根も葉もある話

当社がミニトマト生産を行っていたころ、養液栽培研究会の研修でミニトマトの尻腐れ病を防ぐには、根からカルシウムを吸わせる必要があると学びました。それ以前には、別の農業技術コンサルタントから葉面散布でカルシウムを吸わせればいいと聞いていましたので、このコンサルタントは無知だということを学びました。確かに葉からもカルシウムは吸うので、葉の状態は良くなります。しかし、葉から果実へカルシウムが供給される管はありません。果皮からもカルシウムは吸いません。果実の状態を良くしたければ、根から果実へ通じる管を使ってカルシウムを与えるしか方法はありません。もっと始末の悪いことに、葉は地上から目視できますが、根は地下部にあるので根が腐っていると、効率的に養分を吸ってくれません。
こんな根も葉もある話が、身近な学校で沸き上がっています。それは、校内での子どもによる子どもへのいじめ、つまり虐待です。学校では、いじめの実態をあまり掌握せずに不登校をなくそうと努めていて空回りしています。いじめが発生しないような対策をとることもなく通学を勧めたら、当然、いじめは続きます。
県内公立学校の教職員の4割が今後10年で定年を迎えるとあって、授業を行う能力の低下が懸念されています。しかし、授業が成立する以前の問題が多いことが深刻に思います。いじめあるいは虐待を起こしてしまう子どもへの対処については、ほとんどの教職員が専門外です。問題を解決しないまま授業を行わざるを得ない状況にあるように思います。本来の務めを果たす場がなく、能力の持ち腐れになっているような気がします。行政にしても児童福祉の専門家があまりにも少なすぎます。
子どもも教職員も疲れて腐れ果てているのですが、地域は葉を見ていて根の腐れに気づいていない、そんな気がします。今、学校の果実は腐りかけています。