被害者救済に役立つ研究かどうか

まだ読んでいる途中ですが、井上ゆかり著の『生き続ける水俣病』で描かれる女島の漁民の生活史はたいへん興味深い記録です。漁民たちの人間関係や食生活、情報流通などを知ると、近代化していく街の暮らしとはまったく異なる時間の流れ方をしていたのだなと感じます。そのあたりを根拠づける行政がまとめた各種の統計資料も使われています。水俣病にかかわる学術研究で私の評価はただ一つです。それが被害者救済に役立つ事実の記録であるかどうかです。これを読むと、多くの住民が棄て置かれたのは間違いないと思います。