農業マーケティング

農業を成長産業へという掛け声とは裏腹に、農産物の販売価格は低迷し、円安で海外から調達する資材などの経費は高くなり、環境としては厳しいものがあります。何のために生産しているのかと絶望の縁に立つ生産者も多いと聞きます。
しかし、農産物の消費量が極端に落ちることがあるかというとそこまでは感じません。それこそ脱落する生産者がいるために、生産量が落ちるので供給過剰にはならないと思います。
黙っていても売れる世界なので、ふだんはマーケティングに高い意識を保つこともありません。手元に11年前に行われた講演メモがあります。9年前亡くなられたあるマーケティングの大家によるものですが、せっかくなので振り返ってみます。
そのときの演題は「最近の流通の動き」。
「確実なのは今、今を生きろ」
「日本人の欠点 待ちの姿勢 環境の変化に受身の経営 しょうがないという考えを業界がもっている」
「年齢が高い人が消費をひっぱている」
「マネをしない いかに異質化するか 差別化するか」
「価格競争をしない」
「値段は消費者は忘れるが、品質とサービスは忘れない」
「ロイヤリティーマーケティング 上得意を組織化」
「シニアシチズン優遇」
「消費者を喜ばせる政策」
「消費者の愛を獲得する競争」
「国際的コモンセンスにのっとった哲学が必要」
「環境のせいにしていてはダメ」
「自殺的安売りはやめたがいい」
こうしてみると、価格を決めるのは消費者の評価であるので、いかに消費者へ直接アピールできるかが決め手のように思います。自ら安売りに走るのは自殺行為ということと、環境を言い訳にせずに行動することが大事だといえます。