カテゴリー別アーカイブ: 遺言相続

戸籍について考える

今年5月に人文書院から出ている、遠藤正敬著の『戸籍と無戸籍「日本人」の輪郭』は、仕事がら興味が湧く本です。ですが、その値段の高さ(4200円+税)もあって手を出すのはためらっています。ちょうどけさの地元紙の読書欄に書評が載っていました。それによると、戸籍を通じた国家による管理に側面を当てた研究のようです。実際在日外国人については住民票はありますが、戸籍はありません。その住民票に続柄を記載してもらえれば、世帯内の構成はわかります。載せられている国民の立場からすると、戸籍のお世話になるのは、現状相続と家族史探索(家系図含む)の機会しかありません。もしも戸籍制度をなくすのなら、この相続と家族史探索の手がかり情報をどのような形で代替させるのかが議論となります。著者がそのあたりの考察に踏み込んでいれば読んでみたいと思います。

無料相談員業務

本日の9~15時まで上天草市にある大矢野郵便局内で熊本県行政書士会による無料相談員として対応します。今回で4回目になります。ぜひご活用いただきたいと思います。写真は投稿内容と関係ありません。

所有者不明=ボウフラの土地問題

法務省がこのたび公表したサンプル調査によると、「最後の登記から50年以上経過し、所有者が不明になっている可能性がある土地の割合は22.4%にのぼった」(朝日新聞2017年6月7日)といいます。そのため、相続登記がされないまま「塩漬け」状態になっている土地が多く、道路や公園といった公的な利用の妨げになっていますし、同様に農地の場合であれば耕作できずに荒れる一方となります。
そこで、国土交通省ではいわゆる「骨太の方針」に盛り込み、来年の通常国会への関連法案提出に向けた検討を進めているようですし(朝日新聞2017年6月1日)、農林水産省においても、持ち主がはっきりしない農地を、意欲のある生産者に貸し出しやすくする農地法改正案などを来年の通常国会に提出することを目指している(共同通信2017年6月6日)と伝えられています。
もともと土地は地球住民の共有物という考えに立てば、相続人が不明の土地をほったらかしにされても周囲の住民が迷惑します。自治体へ権利を移し、適切に管理できる私人に移譲するのは賢明な活用法だと思います。
作家・司馬遼太郎は、作品『草原の記』の登場人物にこう言わしめています。「なぜあなたは財産をたくわえているのです。人間はよく生き、よく死なねばならぬ。それだけが肝要で、他は何の価値もない」。学商あるいは拝金宗主義者として批判されることのあった福澤諭吉でさえ、『福翁百話』のなかで「宇宙の間に我地球の存在するは、大海に浮べる芥子の一粒と云うも中々おろかなり。吾々の名づけて人間と称する動物は、この芥子粒の上に生れ又死するものにして、生れてその生くる所以を知らず、死してその死する所以を知らず、去て往く所を知らず、五、六尺の身体僅(わずか)に百年の寿命も得難し、塵(ちり)の如く埃(ほこり)の如く、溜水に浮沈する孑孑(ぼうふら)の如し。」と語っています。ボウフラの土地を未来永劫残しておいて意味がないことは明らかです。ちょっと遅きしに失した政策転換の気がします。
写真は記事とは関係ありません。月曜夜のスタジアム風景です。

無縁社会での終活問題

昨夜放送のNHK「クローズアップ現代+」のテーマは、「相次ぐ“墓トラブル” ~死の準備の落とし穴~」。自分が死んだ後のために、生前に墓や葬儀を準備しておく”終活”がブームになる中、「墓をあらかじめ用意しても、入れない」という“墓トラブル”が相次いでいるということでした。墓を販売する会社が倒産し、お金を支払ったのに墓が建たないケースや生前に墓を準備しておいても、孤立した高齢者が多く、墓の存在を本人以外が知らないため、結局は無縁墓地に葬られてしまうケースもあるそうです。こうしたなか、自治体自ら終活サービスに乗り出し、市民が生前に希望していた墓に入れるまで見届けるところも出てきているということで、横須賀市の事例が紹介されていました。どうすれば“墓トラブル”から身を守れるのか、本人だけでなく自治体や民生委員も考えていく必要を覚えます。

