無知を知る

藪野裕三著『有権者って誰?』は、中高生など若い有権者向けに書かれた本でしたが、55年体制後の有権者の投票行動の変遷を知るにはいいテキストでした。一票の集積が55年体制に大きな変化を与えた政治テーマとして著者は、消費税導入を指摘しています。確かに消費税は、全世代の国民に係るテーマで、現在の新型コロナ対策に匹敵するものです。あと同書で興味深かったのが、大学進学率の向上の一方で、勤労生活からもたらされる社会課題への関心の低下という流れでした。有権者の年齢下限が近年18歳に下がりましたが、今高校を卒業して働く国民の方が少数派です。それと労働組合そのものの組織率が低くなり、組織されていても力がなく、働きながら社会課題を考え政治を語ることがなくなってきています。社会にいながら政治に主体的に参加する環境が失われてきています。本来は学校教育の場で政治参加について学ぶのですが、投票を促す教育はあっても、社会課題について意見を交わす素地がないのではと思います。私が在学していたころはまだしも社会のことを考える教員がいましたが、今は組合活動をする教員と出会う機会がほとんどありません。市民運動を支援するような教員と出会うことはまれです。極端に言えば社会について無知な勤労者が増えているのではないかと思います。まずは自分の無知を知ることから始めたいと思います。自分とは立場が異なる人の存在を知ることを努めたいものです。