勉強になりました

今度の総選挙で当選した衆議院議員の平均年齢は53.1歳。国会は、オジサンたちの世界という認識でいましたが、いつの間にか私と同世代の人たちが中心に出入りする場所となりました。それに限らず、社会的付き合いにおいて出会う人たちが、私より年下の世代が多くなるのだなという感じでいます。
栗原彬著『やさしさのゆくえ=現代青年論』(筑摩書房、1981年)に以下の記載があります。「見通しのきかない「格子なき牢獄国家」(久野収)の時代に、青年はどこへ歩み出そうとしているか。『限りなく透明に近いブルー』と『海の向こうで戦争が始まる』を書いた村上龍は、おとなから「ふやけた優しさだけにすがる世代だ」ときめつけられたら、「いやあその通りです、勉強になりました」と答えようという(村上龍「偉い大人たちになんと言われても」『読売新聞』1976年7月12日)。これは中年男性支配もしくは国家の壁が圧倒的である敵前を、大事なものを抱えてきわどくすり抜けていくやり方だ。「時代の不安と困難さを最も敏感に感じとれる世代」の自負をもって、村上は、意味を解読できない「風景」を事実としてただ見ることからはじめようとする。」。これまでの私は、この村上龍氏のスタンスに共感を覚えて過ごしてきたわけです。
だから若者には支配したがる大人からすり抜けてほしいと思っているのですが、こういう大人に近づいてはいけないよと指図するのも押し付け気味めいている感じだし、たぶんこれからもあちこちからご高説を承ったら「勉強になりました」とすかさず答えるんだろうなと思います。