人類史でちょっと考えてみよう

SNSで誰もが発言できるようになった分、自らの知性の欠落を示す発言を目にすることがよくあります。たとえば、隣国との友好を口にすることは、純粋な日本人ではないという書き込みを目にしました。ナチス時代のユダヤ人認定がばかげたことであったように、しばしば民族浄化の思想には人類史の視点を欠いた根拠のない思い込みで愚民を翻弄する傾向があります。結論から言えば、純粋な日本人なるものは、存在しません。もしあるというなら、他の惑星で発生した生命体が、まったく交流のない島で暮らしているのでもない限りあり得ない話です。そもそも日本というのが、いつの時代からどこからどこまでの土地を指してあったのか、それすらも明確に定めることはできないでしょう。すべてはあいまいです。かなり時代を下って縄文人も弥生人も日本人というのなら、それだけで純粋な日本人はいないという話になります。誰でも発言できること自体はいいのですが、民族浄化思想、ヘイト思想に染まる人は、こうしたたやすく矛盾が指摘されるウソを見破れないというか、インターネット上の根拠のない情報を信じやすい愚民といって差し支えないと思います。