日別アーカイブ: 2018年6月1日

犯罪と救済の実相

今、『8のテーマで読む水俣病』を読み進めています。編者が水俣病の入門書として書き下ろしたと言われる通り、平易な表現で水俣病の歴史を伝えていると感じます。なぜ被害が拡大したのかという犯罪の部分については、まず原因物質を海へ流し続けた企業の存在があります。次いで被害者が出ているにもかかわらず、因果関係を突き詰めず、排出を止めず、被害拡大に手を貸した行政犯罪の側面があります。さらには、後で自らも被害を受けていたことが分かるのですが、税収や雇用、消費で恩恵を受けていた住民自身が企業を擁護し続けたという住民自身の罪という面もあります。つまり、企業・行政・住民一体となった犯罪というのが実相です。いわば、誰もが犯罪者なのですから、いつまでも罪を認めようとしないため、救済はなかなか進まないという悲劇の歴史を辿ります。犯人たちを悔い改めさせ、救済に向かわせることは、たいへん困難です。被害が公式に発見されて60年以上経つのに未だにできるだけ救済対象を少なくしようとする努力だけは怠らないのです。水俣病とは水俣沿岸の漁業者家族たち特有の病気とのイメージが今も色濃く残っていますが、居住地を問わずメチル水銀に汚染された魚介類を摂取したのなら、外見の身体症状に関係なくすべてが被害者です。始末は何も付いていない政治の事件として国民は知るべきです。