在留資格 国際人材」カテゴリーアーカイブ

移民に選ばれる国といえるか

翁邦雄著『移民とAIは日本を変えるか』(慶應義塾大学出版会、2000円+税、2019年)を読みました。日本における人口減少は確定的未来ではなく、国民による選択の余地が大きいと著者は言います。移民の増加は人口ピラミッドの姿に大きな影響を与えつつあると見ています。ちなみに政府はしばしば移民政策はとらないとケムにまきますが、国際的定義によれば3カ月以上の移住を指しますので、技能実習生も移民として捉えます。そこで、移民に選ばれる国としての受け入れ体制が課題になります。統合ではなく包摂という考え方を示していました。一部に治安悪化を心配する向きがありますが、初めから犯罪目的で入国する外国人は少なく、劣悪な職場から逃れて生活困窮の結果、そしてしばしば日本語能力も貧弱なまま罪を犯したケースの多さに目を向けなくてはならないと思います。ドイツの移民政策やベトナムの国民性の情報も参考になりました。AIの進化については労働者の仕事を一部代替していく省力化で労働需要を一部緩和し、かつ労働需要を高賃金と低賃金とへ二極化させる可能性が高いと著者は言います。ただし、中期的視野で人口減少を相殺し、大失業を発生させる可能性は小さく、むしろ人口減少圧力がまさることが予想されると見ています。結果として移民への期待は今後も高まるというわけです。繰り返しになりますが、問題は移民に選ばれる国であるかどうかを考えなくてはなりません。

歴史のイロハ

昨日は、所属団体の研修受講で帰化申請と特定技能について学びました。前者については進めていくことが重要だと思います。しかし、後者についてはこの先不透明な制度だと考えています。社会を支えてくれる貴重な人材(労働者)として受け入れるだけでなく、社会に定着して共に生きる住民(生活者)として受け入れるべきだと思います。つい2000年前までは、文字すらもたなかった日本(その頃は日本という成り立ちもなかったわけですが)が今日のような形になったのも海外からいろんな人材や文化・技術を取り入れてきたからこそです。ここを無視して伝統だのいっても底が浅い歴史認識を示すことにほかなりません。もっとも移民で成り立っている米国でも分断傾向が見受けられるのは、知的劣化としか言いようがありません。

すべての業には時があるというが

昨日の姜尚中氏の講演で紹介された「すべての業には時がある」という言葉を心に刻み、その夜、若くして不慮の死を迎えた中国籍の知人の通夜に参列しました。来るべき時が来たというには、あまりにも痛ましい悲報でした。中国内では漢民族が政治権力を握っていますから、少数民族の故人には自分なりの思いがあって隣国で学び、事業を起こしていたのだと思います。通夜の親族による参列者の謝辞を通じて、故人が普段名乗っていた漢族風の氏名とは異なる、民族固有の故人の本当の氏名を初めて知りました。外国での葬送については遺族に戸惑いがあったかと思います。単に顔見知りという理由で呼ばれてきた浄土真宗東本願寺派の女性宗教家が、読経の後、法話に立ちましたが、時折場にまったくなじまない笑い顔で話すのが軽薄であり、参列者としては不快でたまりませんでした。
次に読む本は、アミン・マアルーフ『アイデンティティが人を殺す』(ちくま学芸文庫、1100円+税、2019年)です。一つのアイデンティティに過剰に帰属することの過ちや恐ろしさについてレバノン人の作家が考察しているエッセーのようです。なんとも書題がぶっそうですが、けさになって同書を手にしようと思ったのは、昨夜の不埒な宗教屋に対する憤りがあったのかもしれません。

留学生の就職先拡大について

昨日、法務省出入国在留管理庁より「留学生の就職支援のための法務省告示の改正について」のプレスリリースがありました。5月30日の施行となりますが、N1レベルの日本語能力試験に合格している外国人留学生であれば、大学で学んだ分野とは関係ない接客業への就職が可能になるとのことです。その場合の在留資格は特定活動となります。おそらく就職先の企業規模にもよりますが、最大5年の在留が認められます。もともと日本人であっても大学の卒業学科とは関係ない仕事に就く例はざらにあります。もっと職域が広がることを期待しています。