誰もが係る相続法

大村敦志著『新基本民法8 相続編』(有斐閣、1800円+税、2017年)をようやく読了しました。契約法は商取引がグローバル化するのに伴い、世界標準化が進んでいる領域ですが、相続法は国が違えばかなり異なることを改めて知りました。かつては私有財産を否定する国もありましたし、日本が民法のモデルに求めたフランスにおいては2001年まで配偶者の相続権がなかったそうです。そのフランスもナポレオン1世が民法典を定めるまでは、北部では法定相続、南部では遺言がそれぞれ主流であるという違いがあったそうです。日本でも韓国や台湾を植民地統治した時代に土地の慣習までは変えられなかったそうですから、土地やら家族に対する考えはずいぶんと違うようです。ついでにいえば、日本の相続人の範囲は狭い方になるそうです。民法改正で婚姻期間が長い配偶者の法定相続分を広げる案も上がっているそうです。ですが、婚姻期間の長短だけで配偶者の貢献度を計ることができないのも事実です。いずれにしても、誰もが亡くなった後に遺族は相続法との係わりが出てきます。実務家としてはたえず識見を磨いておかないと依頼者に迷惑をかける分野です。

『新基本民法8 相続編』

今読み進めているのは、大村敦志著『新基本民法8 相続編』(有斐閣、1800円+税、2017年)です。法律の実務に携わる人は日頃、すでに定められている法律をいかに運用するかに関心が高いことと思います。しかし、こうして基本書を読むと、それらの条文がどのような背景があって成立したのかという立法の考え方を知ることができます。何も考えずに与えられた道具を当然と捉えるのではなく、ほんとうにこれでいいのか一度考え直してみる、そんな行為に私はやはり関心が高い気がします。

いきいきサロン講話

地元の「いきいきサロン」の講話講師として呼ばれて、遺言や埋葬に係るよもやま話をさせてもらいました。遺言書を争いのない遺産分割の視点から書くというよりは、家族へ遺す手紙として書いてみることをお勧めしました。お墓や埋葬に係る問題も最近のトレンドやニュースも交えながら楽しくお話させていただきました。写真は、昨日おじゃました介護施設前の竹林。大きなタケノコが穫れていました。

法定相続情報証明制度について

2017年5⽉29⽇(⽉)から、全国の登記所(法務局)において、各種相続⼿続に利⽤ することができる「法定相続情報証明制度」が始まります。この制度を利⽤することで、各種相続⼿続で⼾籍謄本の束を何度も出し直す必要がなくなります。
制度の概要・・・相続⼈が登記所に対し、以下の書類をはじめとする必要書類を提出
1. 被相続⼈が⽣まれてから亡くなるまでの⼾籍関係の書類等
2. 上記1.の記載に基づく法定相続情報⼀覧図(被相続⼈の⽒名、最後の住所、⽣年⽉⽇及び死亡年⽉⽇並びに相続⼈の⽒名、住所、⽣年⽉⽇及び続柄の情報) 
登記官が上記の内容を確認し、認証⽂付きの法定相続情報⼀覧図の写しを 交付
申出について・・・代理⼈となることができるのは、法定代理⼈のほか、①⺠法上の親族、②資格者代理⼈(弁護⼠、司法書⼠、⼟地家屋調査⼠、税理⼠、社会保険労務⼠、弁理⼠、海 事代理⼠及び⾏政書⼠に限る。)

大分に初敗戦

J2第5節は昨季J3を戦ってきた大分とのホームゲームでした。これまで負けたことの相手でしたが、ついに0-1で敗れてしまいました。とにかく大分からのサポーターが多く、入場者は10,056人を数えました。それだけ大分の後押しが強かったことを認めないわけにはいきません。行きの車中では、今度依頼を受けた講話テーマの流れを考えていました。その中で面白い表現を考えついたのでそれだけが収穫です。

