怠慢行政と御用専門家を炙り出す書

引き続き『生き続ける水俣病』を読んでいます。女島地区に限っても家族の中に認定患者もいれば、認定申請を取り下げて医療手帳・健康手帳等を保有する「被害者」の道を選んだ人もいます。さらには、近隣地区では本人の意思や社会的立場から申請自体を行わなかった人もいます。かつて独自に健康調査を実施した医師の言葉を借りれば、水俣病は一つであり、認定患者とか、手帳を持った被害者に分かれるのはありえないことなのですが、申請しても待たされる一方で、やむなく手帳を取得した実態を見ると、住民に認定申請を諦めさせることにしか行政の執心はなかったのではと思わされます。認定審査会に属する委員は、こうした住民の実態を知らない専門家で固められており、本書を読んでみてから自分の不明の恥を知るべきだと思います。