2019年」タグアーカイブ

5世紀前半頃の古墳出土品が物語るもの

本日1日限定で特別公開された、県内最大級の古墳である長目塚古墳の出土品を拝見してきました。会場は昨年12月に復旧工事が完了した阿蘇神社の斎館です。というか、70年前の発掘調査で見つかった出土品を収蔵しているのは、阿蘇神社です。今年3月にそれらの出土品が熊本県重要文化財に指定されたということでした。埋葬されたのは、35歳くらいの女性で、当時の豪族の阿蘇氏の一族とみられています。勾玉、ガラス玉、鏡、鉄製品などが出土していますが、銘文とかはありません。須恵器といった土器文化の時代であることもうかがえます。考古学は科学ですから、これらの物証だけでいっても、かたや祖先を神話の世界のおとぎ話からもってきている神社の立場は、今度の公開とどう両立させているのか、たいへん興味深いものがありました。

移民に選ばれる国といえるか

翁邦雄著『移民とAIは日本を変えるか』(慶應義塾大学出版会、2000円+税、2019年)を読みました。日本における人口減少は確定的未来ではなく、国民による選択の余地が大きいと著者は言います。移民の増加は人口ピラミッドの姿に大きな影響を与えつつあると見ています。ちなみに政府はしばしば移民政策はとらないとケムにまきますが、国際的定義によれば3カ月以上の移住を指しますので、技能実習生も移民として捉えます。そこで、移民に選ばれる国としての受け入れ体制が課題になります。統合ではなく包摂という考え方を示していました。一部に治安悪化を心配する向きがありますが、初めから犯罪目的で入国する外国人は少なく、劣悪な職場から逃れて生活困窮の結果、そしてしばしば日本語能力も貧弱なまま罪を犯したケースの多さに目を向けなくてはならないと思います。ドイツの移民政策やベトナムの国民性の情報も参考になりました。AIの進化については労働者の仕事を一部代替していく省力化で労働需要を一部緩和し、かつ労働需要を高賃金と低賃金とへ二極化させる可能性が高いと著者は言います。ただし、中期的視野で人口減少を相殺し、大失業を発生させる可能性は小さく、むしろ人口減少圧力がまさることが予想されると見ています。結果として移民への期待は今後も高まるというわけです。繰り返しになりますが、問題は移民に選ばれる国であるかどうかを考えなくてはなりません。

教育格差がもたらすもの

松岡亮二著の『教育格差』(ちくま新書、1000円+税、2019年)を昨日一気読みしました。信頼性の高い統計情報に基づく説得力のある論証は、読み進めやすい思いがしました。ある程度実感していることですが、教育格差は小学校入学前から存在し、小中高と進むほどに拡大しているという事実が明らかにされています。格差の要因は、親の学歴や文化資本、地域、学校環境となっています。社会経済的地位が高い家庭に育った子どもは、将来、やはり社会経済的地位が高い親になるということが実証されています。つまり格差の再生産が続くというわけです。皮肉なことにそうした実態を知り得るのは、社会経済的地位が高い家庭となりがちなので、たまたまそれが低い家庭に生まれた子どもは、高い教育を受ける可能性を減らされていることになります。著者の考えは、このように子どもの可能性が殺されるのを社会の損失だとしています。たとえ、一学年の1%でもその可能性を救えれば、1万2000人の子どもを救うことになり、社会の平均値が上がることは、全体の利益になると考えています。教育格差があるということは、教員や私のような専門職にも地域格差があることを示しています。まずは、根拠のある事実を認めて少しでも改善することを続けなくてはなりません。

歴史のイロハ

昨日は、所属団体の研修受講で帰化申請と特定技能について学びました。前者については進めていくことが重要だと思います。しかし、後者についてはこの先不透明な制度だと考えています。社会を支えてくれる貴重な人材(労働者)として受け入れるだけでなく、社会に定着して共に生きる住民(生活者)として受け入れるべきだと思います。つい2000年前までは、文字すらもたなかった日本(その頃は日本という成り立ちもなかったわけですが)が今日のような形になったのも海外からいろんな人材や文化・技術を取り入れてきたからこそです。ここを無視して伝統だのいっても底が浅い歴史認識を示すことにほかなりません。もっとも移民で成り立っている米国でも分断傾向が見受けられるのは、知的劣化としか言いようがありません。

安易な仮払い利用は危険

今週末に地元でエンディングノート活用の講話を行います。その中で、相続法の改正についても少し話をします。7月1日から施行になった相続制度の一つとして遺産分割前の仮払いがありますが、故人の借金が多い場合、安易に利用してしまうと、後で「相続放棄」ができないことがあるので、慎重に考えないと危険です。
相続が開始した場合、相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。その選択は、自身が相続人であると知ったときから3ヶ月以内に行う必要がありますので、その見極めがつかない時期に仮払いを利用すると、単純承認したとみなされかねない危険があります。
1.相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ「単純承認」
2.相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない「相続放棄」
3.被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、財産が残る可能性もある場合等に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ「限定承認」
※相続人が、2の「相続放棄」又は3の「限定承認」をするには、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。そして、これは 自身が相続人であると知ったときから3ヶ月以内に「相続放棄」や「限定承認」の手続きを取らなければ、自動的に「単純承認」となります。「限定承認」をする場合には、相続人となった人全員が共同で申し立てすることになります。

