流転の海を読み終えて

作家・宮本輝氏が37年をかけて執筆した『流転の海』の完結編第九部を昨日読み終えました。主人公である71歳の父は、息子が21歳を迎えて亡くなります。私自身も来月に長男が21歳となりますので、作品の父子の関係、距離感には近しい思いを持てました。今は、日本統治下の海外での暮らしや戦場経験もある主人公ほど激動の日常があった時代ではないにしても、一人ひとりの人生史にはさまざまなドラマがあるのを、感じましたし、社会や家族の中でどういう人間関係を築いて生きるべきかを絶えず考えさせられる作品でした。これで、もうこの物語の先はないことの虚無感と満足感とがないまぜになった思いを抱きながら、あっけなく長い読者としての役割も終えました。