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オリパラは国威発揚の場ではない

党首討論で首相が語った1964年の東京五輪の感動話を聞いていたら、結局はオリパラを国威発揚の場と考えているのではないかと、思いました。これでは2022年の冬季五輪の開催を熱望しているどこぞの政府と近しいと思いました。選手はワクチン接種を済ませていても、接触する機会のある大半のボランティアやドライバー、ホテル従業員の接種は五輪開催中に間に合いません。これだけでも大丈夫かという話です。日本人選手の活躍が見たいなら国内大会だけで十分です。広く海外からの参加が困難な状態で最高の国際大会が実施できるか甚だ疑問です。
歴史学はしばしばそれぞれの国の視点から発展してきましたので、国威発揚の学問としてもあったのですが、グローバルに見ていけば、必ず負の歴史も学ぶ必要があります。五輪への向き合い方は歴史への向き合い方から学ぶべきだろうと思います。

世界的地位が低下している

たとえば入管行政や入管申請取次に携わる関係者を見渡してみると、関係法令にはうるさいけれども国際関係についてはほとんど知識がない人が結構多いように感じます。これではまっとうな難民審査は行えません。同様に安全保障にかかわる防衛関係者も装備品については詳しくても国際関係には疎いように感じます。これでは戦略を誤ってしまいます。日本の場合、いろんな組織のリーダーの学歴が意外と低いものです。もっとも学歴とはいっても名ばかりの大学の教員の資質も低いのが問題かもしれません。世界のリーダーのパスポートが博士号が標準となっている現代において学部大学の偏差値ランキングや就職先の規模の大きさで個人の能力を誤って評価しているようでは、どんどん世界に後れをとっていくように思います。写真は次に読む本です。

東京ウイルスと言われかねない

来週末に宮崎市で開催が予定されていた九州高校総体ウエイトリフティングの大会が中止となりました。理由の一つとして新型コロナ緊急事態宣言期間中の沖縄県で県立学校の休校が決まったことが挙げられています。こうした国内のブロック大会でさえ中止に追い込まれている中で、海外から大勢の人々を国内に招き入れてオリパラ終了後に帰国させるとなれば、東京発で感染をまん延させる恐れが強いと思います。武漢をやり玉に挙げているうちにみすみす東京ウイルスと言われかねないリスクを抱え込む愚を冒す必要はないと思います。

戸籍や租税台帳の復元資料を見て

九博で現在開催中の特別展「正倉院宝物」では楽器や武具、衣服等の工芸技術を生かした模造の展示がメインでしたが、復元された戸籍や租税台帳といった公文書の資料展示も興味深いものがありました。現在の福岡県や鹿児島県で記録された情報が1000年以上も前の当時の中央政府に寄せられていたわけで、現在の行政の仕組みと近いものを感じます。文書には改竄防止のためにこれも当時の首長の印がくまなく押されています。きっちりとした仕事が行われていたことがうかがえます。その点でいえば、現代の中央官庁においてさまざまな文書記録が改竄された事件もあったわけで、後世の役人の資質が必ずしも高くはないことにも考えが及びました。まずはこうした復元資料を役人連中にも見てもらって志を感じてほしいと思いました。

模造も技術

会期が残り少なくなってきた、九州国立博物館で開かれている特別展「正倉院宝物」を見てきました。展示されているのは収蔵品の実物ではなく、それらを模造したものです。実物によっては、毀損したり退色していたりと、原形を留めていないものがあります。模造は、実物を忠実に復元する目的と、実物を修復するための技術を継承する意味合いがあり、行われてきました。模造には相当の工芸技術が要求されます。常設展示室には、九州の古い焼き物もありますが、これらは海外に輸出され、その地でも日本の焼き物を真似た作品が生まれました。模造を通じてオリジナルの良さを作り手は認識するようです。

記憶遺産の対象とするべき

世界史における32年前の6月4日の出来事といえば、中国の天安門事件を忘れることはできませんが、自国民の命に手を下した軍隊を有する党の指導下での教科書にはまったく出てこないといいます。1980年に韓国で起きた光州事件でも自国の軍隊が自国民を多数殺害した歴史がありますが、事件から38年後に公開された映画「タクシー運転手」のように、負の歴史を記憶することは行われています。日本においては市民が外国人を集団的に殺害した関東大震災の例もあります。世界のどこであれ、時代がいつであれ、記憶することが過ちを繰り返さないために大切です。