憲法記念日の翌日に

昨日は憲法記念日でした。熊本でも二つの憲法集会が開かれるのを知っていましたが、どちらも耳を傾けたい学者講師は出ないようなので、足を向けることはしませんでした。天皇制の将来についても現在の憲法が示す理念を知って、たとえば皇室典範の扱いも考えたいものです。現在の相続法の考えに照らすと、男子女子ということばかりでなく、まずは配偶者への承継という考え方が出ても良さそうです。日頃、外国人の在留に係る仕事をしていると、皇族にある立場の方々は、つくづく人権が制約されていると感じます。国民よりも外国人に近い立場なのではと思うこともあります。

日本国憲法遵守は国益要件

昨日、原子力規制委員会が、テロ対策が遅れている原発を保有する電力会社からの期限延長の求めを蹴ったニュースが流れました。規制委員会の方針は、真っ当なものだと考えます。電力会社の考えは国益に反する甘い考えだと思います。仕事がら外国人の永住や帰化申請について要件や条件を確認することがあるのですが、外国人に対しては憲法その他の法令順守、納税義務などが国益要件とされます。生まれながらの日本人が憲法遵守の宣誓を求められることは、公務員等を除いてあまり機会がありませんが、日本にずっと居住したい外国人や日本国籍を取得したい外国人には、高い倫理が求められるわけです。とにかく電力会社には猛省をうながしたいものです。

行政書士会のチラシその2

日本行政書士会連合会のマスコットキャラクター・ユキマサくんを使用したほんわかした仕上がりです。ウソではありません。

http://attempt.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/kansatsu2.pdf

寄り添うということ

本日は県議選の告示日となっています。正午現在、我が家の前にある立候補者の選挙ポスター掲示板を見ると、定員1人に対して現職1人のポスターしか貼ってなく、事前の報道通り無投票の可能性が高くなっています。無駄な経費がかからなくて良いという意見もありますが、公職として働く人の資質向上のためには、政策論争を通じた選択の機会があった方が長期的にはいいと思います。さて、そうした公職にある人が寄り添うという言葉をつかうときがありますが、そんなに簡単につかえない言葉だと思います。最近、いじめの問題や在留希望の外国人の問題と身近で接する機会があり、不利益を被る人の気持ちをくみ上げるのは難しく、それらの人を保護すべき人の思考を改めてもらうのもさらに難しいと感じています。特に保護すべき立場の方にわかってもらいたいのが、対処を誤れば当事者の生命に係るという点です。せめて代弁者になろうと思います。写真は、一昨日、甲佐町の特別養護老人ホーム前で撮った桜です。

外国人のための相談会

所属団体から本年4月から来年3月にかけての外国人のための在留資格・帰化についての無料相談会の相談員割り振り表が届きました。毎月第1水曜日の午後1~4時の間、熊本市国際交流会館2階カウンターで行われます。当職は、5月8日、7月3日、9月4日の3回携わります。一口に在留資格といっても難民認定申請などは、場合によっては当事者の生命に係る問題です。気を引き締めて相談に応じたいと思います。

入管法及び法務省設置法改正

在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設と出入国在留管理庁の設置等を内容とする「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が昨年12月8日成立し、同月14日に公布されています。施行は今年の春からになります。問題の多い技能実習生の監理団体に相当する新たな登録支援機関が、特定技能の外国人労働者を管理することとなります。その登録支援機関が、オンライン申請で管理事務を行うことになるようです。行政書士の出番は、そのオンライン申請の取次ができるようになってからが本格化すると思っています。

外国人は正しい日本語の使い手である

日本語教育の教科書に興味があり、取り寄せて最初の数ページを読んだところです。一読して思うのは、体系的な日本語を学習したら、外国人の方が自然に覚えた日本人よりも正しい日本語を使えるという確信でした。日本人が子ども時代に学習する日本語では、いきなり文法を教えてもらうことはありません。しかし、外国人の大人であれば、論理的な説明が理解できますから、これは正しいとか、これは誤っているとかの判断ができます。かえって大人の日本人は、いいかげんな日本語をふだんしゃべったり書いたりしているんだなという気持ちになりました。

