻な気がします。発症したと分かっている人がわざわざ入国するとは思われませんし、もともと日本の感染状況がひどいと考える人は、わざわざ入国する動機が欠けると思います。仮に感染しても早く検査ができる体制がなければ、海外から人はやって来ないでしょう。

行政書士記念日

2月22日は行政書士記念日。この前後に各地で無料相談会が実施されるのですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で開催が心配です。先日は外国人の相談に応じましたが、こういう時期だからこそ支援を要する人は多いはず。相談受付方法もいろいろ考えなければなりません。

外国人と付き合う前に 

在熊ベトナム人の相談に乗っている方の話を聴く機会がありました。ベトナム人の生活習慣や考え方からくる日本人雇用主とのコミュニケーションの齟齬が理解できました。何よりも雇用主側の規範意識にも問題があることに恥ずかしい思いを抱きました。第三者の立場から外国人を支援する体制の充実が必要だとつくづく感じる時間となりました。

多文化共生

この1週間で3回、熊本市国際交流会館へ行く機会があります。その1回が今月22日に開かれる「多文化共生シンポジウム」への聴講参加です。海外からの人々をどのように受け入れて定着してもらうのか、考えてみたいと思います。

追記:本シンポジウムは開催中止となりました。

許可率の差

昨日受けた在留許可申請に係る研修で興味深いデータが、永住者許可申請の許可率の低下と地方別の差でした。要件が厳しくなっている上に、ある地方では特に許可される率が低くなっています。要因を詳しく知りたいものです。写真は投稿とは関係ありません。きょう仕事でおじゃました施設の入り口にある銅像です。

久々の福岡市内

外国人の在留許可申請を取り次ぐ行政書士の実務研修会のため、久々に福岡市を訪ねました。20年ほど前はよく出張していたので、あまり感じませんでしたが、熊本市との差は開いているなと感じました。ましてや大都市と田園都市とでは、地域の課題も違います。しかし、外国人の移住はどこも増えてくるでしょうから、行政書士の出番はますます増えてくるかもしれません。在留管理の側面一色でしたが、在留支援の側面は住民に近い存在だからこそできるともいえます。

人権擁護について学ぶ

人権擁護委員に委嘱されたのを機会に改めて人権擁護について学び直してみたいと思います。順序が逆ではないかといわれるのはよく承知していますが、何事もその立場や環境に置かれないと、我が事として理解すること、身に付くことはないと思います。たとえば、行政書士という資格も試験に合格した人は有することができますが、それでは実務ができるかというとまったくそんなことはありません。依頼者にとってその案件が初めての経験であるのと同様に、専門家にしても初めての事例ということはありえると思います。人権擁護委員は、法務大臣が委嘱した民間の人達で、人権擁護機関を構成する一翼を担っています。人権擁護委員制度は、様々な分野の人たちが、地域の中で人権尊重思想を広め、住民の人権が侵害されないように配慮し、人権を擁護していくことが望ましいという考えから1948年(昨年が70周年)に創設されたものであり、諸外国にも例を見ないものです。現在、約14000名の委員が全国の各市町村に配置され、地域に密着した積極的な活動を行っています。ちなみに人権という言葉が日本でも知られるようになったのには、世界人権宣言第1条の存在が大きいと思います。それには、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」とあります。つまり、国籍を問わない共通テーマです。

こども六法

10月1日付けをもって法務大臣より任期3年間の人権擁護委員の委嘱を受けました。活動の一環で法務局宇土支局や宇土市役所内で人権相談に応じます。とはいえ、相談に自ら赴ける方は支援の手が必要な人の一部に過ぎません。子どもや外国人が人権擁護委員の存在を知っているか、利用できる環境にあるか、心もとないのが現実です。ちょうど『こども六法』をこれから読んでみます。著者は20代の大学研究員で子ども時代にいじめを受けた経験がある方です。変てこな道徳教育ではなく子どもにこそ法律の知識が必要だと思います。残念ながら学校の先生に声を届けても先生自身がいじめという犯罪を封殺し、結果、被害者・加害者の人生を悲しいものにすることがあります。同じ法務省の組織内においても外国人の在留管理行政部門では外国人の人権擁護に厳しさを感じる点もあります。社会はいろんな矛盾に満ちていますが、いろんなところに相談してみれば何か解決の糸口が見つかると思います。どんどん利用してもらいたいものです。

行政書士に聞いてみよう

9月28日の熊本日日新聞最終面に熊本県行政書士会が10月に実施する無料相談会の広告が掲載されています。暮らしの困りごとはいろいろ専門家に聞いてみるのが解決への早道です。ぜひ活用してください。

10月の相談員担当

以下の日程で行政書士無料相談員として参加対応します。
10月17日(木)10:00~16:00、鶴屋百貨店本館7階 レストランアベニュー レストスペース
10月20日(日)13:00~17:00、熊本市国際交流会館2階 外国人支援総合相談プラザ

更新講習

今週は宅地建物取引士の更新講習の受講を予定しています。宅建士証の発行を受ける場合は、5年ごとにその更新手続きが必要です。わずか1日の講習ですが、その間に法改正もありますし、必要なことだと思います。行政書士の場合は、入管申請の取次を希望する場合は、3年以内に講習を受けないと出入国在留管理局への届け出がなされません。さまざまな専門職に依頼される場合に、所属団体実施の講習を積極的に受けているかどうかは、資質を判断する要素になります。極端な話、所属団体内で処分を受けている会員は研修を受講できないこともあります。

外国人の廃業活動

外国人による対日投資を促すため、福岡市のような国家戦略特区では、外国人による起業活動のための在留期間が1年まで認められています。しかし、不幸にして外国人が経営・管理する会社を廃業しなければならなくなったときは、なかなか厄介です。私が出会ったケースでは、外国人代表者一人により経営している会社で、その代表者が不慮の死に遭い、残された外国人家族が会社の後始末にかかわることとなりました。会社の解散・清算はスムーズにいく場合でも半年やそこらかかります。もしも破産手続きに移行しようものなら平気で1年は越します。しかも、同社の本店は賃貸物件が所在地となっていましたので、残された代表者家族の住まいへ移そうかと考えていましたが、在留管理当局の判断は、外国人遺族の中長期在留は不可という判断でした。清算業務の期間がどのくらいかかるかは、簡単にわかるものではありません。債権者の所在や回答連絡が不明の場合は、ゴールが長引いてきます。結果が分からないものを立証せよという当局の求めには無理を感じましたし、同じ官庁下にあってもほかの部署の仕事にはほとんど無知なのがよく分かった例でした。