80年近く前の史実

まだ読みかけですが、クリストファー・R・ブラウニング著『普通の人びと ホローコーストと第101警察予備大隊』(ちくま学芸文庫、1600円+税、2019年)に収められた記録は、まだ80年経っていないポーランドや旧ソ連地域で起きた史実です。ユダヤ人殲滅に携わったドイツ人たちの蛮行と苦悩がこれでもかというぐらいに記されています。殺される側の個々の顔や思いは一切出てきません。ただ殺される数だけが書かれています。人を殺すということは取り返しのつかない犯罪ですが、ある日狂った政治が実権を握ると、こうした愚かな行いに普通の人が巻き込まれていく恐ろしさが実際にあるということを知っておかなくてはなりません。当時の生き延びたユダヤ人の記録としては、イレーナ・パウエル著『ホロコーストを生き抜く』(彩流社、4600円+税、2018年)をお勧めします。