陶淵明に学ぶ老いの生き方

親戚共一処  親戚 共に一つに処(お)り
子孫還相保  子孫 還(ま)た相(あ)い保つ
觴絃肆朝日  觴絃 朝日(ちょうじつ)に肆(ほしいまま)にし
樽中酒不燥  樽中(そんちゅう) 酒 燥(かわ)かず
緩帯尽歓娯  帯を緩やかにして歓娯を尽くし
起晩眠常早  起くるは晩(おそ)く 眠るは常に早し

身内の者たちがみな一緒に住み、子どもや孫たちもまた支え合う。
朝っぱらから酒や琴(きん)に明け暮れ、樽のなかは酒が底をつくことがない。
帯を緩めてさんざんに楽しみ、起きるのは遅く、寝るのはいつも早い。

孰若当世士  孰若(いずれ)ぞ 当世の士の
氷炭満懐抱  氷炭(ひょうたん) 懐抱(かいほう)に満つるに
百年帰丘壟  百年 丘壟(きゅうろう)に帰して
用此空名道  此(こ)の空名(くうめい)を用(もつ)て道(い)わる

どちらがいいのか、今を時めく人たちが、正義と利益という氷炭相容れぬ欲望で胸をいっぱいにしているのかと。
彼らはやがて寿命尽きて墓中の人となり、むなしい名声だけが言い伝えられるのだろう。