カテゴリー別アーカイブ: 水俣病

なんとも浅ましい

NHKのEテレで15日の午前0時から再放送があると聞いていた、写真集「水俣」で知られるユージン・スミスの素顔を追ったドキュメンタリー番組を視聴するつもりで、他の書類作成をしていたのですが、ついその書類作成に没頭して、気づいたら視聴時間を逃していました。それはともかく、今年生誕100年を迎えたユージン・スミスが世界に伝えた公害の原点・水俣での人となりが米国で映画化されます。しかし、地元水俣の市長らはこれを歓迎せず、協力しない姿勢を見せているようです。なんとも浅ましい限りです。伝えるべき姿は今も残っています。

戦後史としての読み方

宮本輝氏の『流転の海』完結を受けて5日の朝日新聞、13日の読売新聞とNHK「ニュースウォッチ9」で本人が取材に応じている記事や放送に接しました。実際に作品を読んでみると、戦後の庶民の暮らしぶりが丹念に描かれています。第9部では中国の文化大革命やベトナム戦争といった当時の国際情勢についても触れられています。主人公の主治医が引退後に水俣へ入って水俣病患者の診察を通じた支援を行っているというくだりもあります。大阪の医師で実際にそうした活動を行った方がモデルとしていたのか、あるいは時代背景を盛り込むための完全な創作なのか、確認していませんが、さりげない数行の記述に作品の深さを感じました。

脳の萎縮

一昨日放映のNHK番組「プロフェショナル」で、児童虐待の結果、子どもの脳を委縮させる影響があるという研究データがあることを知りました。この研究を行ったのは、熊本市出身の小児神経医です。学校は異なりますが、私と同学年世代の方でした。発達期の子どもの脳に影響がある不適切な養育には、当然その子どもの親たちの暮らしぶり、抱えるストレスが関わっていると思います。もっといえば、さまざまな社会の課題が親の行動にも関わっているかもしれません。不幸のトリクルダウンを感じました。

荻上チキ・Sesssion22

2018年11月1日(木)放送のTBSラジオ「荻上チキ・Sesssion22」に、水俣病センター相思社の常務理事の永野三智さんが出演し、1時間にわたって水俣病が特集されました。アーカイブ(TBSラジオCLOUD)において無料で聴くことが可能です。https://www.tbsradio.jp/309120

映画「ミナマタ」への期待

水俣病を世界に伝えた米国人写真家、故ユージン・スミス氏の生涯を描く映画「ミナマタ」(原題)が、米人気俳優のジョニー・デップさんの主演により今度制作されるそうです。生誕100年、没後40年となった先月、映画関係者が水俣病センター相思社の水俣病歴史考証館を訪れたそうです。同館には、ユージン氏が取材中にチッソ社員から暴行を受けた五井事件の資料展示もあります。ちょうど本日、水俣を訪ねました。写真は同館裏のクルミの木です。対岸の天草の島々が近くに見えるほどの快晴でした。

私たちが知らなかった声を聴く

水俣病センター相思社常務理事の永野三智さんが先月、著書『みな、やっとの思いで坂をのぼる 水俣病患者相談のいま』(ころから、1800円+税、2018年)を刊行しました。10月6日の朝日新聞読書面には、哲学者の野矢茂樹氏による同書の書評が「私たちが知らなかった声を聴く」という見出しで載っていました。心打たれる紹介でした。

低農薬りんご

水俣病センター相思社が例年行う長野県産低農薬りんご販売の注文受付が始まりました。紅玉、シナノスイート、ふじ、シナノゴールドの4種類を扱っています。箱サイズは5㎏、7㎏、10㎏と3種類あります。昨シーズンは、どの箱サイズでも送料が一緒なのでシナノスイート、ふじ、シナノゴールドの10㎏を注文しました。ただし、10kgだと個数が相当あり、1カ月内では消費できないので、今年はダウンサイズして注文しようと思います。りんごの食べ方は人それぞれの好みがあると思いますが、高校生の時の国体開催地が青森、長野と、りんごの産地だったこともあり、皮ごと丸かじりするのが、好きです。そのために歯の健康管理も気を付けています。

本日の地元紙読者投稿欄

本日の熊本日日新聞読者ひろば欄で私の投稿「水俣病事件史の基本教科書」を採用掲載いただきました。水俣病センター相思社のクラウドファンディングにも貢献できればと思います。投稿で取り上げた本の表紙を描かれた経営者の方とは、30年余前に当時勤務していた会社の営業先でしたので、名刺交換させてもらったことがあります。また、この方が中学生だったときの恩師が、私が高1のときの担任の美術の先生という縁もあります。さらに娘さんが大学での後輩にあたります。

相思社のCFプロジェクトが始まりました

水俣病センター相思社の水俣病歴史考証館改修を目指すクラウドファンディングプロジェクトが昨日から始まりました。7月末まで行われます。昨夜のNHK熊本のニュースでも紹介放送されました。プロジェクト成立を期待しています。マニュアルを読んでから申し込みましたが、FBユーザーなら簡単にログインできることや入力画面の紹介、入力時にクレジットカードや返金の際の口座情報が手元にあると便利なこともホームページで紹介があるとより親切かなとも思いました。