電子政府は推進できたか

4期8年間にわたって委嘱されていた総務省電子政府推進員を先日退任しました。行政手続きにおける情報システムは、この間、激しい盛衰があり、電子政府を推進するのはたいへん難しいと感じました。電子証明書が収納されているマイナンバーカードを利用するのは年間何回あるだろうかと思います。いずれ健康保険証も組み込まれるとのことですが、便利なようで個人の健康状態が監視されているようで気味の悪さも感じます。もっとも健康保険も加入しているだけで医療機関のお世話になることはここ最近はまったくないので、それが続けられるようにしたいものです。

久々に全国大会へ参加予定

全国大会といってもウエイトリフティング競技審判としての参加ですが、かごしま国体リハーサル大会として11月22~23日に開かれるレディースカップ全日本女子選抜選手権に出ます。階級や順位決定が変わりましたし、進行方法も変わりました。そうでなくてもミスはアスリートへ迷惑をかけるので、審判はいつも緊張するものです。

水俣への旅のご案内

女性対象の旅のご案内を、水俣病資料館語り部の会事務長さんからいただきましたので、紹介します。旅の案内人は、地元・水俣の女性たちです。水俣のいろんな魅力に触れられそうです。申し込みは、リーフレットに掲載されているQRコードからお願いします。

いい講師とは

本日は所属団体の研修でした。講師が言われるには、いい講師とは受講者にもっと勉強しようという意欲を湧かせることだそうです。その意味では、本日のテーマが相続法の改正だったのですが、さまざまな課題が見つかり、専門家としてどうすべきか考えさせられる点がありました。たとえば、遺産分割前の仮払いが認められるようになりましたが、被相続人の借金が多い相続人がヘタにこれを使うと、相続を承認したことになり、あとで相続放棄ができず借金を背負ってしまう危険性があります。もう一つ相続人ではない長男の嫁の特別寄与料の請求が認められるようになりましたが、これは6親等以内の血族や3親等以内の姻族に限られます。事実婚や同性婚のパート―ナーが請求することはできません。法律の落とし穴・傘の外を知らないでお客に説明すると迷惑をかけてしまいます。来週は自身が講師として話す機会があるので役立てたいと思います。

8月も早や後半

台風だ、お盆だといっているあいだに8月も早や後半に入りました。いろんな行事の予定がどんどん入ってきています。読書は、また『〈自閉症学〉のすすめ』に戻っています。複数の著者からなる本ですが、自閉症の子どもを育てた経験をもつ著者の記述もあり、収穫の多い書です。

規範の始まり

東京国立博物館で開催中の特別展「三国志」が10月には九州国立博物館へやってきます。大いに関心はあるのですが、とりあえず古典中国の研究者である渡邉義浩氏による『漢帝国』(中公新書、880円+税、2019年)を読んでいます。帝国の規範となる『史記』などの書物の存在を面白く思いました。皇帝を諫める存在でもあり、忖度される存在でもあり、現在の権力と憲法・法律・公文書との関係に近しいものを感じました。氏族制を排除する考え方もあり、天子と皇帝の据え方についての考え方も面白く読みました。漢帝国の時代の思考と行動がそのまま現代の中国に影響しているとは思いませんが、文化的背景で引きずる点はあるかもしれません。西洋哲学と古典中国のどちらの文化からも、内政と外政へのうまい制御の仕方が学べるはずです。素養として必要だと思います。

皇軍兵士の置かれた実態をさらす良書

昨日買った吉田裕著『日本軍兵士』(中公新書、820円+税、2017年)は、その日のうちに2時間余りで読了しました。国力が疲弊する中で、装備も兵士の身体も貧弱になり、精神的損傷の実態も明らかにされています。出撃する航空機搭乗員に対して繰り返し覚せい剤が使用された証言も載っています。こうした分野の研究は、著者自身が述べるように戦後のある時期まで空白に近い状況でしたし、年数が経つほどに今度は当事者や資料が失われることとなり、困難な環境になっています。私が手にした本の奥付を見ると、2017年12月の初版以来、今年2月で15版を重ねていますから、皇軍兵士の置かれた真実を知りたいという読者はかなりいたことがわかります。もちろん、装備や武器の性能が優れていたら、それでいいというものではありません。戦争の渦中に置かれれば、誰しもが不幸になる史実こそを知るべきだと思います。

お盆の読書計画

『〈自閉症学〉のすすめ』の読書は、遅々として進みません。いろんな分野の学問を俯瞰的に眺めることができるので、発見の多い本です。味わいながら読み進めることとします。こんなときは、別の新書本を間に入れることもあります。吉田裕著『日本軍兵士』(中公新書、820円+税、2017年)と渡邉義浩著『漢帝国』(中公新書、880円+税、2019年)を本日買い求めました。いずれの著者もごく最近新聞やTVに出ていたからです。

