バカげた線引きの不幸

2016年10月3日の朝日新聞西部本社版10版の1面・2面(総合2)・33面(社会)は、水俣病被害者の検診記録1万人分を、医師団と朝日新聞が共同で分析した結果を報じていました。結果は、救済対象地域外で暮らしてきた人々にも対象地域に暮らしてきた人たちと酷似した症状が現れているということでした。つまり、救済対象地域の線引きがいかに根拠のないものであるかということを示しています。不幸なことに認定審査会の医師の面々は、沿岸部から奥まった内陸部においても行商によって日常的に魚を食していた生活歴に考えが及びません。線引きという点では自由に海を行き来する魚たちにも無意味です。ですからチッソが排水を止めた時代以降に生まれた人たちに被害が及んでいることや不知火海から離れた地域に住む漁民に被害があることは十分にありえる話です。こうした事実から目をそらしながら救済のポーズをとってきた国や県は新たな犯罪を重ねているとしかいえません。