カテゴリー別アーカイブ: 歴史

史実に無知なのは無恥

台湾の新聞を見ると、日本のどんなニュースに関心がもたれているのかが知れて、たいへん興味深い思いがします。7月27日の紙面では、やはりカルト集団の死刑執行と文科省役人の汚職逮捕の記事がありました。総じて訪台日本人観光客は親日気分に浸って帰国してしまうのですが、明治時代の台湾出兵後の理蕃政策は、ヨーロッパによる米大陸進出の過程で起こった先住民弾圧と同じく、血なまぐさい凄惨を極めたものでした。現在の台湾の人たちの記憶が、日本統治が終わった後の中国大陸からやってきた国民党の一派による弾圧が歴史的に近しいということにほかなりません。あたかも日本統治がすべて善かのように勘違いしてしまうのは、思慮の足りない者であることを自明することにほかならないといえます。

ファミリーヒストリーでの再会

7月30日(月)放送のNHK「ファミリーヒストリー 北海道スペシャル」を視聴していたら、大学時代の同級生が、解説者の一人として出演していて驚きました。彼とは学科は異なりましたが、いわば第3外国語としてロシア語を履修していたクラスで一緒でした。青森県八戸市出身の彼は、馬術部の活動をしていましたので、毎日馬の世話で大学には通っていました。私とは比べ物にならない努力の人でしたので、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの准教授として映像に出てきた時もまったく不思議ではありませんでした。画面越しとはいえ36年ぶりに会うのにすぐに彼だと分かりました。写真はまったく関係ない台北101です。

基隆港

26日と27日の二度、基隆港を望む機会がありました。この港は、1944年1月にフィリピン・マニラ港からの次の寄港地として母方の祖父が寄れなかった港だけに感慨深いものがあります。印象としては10年前に訪れた韓国・プサン港がやはり大きいと感じました。

戦争体験と経営者

入手できるのは来週半ば過ぎになりそうですが、次に読みたい本は、立石泰則著『戦争体験と経営者』(岩波新書、780円+税、2018年)です。大半の人はできるだけ楽に働きたいと考えると思うのですが、戦後日本の経済を引っ張て来た経営者の中には少なからず強烈な使命感で事業を進めてきた人物がいます。逆に何の反省もなく武器製造や輸出で儲けようとする者もいます。事業を語る前にどのような社会を創りたいのか、人間としての倫理を考えてみたいと思います。

戦場体験の可視化

12日の投稿で『戦場体験者』文庫版表紙写真にブロンズ彫刻作品が使われている美術作家の浜田知明さんについて触れたところでしたが、同氏が本日100歳で永眠されたとのニュースを聞きました。繰り返しになりますが、同氏の作品には戦場体験を可視化させた優れたものが数多くあります。それは悲惨な風景だけでなく、斃れ往く者の内面を見せてくれます。今までも世界各地でそれらの作品は展示されましたが、ますます重要度を増してきていると思います。

戦場体験者

保阪正康著『戦場体験者 沈黙の記録』(ちくま文庫、800円+税、2018年)を読んでいます。著者によれば、戦場での記憶について語らせない縛りがいろいろあったのだといいます。戦場で起こった数々の事実を知らないでおいて現在や将来の安全保障や防衛を語るのは、死者への冒涜以外の何ものでもないという思いを抱きます。文庫表紙に載っているのは、初年兵哀歌シリーズの版画で有名な熊本県出身の浜田知明氏の作品です。

理想実現の向き合い方

けさの新聞でも一昨日に死刑執行された人たちの起こした集団の成り立ちと事件についての論考が載っていました。けっして奇想天外ではなく十分起こり得ることだという私の考えとも通じる点がありました。一つは理想実現への向き合い方だと思います。首謀者には首謀者の、それに追随した者には追随者の崇高な理想があったのだろうと思います。しかし、その実現にあたってどうしても超えてはならない一線、それは障害となる相手の生命を奪うということですが、それを超えてしまった。そこに追い込んだものは、このカルト集団だけのものではなくて、程度の差はあれどのような組織、社会、家族、個人の中にあるのだろうと思います。そこに追い込ませないためにどうすべきかということを考えると、これもまたあらゆる人がそこに関われる機会を有している気がしてなりません。

国宝8万点

初めて宗像大社を訪ねる機会がありました。神宝館という展示施設があり、有する国宝8万点の一部を鑑賞することができます。九州と大陸との強い結びつきを感じることができます。人や物の交流が1000年以上も前から行われていたことが、新鮮にも思えました。

挨拶は慎重に

熊本地震の影響で3年ぶりの開催となった宇土市戦没者合同慰霊祭に初めて出席しました。参加者の挨拶を聞いていますと、ちょっとした言葉遣いが気になります。高齢の主催関係者は先の大戦を大東亜戦争と称していました。それよりも県知事の代読挨拶で「異境の地」でとか、県議の挨拶で「異国の地」で斃れたという表現があり、沖縄や硫黄島などで戦死した方や空襲等により国内で亡くなった民間人を含む方は慰霊の対象ではないのかと、違和感を覚えました。市議は「国の内外において」と述べていましたので救われましたが、スピーチライターの歴史認識というか、教養レベルが問われると思った次第です。

戦没者慰霊祭の案内を受けて

市の戦没者慰霊祭の開催案内を昨日受け取りました。一昨年の熊本地震で慰霊碑も損壊し、隣接の会場施設も被災して改修中ということもあって、ここ2年は慰霊祭自体が休止となっていました。遺族会の事務局が置かれていた老人福祉センターも建て替えられようやく今月から再スタートを切ったところです。招かれるのは今回初めてとなりますが、母方の祖父も戦没者の一人です。遺族の気持ちで出席したいと思います。

