月別アーカイブ: 2019年7月

菊池千本槍

今週、菊池市を訪ねる機会があり、地元の菊池女子高校郷土芸能部の生徒による「菊池千本槍」の演舞を鑑賞しました。初めて耳にした言葉でしたが、元ネタは、南北朝時代の逸話に遡るようです。箱根・竹ノ下の戦いにおいて劣勢となった南朝方の菊池氏勢1000名が、竹竿の先に短刀を縛り付けた即席の槍を用いて逆撃に転じ、相手方の足利勢3000名を敗走させたとのことで、「劣勢の側が創意工夫を以って多勢を征する」ことの例として、武家の精神を表すシンボルになったようです。この逸話は、太平洋戦争の戦意高揚にも利用されていたことも知りました。松尾敬宇海軍大尉が先祖伝来の菊池槍を携行して特殊潜航艇によるシドニー港攻撃に臨んで戦死し、軍神・松尾中佐となったことを描いた、戦中の1944年大映製作の映画『菊池千本槍シドニー特別特攻隊』(菊池寛監督)にもその名が使われています。

不都合な事実の合理化

学校という閉鎖空間で行われるいじめと、戦争における殺りくには行う者の心理に似たようなものがあるのではないかと思います。そうすることを正義と思い込む合理化がないと、それを続けることはできないと思います。問題は、実行者だけではありません。傍観者の存在も被害者にとっては実行者と同じです。傍観だけして何も語らない、動かないのは罪だと考えます。いじめの実行者や傍観者の教育が適切に行われない場合、その者たちが将来恵まれた人生を過ごせるとはとても思えません。そうした者たちは応援してくれる他人に恵まれないと思います。

80年近く前の史実

まだ読みかけですが、クリストファー・R・ブラウニング著『普通の人びと ホローコーストと第101警察予備大隊』(ちくま学芸文庫、1600円+税、2019年)に収められた記録は、まだ80年経っていないポーランドや旧ソ連地域で起きた史実です。ユダヤ人殲滅に携わったドイツ人たちの蛮行と苦悩がこれでもかというぐらいに記されています。殺される側の個々の顔や思いは一切出てきません。ただ殺される数だけが書かれています。人を殺すということは取り返しのつかない犯罪ですが、ある日狂った政治が実権を握ると、こうした愚かな行いに普通の人が巻き込まれていく恐ろしさが実際にあるということを知っておかなくてはなりません。当時の生き延びたユダヤ人の記録としては、イレーナ・パウエル著『ホロコーストを生き抜く』(彩流社、4600円+税、2018年)をお勧めします。

良書は脳の食べ物

良書は脳の食べ物という気がします。現実の食べ物、いわゆる美食趣味への関心はありません。昨日は、鹿児島へ行った帰りに駅ビル内の書店で以下の2冊を入手しました。松村圭一郎・中川理・石井美保編『文化人類学の思考法』(世界思想社、1800円+税、2019年)と、クリストファー・R・ブラウニング著『普通の人びと ホローコーストと第101警察予備大隊』(ちくま学芸文庫、1600円+税、2019年)です。いずれも今春刊行された地味な分野の本ですが、前者は3刷、後者は2刷を重ねているので、意外でした。人間が人間のことを学びたい欲求にはある程度の市場があるかもしれません。

民生委員児童委員のススメ

今年の12月1日は、全国一斉に任期3年の民生委員児童委員と主任児童委員の改選となっています。中には、11月30日でもって退任する委員もいるので、その後任者の推薦で地元の自治会長たちは動いていることだと思います。ですが、昨今、この新任委員候補の発掘が難航しているようです。担当地域内の高齢化率があまりにも高くて適任の年齢層が薄いという問題もあります。しかし、大部分は推薦者側の委員活動への理解不足や誤解の要素が大きいと思います。委員の仕事がたいへんだとかなり重く捉えられているふしがあります。ですが、そこまでたいへんかと言われると、自治会長の仕事の量に比べたら軽いです。そのために無報酬の仕事となっています。逆に福祉のこと、教育のこと、法律のことを勉強できて楽しいと思います。行政職員や地方議員以上に現場を見聞きしていろんなことを考えるはずです。問題解決することまで求められてはいませんが、行政や議会へ声を届けるだけでも支援を必要とする人にとっては十分大きな力になります。だから積極的に委員の担い手になっていただくことを望んでいます。

映画「新聞記者」

ずいぶんと久しぶりにイオンシネマ熊本で映画を観ました。作品名は「新聞記者」。原案は、現役の新聞記者の著書であり、同著者を含む別の対談本『同調圧力』の内容も劇中劇風で盛り込まれていてリアリティーを追求した創りでした。昨今の邦画では珍しい分野だったので新鮮ではありました。観客のほとんどは、シニア層でした。そういえば、売り場でチケットを買い求めたとき身分証明書を提示することなく、(料金が安くなる55歳以上の)シニアですねといわれてしまいました。権力者に仕える者たちの保身行動には哀れみと滑稽ささえ覚えてしまいます。フェイクニュース作りにせっせと国費を投入しているシーンとかはそうです。まともな役人が一線を越えて犬には申し訳ないけど、走狗へ転落するときとはどんなものなのか、正直保身する必要がない立場の人間には理解ができませんが、描かれたような世界はあるのだろうと思います。主権者である国民の目線で権力を監視してほしい新聞社も恐れる対象を見誤っている空気感も描かれていました。恐れなければならない相手を誤ってはならないというのが、メッセージなのだろうと思います。

性別記載欄の削除と要求される統計との矛盾

今回の参議院通常選挙より地元市選管の期日前投票・不在者投票宣誓書兼請求書より性別選択欄が削除されました、ところが、総務省が求める投票結果の集計には男女別が残っているため、投票所では未だに男女別の投票状況を記録する負担になっています。

義によって助太刀いたす

水俣病を告発する会の代表だった本田啓吉先生が鬼籍に入られて13年になります。裁判闘争の初期のころ、「義によって助太刀いたす」という有名な言葉を出されたことは、渡辺京二さんの著作で紹介されています。つまり、私は本の中でしか、その言葉を知りません。生前お会いしたころの先生はいつも穏やかで激しい物言いをされる方ではありませんでした。だからなのか、時折この言葉が気になります。そして、何の義理がなくても不条理な環境に置かれた出来事があれば、黙って見過ごしてはならないと、ついつい首を突っ込むことがあります。えてしてあまりお金にならないことだから、損得を考えずに本気で動けるのかなと思います。
写真は、6月30日の群馬戦のもの。昨夜の天皇杯2回戦の鳥栖戦は惜しくもPK戦負けでした。

J3のゲームも捨てたものではない

当社のような小規模企業でも7月の頭は納税や社会保険料・労働保険料の算定届けがあったりする面倒な時期です。そんなうっぷんを昨夜のロアッソ熊本のゲームは晴らしてくれました(群馬と対戦し2-1で逆転勝ち)。特に大卒ルーキーの活躍は頼もしいです。スピード感があり、ボールをとことん追う姿勢は清々しい限りです。J3にはJ1クラブのU23 チームが3つも参戦している通り若い選手がゲームでは躍動しています。ロアッソ熊本設立以来応援していますが、年の離れた弟格の選手の集団のイメージから最近は自分の息子世代のイメージになってきていることもあって、見守り方が違ってきたのかなとも思います。とにかく首位を保つこと。今週の天皇杯鳥栖戦も勝利を期待しています。