今国会での注目の成立法案

今国会で成立見込みの法案で業務上注目なのは成年後見促進法と社会福祉法改正です。それぞれ朝日新聞3月24日紙面と日本経済新聞3月28日紙面で取り上げられていました。
成年後見促進法は認知症の高齢者が増えている状況を踏まえ、親族や弁護士によらない市民後見人の育成を促す狙いがあるとされています。後見人候補が足りない実情からすれば、市民後見人の養成は自然の流れともいえますが、専門家の後見人でも不正が横行しているなか、これら市民後見人の指導監督ができる法人後見人の充実を図ることが重要だと考えています。つまり、市民個人が後見人に就くのではなく後見人に就任するのは、当該市民が属する後見受託可能な法人とする方が、後見業務のチェックや万一の際の補償が行き届くのではないかと思います。
社会福祉法の改正の狙いは、社会福祉法人の経営改革を促すものとなっています。ポイントは2つで、1つは余裕財産があると判定された社会福祉法人に社会福祉充実計画の策定と実行を義務付ける、もう1つはすべての社会福祉法人の財務諸表データベースを構築する、です。社会福祉法人については、かねがね内部留保が異常に高い、悪く言えば創業者一族の非課税相続貯金箱と揶揄されるところがあることも事実です。一方で、誠実に地域の福祉ニーズに応えて運営されているところもあります。問題なのは良いところも悪いところもますます事務負担が重くなり、職員が疲弊しないかという心配です。ただでさえ、人材確保に苦労している現場で事務仕事に力が割かれるのは本末転倒の気もします。こういう部分で外部の専門家がどう寄与できるか考えたいものです。