若い知人の訃報に接して

市内の介護施設入所者訪問の翌日、4年前に合同会社設立のお手伝いをさせてもらった30代の経営者の方の訃報に接しました。地域に根差したリハビリのデイサービス事業を起こされた方でした。法人設立の相談に乗らせていただくときは、依頼者の志を聴かせていただきます。それだけに志半ばで旅立たれた故人の思いが残ります。事業所は異なっても、故人の意をくんだ介護サービスが地元の施設で受けられればいいなと思います。さまざまな施設を訪問する機会が多いので、直接間接に資質が上がるよう提言したいと思います。

健診受診率を上げるには

市の健康づくり推進協議会に本日出席しました。市内の国民健康保険被保険者の特定健診の受診率が上がらないことが課題となっています。受診率が低いと病気が見落とされる危険が高まり、重症化してから医療機関にかかるので、国保財政が悪くなる、保険料の値上げへ向かうことを行政は危惧しています。受診率が上がれば、その成果を評価して国から交付金が出るそうですが、地元市は県内最下位の交付額なのだそうです。受診料を無料にしたときは少し受診率が上がったそうですが、今はそうではありません。もともと国保は社保と異なり、被保険者は個人事業主や非正規労働者、無職の方です。社保被保険者であれば、勤務している事業所が費用も負担して受診させますから、国保被保険者の受診率が低いのは当然に思えます。無料で受診を促すしか手はないように感じます。

サイバー法人台帳のページを削除しました

昨日、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より提供されている「サイバー法人台帳ROBINS」のサービスを、2020年3月末で終了すると通知がありました。それに伴い、関連の紹介ページを削除しました。

少年の主張大会傍聴記

毎年夏休みのこの時期、市内の小中学校代表による「少年の主張大会」が開かれます。今年の大会が昨日開かれましたので、傍聴のため参加しました。家庭内に障害を持つ弟と暮らす子ども、ドクターヘリで救急搬送された経験を持つ子ども、両親を相次いで病気で亡くし祖父と二人暮らしを続ける子ども。いろんな境遇や経験、人との出会いがあり、自分の気持ちや考えが変化して成長を続ける純粋な姿がありました。いじめによる自殺問題を取り上げた子どもいて、適切な対応を行っていない学校関係者にこそ聞いてほしいと思いましたが、果せるかな聞いてほしい学校関係者の姿は会場にはありませんでした。せめて出場者全員の主張をすべて文集にまとめて広く市民が読める機会が得られないものかと思いました。

菊池千本槍

今週、菊池市を訪ねる機会があり、地元の菊池女子高校郷土芸能部の生徒による「菊池千本槍」の演舞を鑑賞しました。初めて耳にした言葉でしたが、元ネタは、南北朝時代の逸話に遡るようです。箱根・竹ノ下の戦いにおいて劣勢となった南朝方の菊池氏勢1000名が、竹竿の先に短刀を縛り付けた即席の槍を用いて逆撃に転じ、相手方の足利勢3000名を敗走させたとのことで、「劣勢の側が創意工夫を以って多勢を征する」ことの例として、武家の精神を表すシンボルになったようです。この逸話は、太平洋戦争の戦意高揚にも利用されていたことも知りました。松尾敬宇海軍大尉が先祖伝来の菊池槍を携行して特殊潜航艇によるシドニー港攻撃に臨んで戦死し、軍神・松尾中佐となったことを描いた、戦中の1944年大映製作の映画『菊池千本槍シドニー特別特攻隊』(菊池寛監督)にもその名が使われています。

不都合な事実の合理化

学校という閉鎖空間で行われるいじめと、戦争における殺りくには行う者の心理に似たようなものがあるのではないかと思います。そうすることを正義と思い込む合理化がないと、それを続けることはできないと思います。問題は、実行者だけではありません。傍観者の存在も被害者にとっては実行者と同じです。傍観だけして何も語らない、動かないのは罪だと考えます。いじめの実行者や傍観者の教育が適切に行われない場合、その者たちが将来恵まれた人生を過ごせるとはとても思えません。そうした者たちは応援してくれる他人に恵まれないと思います。

民生委員児童委員のススメ

今年の12月1日は、全国一斉に任期3年の民生委員児童委員と主任児童委員の改選となっています。中には、11月30日でもって退任する委員もいるので、その後任者の推薦で地元の自治会長たちは動いていることだと思います。ですが、昨今、この新任委員候補の発掘が難航しているようです。担当地域内の高齢化率があまりにも高くて適任の年齢層が薄いという問題もあります。しかし、大部分は推薦者側の委員活動への理解不足や誤解の要素が大きいと思います。委員の仕事がたいへんだとかなり重く捉えられているふしがあります。ですが、そこまでたいへんかと言われると、自治会長の仕事の量に比べたら軽いです。そのために無報酬の仕事となっています。逆に福祉のこと、教育のこと、法律のことを勉強できて楽しいと思います。行政職員や地方議員以上に現場を見聞きしていろんなことを考えるはずです。問題解決することまで求められてはいませんが、行政や議会へ声を届けるだけでも支援を必要とする人にとっては十分大きな力になります。だから積極的に委員の担い手になっていただくことを望んでいます。