土地活用の実現手法を考える

ある土地の所有者の相続人の生死も居所も分からない、それを確認するにも相当の期間と費用がかかりそう。さて、どうするか。面倒な事例においていかに依頼者の権益の確保するか、いろいろ勉強すると、方策のヒントが見えてきます。資格に安住せず、考え動いてみることで道が開けてくる思いを最近は強くしています。

いろんなヒントが満載

昨日から読み始めた『所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン』ですが、「不在者財産管理制度」と「相続財産管理制度」の違いがよく理解できました。加えて地方自治体と密接な「土地収用法に基づく不明裁決制度」や「認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例」、「農地中間管理機構による利用権設定」などは、むしろ住民の立場から活用できる手法として役に立ちました。というのも、自治体職員というのは短期間で部署異動するため、なかなか通りいっぺんで処理できない案件を鮮やかに切り抜ける制度について熟知していない気がします。これでは住民の悩みが閉じ込められてしまいます。職員の上を行く知識を活用して住民の悩み解決に動きたいと思います。

所有者の所在が分からない土地の扱い

これから読む本は、所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会著の『所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン』(日本加除出版、1800円+税、2016年)という著者名と著書名がやたら長い一冊です。最近業務でもこのケースによく当たります。

専門家責任

このところ当職へ持ち込まれる案件の背景を伺ってみると、問題の発端となった時期に絡んだ専門家がいいかげんな処理をしていたものによくあたります。だからこそこちらの仕事になるのですが、専門家としてかかわる以上、案件については責任をもつ覚悟を強くしています。

民事信託の研修受講

2月9日、民事信託の研修受講の機会がありました。受託者に信託財産の管理処分権限はあっても、委託者が認知症になってしまった場合、信託財産に抵当権設定して資金調達が可能かというと、議論が分かれるところというのが理解できて有意義でした。写真は会場から望む阿蘇方面。冠雪しているのが分かります。

2017年の読書始

今年の読書始は、NPO法人遺言・相続リーガルネットワーク編著『お墓にまつわる法律実務 埋葬/法律/契約/管理/相続』(日本加除出版、2200円+税、2016年)となります。墓埋法が実は行政書士業務と関わりが深い分野という認識をこれまで持っていませんでしたが、学習してみる必要を覚えています。たとえば、今自治体では身寄りがなく亡くなった方の遺骨の扱いが課題になっているようです。年々増えていて保管場所や保管期間をどうするか問題になっています。保管期間がもっとも短いのは大阪市で1年間。熊本市はこれまで無期限でしたが、期限有限にする方向のようです。保管期間が過ぎると、遺骨をパウダー状にして個別納骨から無縁墓に散骨されるのかどうか。民間の納骨堂にしても墓地と異なり、その施設には固定資産税がかかりますから地価の高い納骨施設では業者が倒産してしまうことが起こり得るかもしれません。それと、ようやくシリア難民の留学生受け入れの動きがありますが、今後火葬を嫌う宗派の移民が国内に増えてきたときの埋葬のあり方も課題になってくると思います。どこかの無人島をそうした墓地にするような開発を行わないと、問題になるかもしれません。個別の墓がなくなれば何でもないことですが、そうは割り切れない人が大半でしょうから、いい知恵を絞らなければなりません。

墓埋法の知識

「墓地、埋葬等に関する法律」(略称:墓埋法)という法律があって、実は改葬許可申請など行政書士業務と深い関係があるということを、会報誌『日本行政』(2016年12月号)で初めて知り、興味深く読みました。
実は、散骨がいまだ「合法でも非合法でもない」のだそうです。墓埋法の骨子が制定された1948年のままで散骨の規定がないとありました。刑法第190条には遺骨遺棄の規定がありますが、葬送を目的として節度をもって散骨を行う限り、死体遺棄には当たらないと、法務省刑事局担当者が見解を述べたことがあるそうですが、これも述べたというだけで文書には残されていないので、公式見解とも言えないことになっています。
それと、散骨の前提として火葬が必要になるかと思いますが、この火葬は世界標準というわけではなくて、日本だけが火葬率98%と世界一の高さだそうです。カトリックもムスリムも土葬が基本で、火葬なんか飛んでもないと考える文化の違いについてもっと知っておくことが国際化の流れのなか重要だと思いました。
結論として散骨を希望する人は、現在のところその法的根拠がないこと、陸上及び岸壁付近では条例違反や近隣住民・漁民とのトラブルになるので推奨されないことを理解しておく必要があります。遺言とかで遺言執行者を定めて事前に理解しておいてもらわないと、埋葬済みになると実行できなくなるので注意が必要です。