外国人労働者の人権

今国会で審議されている入管法改正案については、入国してくる外国人はもちろんその家族の人権という観点から非常に問題が多いという印象を持っています。この法案のままでは自国民も不利益を被る部分もあります。どうしても管理というか、取り締まりの対象という視点が前面にあり、社会発展の協力者として接する、それこそおもてなしの精神が欠けているようで、あまりにも品格がない議論になっている気がします。

在留資格の無料相談

毎月第一水曜日の13~16時に、熊本市国際交流会館において熊本県行政書士会会員による在留資格や帰化申請などの無料相談を行っています。今月7日は当職が当番で対応します。相談希望の方は、同会館2階カウンターまでお越しください。

移民と国際正義

途中に他の本を読んでましたので、神島裕子著『正義とは何か』(中公新書、880円+税、2018年)の読了には日数を要しました。リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズム、フェミニズム、コスモポリタニズム、ナショナリズムの6つの思想潮流から正義とは何かと問うた著作で、西欧起源の歴史と哲学が現代政治に影響を及ぼしていることを改めて実感しました。その中で、今国会では事実上の移民政策とみられる入国管理法の改正について議論されており、移民と国際正義を考える意味で、コスモポリタニズムの考えには共感しました。外国人労働者が日本国内で住民として生活する以上、憲法で保障する基本的人権に制限があるべきではないと思います。たとえば、職業選択の自由であるとか、相応の賃金、家族の帯同などがそうです。逆に言えば、技能実習生は、これらの面で不当な扱いを受けています。日本経済や保険税金財政を助けてくれる人たちの生活者としての権利を守ることは、日本人労働者の処遇アップにも必ずつながると思います。

正義と自己決定権

1年ぶりに大分市を訪ねる機会がありました。夜、食事ついでにジュンク堂書店に立ち寄り、宮本憲一・白藤博行編著『翁長知事の遺志を継ぐ』(自治体研究社、600円+税、2018年)と滝澤三郎編著『世界の難民をたすける30の方法』(合同出版、1480円+税、2018年)を買い求めました。前著は環境法や行政法ひいては憲法上の観点からいかに国や司法が地方自治を蔑ろにしているかという問題提起を含んでいます。後著は難民の受け入れや難民との共生についてあまりにも知らないことが多い日本の国際感覚の貧困が提示されます。その中にあっても、現在、さまざまな支援が取り組まれています。意外にも敷居が高くない支援の携わり方もあるので、読者として勇気づけられる点もありました。2冊とも日本国民としての正義を考えさせられる本でした。

入国在留管理庁

昨日の読売新聞に現在は法務省入国管理局の組織を、今後さらなる増加が見込まれる入国在留申請に対応するため、外局の庁に格上げする方向で検討が進められているということでした。そうであれば、今後は安全性と利便性を両立させたネット申請システムの構築にも注力してほしいと思います。どのような分野でもこれから新しい国民が求められています。安全安心な暮らしを求める人との共存ができる社会への力にもなります。薩長同盟回顧の時代ではありません。

民法や入管法改正の動きのフォロー

業務に密接な法律の改正動向はたえずフォローしています。たとえば、民法では成人年齢が18歳に引き下げられようとしています。成立すれば施行は2022年4月1日となるそうです。今懸念されていることといえば、消費者被害での不利益です。たとえば、これまでは親の同意なしにクレジットカードを持つことはできませんでしたが、それができるようになります。婚姻届や(協議)離婚届には成人2名の証人が必要ですが、それも18歳の高校生が書類に署名捺印できるようになります。入管法では、技能実習後に建設や農業分野の在留資格で労働者として働ける道が開かれようとしています。こちらは早くも2019年4月の施行が目指されています。そうなると、そうした外国人労働者を指導できる管理者の存在の重要性も増してきます。一つ変われば、その影響はどうなるか、それを見越した動きが重要です。