CF支援を

一度全国紙で紹介されていましたが、けさの地元紙でも水俣病センター相思社で展示施設の改修資金獲得を目的としたクラウドファンディング開始について紹介されていました。予定では6月18日からホームページにリンクを貼るということでした。今週は視察研修で刑務所を訪ねます。縫製や製茶、介護などさまざまな職業能力開発に入所者は取り組んでいるようです。出所後の活躍の場が増えることを期待しています。

世界の水銀汚染に目を向けよう

先日読了した『8のテーマで読む水俣病』では、「水銀に関する水俣条約の成立過程と問題点」の記述が、よくまとまっていて世界の水銀による環境汚染の問題を理解する上で、良好なテキストだと思いました。私が役員としてかかわっている水俣病センター相思社では、JICA研修の受託という形で海外の環境行政関係者等へのかかわりがありますが、相思社自体でも展示や講演活動の中で、この問題に対する情報発信を強化していくことが重要だと思いました。

犯罪と救済の実相

今、『8のテーマで読む水俣病』を読み進めています。編者が水俣病の入門書として書き下ろしたと言われる通り、平易な表現で水俣病の歴史を伝えていると感じます。なぜ被害が拡大したのかという犯罪の部分については、まず原因物質を海へ流し続けた企業の存在があります。次いで被害者が出ているにもかかわらず、因果関係を突き詰めず、排出を止めず、被害拡大に手を貸した行政犯罪の側面があります。さらには、後で自らも被害を受けていたことが分かるのですが、税収や雇用、消費で恩恵を受けていた住民自身が企業を擁護し続けたという住民自身の罪という面もあります。つまり、企業・行政・住民一体となった犯罪というのが実相です。いわば、誰もが犯罪者なのですから、いつまでも罪を認めようとしないため、救済はなかなか進まないという悲劇の歴史を辿ります。犯人たちを悔い改めさせ、救済に向かわせることは、たいへん困難です。被害が公式に発見されて60年以上経つのに未だにできるだけ救済対象を少なくしようとする努力だけは怠らないのです。水俣病とは水俣沿岸の漁業者家族たち特有の病気とのイメージが今も色濃く残っていますが、居住地を問わずメチル水銀に汚染された魚介類を摂取したのなら、外見の身体症状に関係なくすべてが被害者です。始末は何も付いていない政治の事件として国民は知るべきです。

8のテーマで読む水俣病

著者ご本人より『8のテーマで読む水俣病』(弦書房、2000円+税、2018年)刊行のご案内を受けましたので、紹介します。水俣病事件の読み解き方はいろんな面があるかと思います。私自身は職業柄も一国民という立場からも、行政や企業の犯罪を糺す後追い政治とそうした過ちを予防する理想実現のための先行政治の問題として追っていきたいと考えます。

何も反省していない

水俣病の原因企業チッソの社長が、5月1日の水俣病犠牲者慰霊式後に行った「救済は終わっている」との発言を、18日に撤回しました。ただし、発言したときは記者団を前に自ら滔滔と持論を展開したのに対して、撤回は水俣現地の部下が文書代読での回答でした。しかも、患者団体が辞任を求めたのに、それには応じないということでした。この経緯をみても本人の意思に変わりはないのだなというのが透けて見えます。同社が責任を認めずに被害を拡大させていた時期に入社して以来、被害者に向き合ってきたことはないような人がトップに座っていられる企業があるというのが、不思議です。筋金入りの犯罪企業といえます。異論があるなら慰霊式のときと同じように現地へ赴いて本人の口から発言し、トップから退いてもらいたいものです。

原点は何なのか分からない

民生委員制度創設100周年記念熊本県大会の来賓挨拶に立った知事が、人生で初めて民生委員と接したときのエピソードを語っていました。旧満州からの引揚者である貧しい農家の両親を訪ねてきた民生委員が、生活保護受給申請を勧めてくれたそうです。当時、知事は12歳の少年だったそうです。しかし、その頃は生活保護を受けると子どもが高校進学できなくなるので、両親は受給申請を断ったそうです。それでも、蒲島少年は他人の生活を思って動いてくれる人の存在を知って、民生委員の信条が今の知事としての信条として重なるというようなことを話していました。同じく今月1日の水俣病慰霊式で知事の政治の原点は、水俣にあると挨拶していました。チッソの社長が救済は終了したという持論展開にも同調はしていませんでしたが、今の患者認定のやり方を俯瞰すると救済の仕方に問題があります。果たしてどちらがあなたの原点なのかが分からないという気持ちです。

言葉の力

『苦海浄土』などの文学作品で知られる石牟礼道子さんが昨日永眠されました。いろんな評価があります。私も水俣病問題に触れ始めた当初多くの著作を読みました。他の誰にも真似できない言葉を発し続けてこられたと思います。被害者や支援者には響いたのですが、加害者にはその言葉がどこまで届いたのか、ということでは無力だったように思います。司法・立法・行政という三権の世界では使われない言葉の世界が石牟礼作品の世界だったわけで、これは反戦や反核、反原発問題でも同じで、権力や富の世界と日々の暮らしの世界との大きな溝を感じます。