持てる人に持てない人にも悩みはある

日ごろいろんな事例に接していますと、資産を持つ人にも悩みがあるというのがわかります。もちろん持たない人にも悩みはありますし、それは生存にかかわることもあります。ただ、どちらにしてもその悩みが軽くなることにこしたことはありません。
命の次に重要なのは、人権です。ニュースで、あるテーマパークのスケートリンクで魚を氷漬けにしてネット炎上したことから、その企画が中止に追い込まれたことを取り上げていました。話題としては取り上げやすいのかもしれません。しかし、そのニュースよりもネットで、ある事件の犯人を何の根拠もなく在日外国人の仕業と発言していた、このヘイトクライムの典型ともいうべき行動をとった作家の悪質さこそ取り上げるべきではないかと思いました。ある識者が語っていたように、こうした罪人のアカウントは削除するのが当然だと考えます。

顧客満足の実現のために

行政書士の業務は、顧客の目的の実現にあります。ですが、顧客が考える目的を伺ってみると、実現するにはさまざまな障害があったりします。できるだけ費用をかけずにしかも短期間で達成するアイデアを提示し、具体的な手法で実現することに業務の醍醐味があるように思います。解決スキーム作りにあたる際に、調査を行ったり有識者の意見を聴いたりもします。顧客の満足が実現できることは受任者自身の達成感にもつながります。ただし、専門職の中には顧客の申し込んだ手続きを流すだけの方もいる感じがします。結果として費用だけかかって目的が得られずに顧客は不満をかかえたままですが、その専門職は報酬だけ稼ぐというケースです。こうした専門職は市場から排除していく必要があります。

墓も位牌もいらない

昨日の朝日新聞「Reライフ」面に掲載の「位牌 私の死後は?」は、たいへん興味深く読みました。位牌を最後は「まつり捨て」したり、棺に入れて共に旅立たせたり、そもそも作らなかったりと、仏教宗派によってあり方はさまざまなそうです。もっとも仏教発生当時は墓も位牌もなかったそうですし、将来いるかいないかさえもはっきりわからない祭祀承継者の負担も考えたら作らないのが望ましいと思います。それぞれの気持ちの問題ですから無理強いはしませんが、少なくとも私自身の死後に墓も位牌もいりません。そんなところに私はいません。記事では、親鸞自身が「父母の孝養のために念仏を唱えたことは一度もない」と言っていたことや釈迦も「死んだ人に向かって読経しても意味がない」と言っていたことを紹介していました。人の不安につけこみ余計なことにお金を使わせる宗教関連業者をのさばらせる必要はまったくありません。

自販機や人工知能に置き換えられない仕事

人工知能の進化によりあたかも自販機のように定型の仕事は将来的になくなってくると思います。たとえば何かの申請で入力が必要な情報があらかじめ決まっていれば、士業者のような専門職の手を経なくても一般の方が、簡単にオンライン申請できるようになると考えられます。申請を受け付ける側の手間も減りますから、これまで費用がかかっていたものも確実に安くなることでしょう。しかし、遺産分割協議書の作成などがそうですが、遺産の資産的な価値とは別に関係者の思い入れや人間関係が絡み、金額では計れない価値判断が生じます。それらを調整して合意に導くにはコーディネーター的な資質が携わる専門職には求められます。自販機に徹して安く数をこなす仕事術もあるかと思いますが、当事務所では人工知能に置き換えられない満足を提供したいと考えています。