ユースエール認定企業について

男性が育児休業をとりやすくすことなどを目指した改正育児・介護休業法が成立する見通しになったと、けさの新聞では報じていました。今月から新卒予定の大学生の採用面接が本格化していますが、男性の育休が取りやすい企業かどうか、学生側が判別することは難しいと思います。当社が従事したことのある高校生向けの就職ガイダンスでは「ユースエール認定企業」について紹介していますが、熊本県内でこの認定を受けている企業名は残念ながら承知していません。一応、触れ込みでは「ユースエール認定企業」とは、「若者雇用促進法」に基づき、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良であると厚生労働大臣が認定した企業とされています。認定基準を例示すると、「直近3事業年度の、新卒者などの離職率が20%以下」「前事業年度の、正社員の月平均の所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員がゼロ」「前事業年度の、正社員の有給休暇の、年平均の取得日数が年10日以上または、年平均取得率70%以上(付与日数に占める取得日数の平均)」などとなっています。その「ユースエール認定企業」を調べるには、厚生労働省が運営する「若者雇用促進総合サイト」があります。いろんな検索条件で探せるのですが、ヒット数が驚くほど少ないので、反面、希少価値はありますし、応募対象つまり就職活動先も絞りやすいかもしれません。

無観客での県高校総体

昨年度は中止となった県高校総体が本年度は無観客で実施されました。どの競技でもそうですが、実施する際は選手だけが来場するわけではありません。審判や補助員など競技運営にかかわる人や報道関係者が来場します。検温・消毒・換気対策も行う必要があります。県内大会ですらこのような状況ですから、一定の期間・地域で集中的に国際大会を実施するのは相当無理があると改めて感じました。

理事退任しました

10年間にわたって務めた熊本県行政書士会の常任理事を昨日の定時総会をもって退任しました。行政書士を取り巻く状況を執行部の立場から見てきて自身の業務にもずいぶん有益でした。会務から離れますが、これからも行政書士制度の使命について考え、信頼される業務遂行に努めてまいります。

慣れない環境でのストレスが心配

昨日の地元紙に新型コロナ患者でホテル療養の体験をされた方の記事が載っていました。たまたまその方から直接話を聞く機会があったのですが、10日間のホテル滞在中に体重が10kgも減ったそうです。数年前に台風直撃下の沖縄で同一ホテルに3連泊した経験がありましたが、どんなに高級なホテルでもこもり放しではさすがに退屈で、ストレスを感じました。仮に東京五輪が開かれたとしても、選手村と競技会場以外に行けない選手たちは、コロナ患者と同じく相当のストレスを受けるわけで、素晴らしい競技成績が生まれるとは思えません。隔離を求められる生活がどんなものか考えてみる必要があります。

ソロ活なるもの

「ソロキャンプ」という流行語もありますが、もっと広範な「ソロ活」という用語を最近見聞します。その用語を含んだタイトルのテレビ東京のドラマはアラフォーシングル女性の日々の生活を描いたものですが、随所に共感できるセリフが出てきます。とはいえ地域を見渡すと、否応なくソロ活をしている人は案外多いものです。特に高齢者でその状態にある人もいます。それを淋しいと他人は見るかもしれませんが、健康であれば自由で気ままでいいとも思えます。先のドラマでは、さまざまな活動を通じて改めて自分の好き嫌いを発見するなど、自分でも自分が何者なのかを知らないことが多く、意外性の発見を楽しむシーンが多いように感じます。もともと密ではない活動ですのでいろいろ探して踏み出してみると面白いかもしれません。

映像作品だけでの接点

ここ数日、松本清張関連のドラマ「中央流沙」「疑惑」やドキュメンタリーをTVで目にしてテーマの普遍性について感じるものがありました。当代きってのベストセラー作家であるのですが、なぜか清張作品を読書対象として接した経験はありません。それでも10年前に小倉の記念館だけは家族旅行で立ち寄った思い出があります。写真は下関の海響館に貼ってあった2011年山口国体のポスター。

記録をどう読むか

『グローバル・ヒストリー』を読んでいる途中ですが、歴史学の手法についての記載が多く、業界事情を知っていないと難解な面があります。少なくとも言えるのは、記録を読むときに書かれたものが必ずしも真実とは限らないことがあるということだろうと思います。その時代、その地域という書き手の環境にも注意を向けるべきです。わかりやすい例でいえば、数千年前の歴史書はその当時の権力に近い書き手によるものが残されているわけですから、どうしても当時の権力の正当性の弁明に重きが置かれ、ヘタすると神話として後世に伝えるために残された可能性もあります。現在はSNSの発達により職業的歴史家のみならずそうでない人の手による記録も目にすることができます。もちろんそれらの記録にも当人の思い込み・誤解が含まれて正確ではない記述も多いと思われますが、多面的というか多層的というかその数量によって真実への接近は容易に思えます。

