水俣病展で伝わりにくい問題を伝える

現在、熊本県立美術館分館で開かれている「水俣病展2017」の会場一角で関連書籍の販売が行われています。その中に今月刊行されたばかりの富樫貞夫著『〈水俣病〉事件の61年 未解明の現実を見すえて』(弦書房、2200円+税、2017年)が、置かれていました。出版社の紹介文には、「ひとつの公害病として、水俣病が公式に確認(1956)されてから今年(2017)で61年がたつ。この間、水俣病闘争、見舞金契約、認定問題など政治的社会的にさまざまな動きがあった。それは今も続いており、胎児性水俣病などを含めて世界的に水銀汚染が問題になっている。しかし、水俣病はその大半が未解明のままなのである。本書は、初心者も含めて、「水俣病」の病名、メチル水銀汚染の海域の範囲、毛髪水銀値からみた健康影響、社会的な「認定」と医学的な「診断」の違いなど未解明の問題点を講義した、その記録集。」とあります。2015年11月から2016年3月にかけてその講義は実施され、私も実際に聴講しました。実をいうと、水俣病展で伝わりにくいけれども知ってほしい構造問題が本著作に盛り込まれています。ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。