定型発達のワナ

昨日から読み始めた本は、野尻英一・高瀬堅吉・松本卓也編著『〈自閉症学〉のすすめ』(ミネルヴァ書房、2000円+税、2019年)です。たまにおじゃまする各地の学校にも最近は配慮を必要とする子どもが多いと聞くのですが、短時間の滞在では気づくこともありますし、どちらかといえば気づかないことが多いようにも思います。発達障害の対極が定型発達なのでしょうが、定型発達というのもたまたまそれが多数派を占めた定型と見なされる社会があればこその話で、社会が変われば、発達障害とされる行動も異なることになります。つまり多数派の行動を常識と捉えるのは疑ってみた方がいいと思います。
話しは変わりますが、日韓の政権同士の不和がそれだけにとどまらず日韓の国民同士の交流にも悪い影響を与えているのを憂慮しています。根底には徴用工への補償をめぐってお互いの政権が言わなくてもいいことを語り、敵を作ることで政権の浮揚を図る危険な運営を続ける思慮のなさを覚ええます。輸出管理についても報復と捉えられる行動に走ったのは、大人げなかったと思います。仮に輸出管理に問題があったのであれば、国ごとの対応ではなくて、許可対象ごとの対応をとればいいだけの話で、本来の目的よりも違う意味を持たせる結果となり、信頼の回復を遠のける形となりました。
表現の不自由展の中止もたいへん残念なことでした。自分が見たくないものを人にも見せるなという了見の狭い人がいるものだと思いました。寄ってたかって嫌がらせを行うのではなく、見たくないのであれば見なければいいだけだと思います。展示された作品の実物を見たことはありませんが、報道で知る限り日本がひっくり返るほど衝撃的な作品だとは思えません。何を恐れているのかと思います。
古今東西近しい関係だからこそ、対立が生まれることがあります。冷静さを欠くと大義や利益をしばしば失うことを忘れてはなりません。