菊池千本槍

今週、菊池市を訪ねる機会があり、地元の菊池女子高校郷土芸能部の生徒による「菊池千本槍」の演舞を鑑賞しました。初めて耳にした言葉でしたが、元ネタは、南北朝時代の逸話に遡るようです。箱根・竹ノ下の戦いにおいて劣勢となった南朝方の菊池氏勢1000名が、竹竿の先に短刀を縛り付けた即席の槍を用いて逆撃に転じ、相手方の足利勢3000名を敗走させたとのことで、「劣勢の側が創意工夫を以って多勢を征する」ことの例として、武家の精神を表すシンボルになったようです。この逸話は、太平洋戦争の戦意高揚にも利用されていたことも知りました。松尾敬宇海軍大尉が先祖伝来の菊池槍を携行して特殊潜航艇によるシドニー港攻撃に臨んで戦死し、軍神・松尾中佐となったことを描いた、戦中の1944年大映製作の映画『菊池千本槍シドニー特別特攻隊』(菊池寛監督)にもその名が使われています。