西郷どんの愛犬の名は「つん」

この2日間、鹿児島へ行っていました。観光客の目に触れる駅商業施設は、「西郷どん」一色です。その西郷どんの愛犬の名前が「つん」であることも、土産物の商品名から初めて知りました。しかし、なぜ「つん」なのか。その由来を調べてみたいと思います。

簡単な思考劣化の峻別方法

花粉症への悩みを超越して昨日も「えがお健康スタジアム」に足を運び、ロアッソ熊本と山形とのJ2のゲームを観戦しました。結果は、先制されて一旦は追いついたものの終盤に相手に勝ち越され、ホーム連勝はなりませんでした。ピッチ上にはさまざまな国籍の選手たちがプレーしており、その違いを観戦中に意識することはありません。ところが、日頃、TVに登場するコメンテーターの発言やCMのセリフの中で、安易に「日本人で良かった」とか、○○人はどうだこうだという固定観念的な発言を耳にすることがあります。○○人なら必ずこれこれであるという決めつけは、何も根拠がなく考えていないのと一緒で、そう口走ってしまうことで、当人の思慮の足りなさをさらしてしまう結果になっていると思います。これからの日本人はますますルーツが多様な人々で構成されるわけですから、日本人というくくりで考え方の違いを語ること自体が意味をもたないのではないかと思います。

映画でも見たい作品

今、読んでいるイレーナ・パウエル著『ホローコーストを生き抜く』は、もしも映画化されれば絶対見たい作品です。ナチス時代のユダヤ人絶滅の史実を分かっているようでまだまだ知らないことが多かった思いをします。たとえば、ポーランドは、国境線がウクライナ寄りに動いたり、ドイツ寄りに動いたりした国です。その地域に暮らす民族構成もしばしば変動しました。互いへの感情も知らないことが多かったことを認識しました。無知であるために起こりうる過ちの悲惨さを世界中の人間が知るべきだと思いました。

歴史認識を考える

イレーナ・パウエル著, 河合秀和訳, 早坂眞理翻訳協力『ホロコーストを生き抜く 母の伝記と娘の回想 The Daughter Who Sold Her Mother : A Biographical Memoir』(彩流社、4600円+税、2018年)が、手元に届きました。これから読んでみます。以下は、出版社サイトにある内容紹介です。「ホロコーストに関する回想記や研究書は多数あるなかで、本書は異色の一冊である。 生まれたばかりの乳飲み子を抱えた一人の母親が「死に神を騙し抜いて生き延びた」話をことあるごとに娘に語り続けた。確執と絆の複雑に絡み合う戦後の母娘生活…… 本書は著者イレーナの個人史の中で描き出される母親の言葉を通して描き出された“記憶に留めるべき悲劇の時代”の証言である。また、ワルシャワ大学で日本語と日本文化を学び、オックスフォード大学とシェフィールド大学で日本語と日本文学を教える教師である著者の、ある意味では日本人への“歴史認識”についてのメッセージでもある。」。

ネアンデルタール人の洞窟絵画

スペイン・ラパシエガ洞窟の壁画が6.5万年前に描かれた世界最古のものであると分かったというニュースが新聞に載っていました。当時、現生人類であるホモサピエンスはアフリカを出る前であり、壁画を描いたのは、絶滅した人類であるネアンデルタール人だとみられています。ネアンデルタール人は、現生人類より脳が大きく、絶滅しなければ、どのような世界になったか、たいへん興味があるところです。

絶滅の人類史

今読んでいるのは、更科功著『絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか』(NHK出版新書、820円+税、2018年)。人類の成り立ちを知るのは、面白い限りです。一方で、その人類が、いがみ合い、絶滅へ向かいかねない行動をとっています。知性が進んでいるのか、退縮しているのか、なんとも複雑です。

大陸打通

亡くなった伯父から直接は軍隊時代の話を聴くことはありませんでした。葬儀場で所属していた部隊名を知り、遍歴を調べてみました。主に熊本出身者で構成された部隊であり、中国・北京からベトナムを経てタイ・バンコクまで徒歩で優に4500㎞を転戦したようです。当時最長に歩いた部隊だったようです。復員してきたのは終戦後1年近く経ってからでした。20歳そこそこの伯父が戦争の時代をどういう思いで過ごしたのか、改めて興味がわきました。

それぞれの百名山

大正生まれの父方の伯父が昨日亡くなりました。先の大戦では無謀な作戦で後年知られた南方戦線からの生き残りでした。戦後は農家の長男として家庭や地域の礎を築いてこられました。そんなことを思っていたところへ高校時代の恩師から著書をいただきました。定年退職後、15年かけて百名山登山の偉業を達成されました。教え子の一人として、自分にとっての登るべき山を探してみたい気にさせられました。

成人の日

多くの自治体で昨日成人式が開催されましたが、祝日としては本日が成人の日となります。成人年齢については18歳に引き下げられることから晴れ着の売れ行きを懸念する呉服業界からさまざまな声が上がっていますが、成人を商機としてしか捉えられない声に違和感を覚えます。今年誕生した子どもの半数以上は寿命が100歳以上になると予測されていますので、2歳の差であまり騒ぐことではない気がします。むしろ80年近く現役で人生を過ごさなければならないことの重さを感じます。一方、つい70年ほど前までは寿命がその半分だったことを思わずにはいられません。ローマ法王が新年のカードに採用した「焼き場に立つ少年」の写真には、その少年の亡くなった弟が写っています。こうした悲劇を繰り返さないために今を生きる私たちはどうあるべきなのかということも考えます。