五輪強行は興行的にも無価値では

地元出身の大関・正代が昨日勝ち越しを決めてカド番脱出となりました。仮に陥落してもこれこそ本人の実力次第の個人事業主の世界なので同情することはありません。やはり大関の一人が禁止されていた飲食を伴う店舗への夜間外出の責任を問われて処分を受ける見通しです。これにいたっては、社会人としてのモラルの問題になるので、さらに同情の余地はありません。さて、問題は東京五輪です。いまの大会のあり方や出場選手の境遇を見てみると、平和の祭典という理念はともかく、大相撲と同じくビジネスとしかいいようがありません。アマチュア選手もいますが、有望選手の多くはもはや力士と同じく、個人事業主です。ただし、大会は選手だけで運営されるものではありません。審判や輸送・宿泊・食事提供・医療・練習場・競技会場などのスタッフがいて初めて可能になります。実施しても開催地にビジネス的な利益も見込まれないのであれば、目的すらないように思います。無理して競い合っても休場力士ばかりの中身の薄い場所のときと同じく、そこでのメダルの価値が本当に世界へ誇れるものなのか大いに疑問です。

ミランコビッチサイクルと人新世

地球に気候変動を起こす原因としては、地球の回転運動によるものと人類の産業や消費の活動に伴うものとがあります。前者の地球の自転運動や公転運動の周期的な変化はミランコビッチサイクルと呼ばれます。過去70万年間に限ると10万年周期であって、公転軌道の離心率、自転軸の傾き、自転の歳差(自転軸の方向)といった3つの変化があり、北半球の高緯度における日射量の変動により、氷期と間氷期という寒暖の入れ替わりがもたらされるそうです。後者は、人新世と称されますが、化石燃料消費や永久凍土融解による地中有機物分解促進からくる二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス発生があります。問題なのは、人新世の影響が、地球の回転運動の周期と氷期と間氷期という寒暖の入れ替わり周期との時間スケールにズレを生じさせることになるということと、氷期と間氷期それぞれの平均気温を変えてしまうということにあります。現在生きている人類はまだ大きな弊害を受けないうちに亡くなるかもしれませんが、遠からず人類が生きていけない地球へ変化する危機は現に存在します。こうした知識について今の学校教育では学んでいるらしいです。高齢者でも何ができるか考える必要があります。

コロナ禍の避難所問題

まん延防止等重点措置の適用中とあって地区内の公共施設が休館中です。こうした施設は概ね地区内の指定避難所となっているのですが、大雨洪水等の災害の際には避難所としてはあまり役に立ちません。多人数が1ヶ所に集中して避難するよりも可能な限り少人数で分散して個人住宅や宿泊施設に避難してくれた方がいいと思います。自治体からは休館中の時期に災害発生時には避難所を開設する予定があるのか、どういう避難方法を推奨するのか事前の情報提供が重要です。

難民迫害は愚の骨頂

難民送還規定に問題がある入管法改正の今国会における成立がなくなりました。入管施設における長期収容が国際的な批判を受けていたために、それを解消するための改正に際して新たな人道上の過ちを引き起こそうとしていたのが改正案の実態だったように思います。技能実習制度もそうですが、外国人と日本人との人権の扱いに線引きをして扱うというのが法務省という役所の体質なのではないかとすら思ってしまいます。人権擁護の部署もあるのですが、実態はお寒い限りでそれらの関係者の識見の低さに驚かされた経験もあります。

グローバル・ヒストリー

梅雨の時期とはいえ雨天が続くと外出を控えてしまいます。コロナ対策上は人流の抑制につながり望ましいのかもしれません。どうせなら読書の時間を増やすのもいいと思います。以前の新聞の政治面では首相が書店を訪れてどんな書籍を買い求めていたか載ることがありました。人並みの政治家は読書家であるのが常でだいたい10冊くらいはまとめ買いをしていたように思います。新聞記事では書名も紹介され、時の首相がどのような問題意識を持っているのか、知的水準はどの程度かも推し量れたものでした。しかし、近年はこうした記事を見かけることがなくなりました。本を書店では買わずにネットで注文しているかもしれませんし、もともと本を読まないのかもしれません。それと、就職における採用面接で読書傾向についての質問が思想信条を明らかにすることから禁じられているように、そうした情報を探られるのを取材される側が嫌っているのかもしれません。あるいは取材者側がそれを明らかにすることを忖度しているのか。かつてアフリカのウガンダの大統領だったアミンは、文字が読めない人物であったため、政治エリートを周囲から遠ざけながら権力を維持しました。それはそれで権力者の本能知ですが、被治者は必然的に不幸を強いられます。権力者がバカである場合、国民はそれをどう取り除くか知らなければ幸福はつかめません。次は、表紙写真の本を読んでみます。

国民的抱き込みの失敗

梅雨入り後の大雨と強風を受けてつくづく昨日梅の収穫を行っていて良かったと思いました。本日以降であればほとんど落果していたことだろうと思います。けさの世論調査の報道を見てみると、コロナ対応への不満と五輪の今夏開催否定が大勢を占め、内閣支持率が急落しているとありました。ワクチン接種予約の対象は確かに高齢者なのですが、予約にあたっては家族総出で対応した家庭も多いように聞きます。全世代にわたり安心安全を求める政策への抱き込みが失敗したことは、政府にとって痛手だったと思います。いわば梅の収穫時期を誤ったに等しい話です。