香港問題をどう考えるか

香港がイギリスから中国に返還された1997年に中国本土を訪れた経験があります。街中の書店だったか空港内の売店だったか記憶があいまいですが、店頭に香港の基本法の書籍が多数平積みされていた覚えがあります。清朝時代末期からイギリスの植民地となっていた土地がとにかく中華民族の手に戻ってきたことに対する喜びというか、祝福の気持ち、あるいはかつての宗主国との交渉から成果を得た自信のような雰囲気が本土の人々にあったのではないかと思います。しかし、50年間の一国二制度を約束した共同声明がありながら、23年後の今日にそれを形骸化する行動に中国政府は出ています。中国政府の立場からは、香港という土地はもともと中華民族のものだから、どのような統治を行うか、他国政府から言われるのは内政干渉と反論してくるのは当然です。それを踏まえると、たとえば日本が香港を占領していた第二次世界大戦が終わってから当時の戦勝国の中華民国が国連加盟国であった期間までに、なぜイギリスが今の台湾へ返還しておかなかったのかという考えもあるかもしれません。そうなると、イギリスの責任を問うのかという話にもなりますし、その後の力関係からいっても台湾が統治するのはそれはそれで無理だったかもしれません。結局のところ、香港に暮らす人々の人権の問題としてしか国際的な支援はできないのではないかと思います。思想信条の違いを理由に身体を拘束するとか議員立候補が禁じられる人権侵害の観点から諫めるしかありません。香港市民はけっして中国政府の所有物ではなく一人ひとり自立した人間として見なければならないと考えます。どの国家にあっても自国の領土内の人間は政府の思い通りに統治してよいということにはならないというのが世界の共通理解としてなくてはなりません。