昨日あたりから10月15日公示、10月27日投開票の日程での衆議院解散総選挙が取りざたされています。憲法54条1項には、衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、総選挙を行うこととされていますので、たとえ10月9日の解散であったとしても、総選挙の日は、11月17日でもいいわけです。まずなんでこのように詰めた日程での選挙を望むのでしょうか。野党に候補者の準備を与えない嫌がらせということが一つ言えると思います。
それとともに、これは選管と有権者への嫌がらせとなりかねないと考えます。かつて地元市の選挙管理委員を務めた経験からいえば、全国の選挙管理委員会事務局の負担は相当なものです。とりわけ能登地方のような豪雨被災からまもない自治体における投開票事務の準備の負担は相当重いと察せられます。
国政選挙ですから選挙実施に伴う経費は国から出ますが、市町村で実際に動くのは地元の職員や住民です。ポスター掲示場所や期日前投票所、当日投票所、開票所の確保準備に始まり、日程に合わせた選挙管理委員会の開催や投開票の管理者、立会人、事務従事者、機材の手配も必要になります。投票所となるのは、災害時の避難所を兼ねる施設がほとんどですから、避難住民を差し置いて設けることもできません。選挙人名簿登載住所と異なる住所に避難している住民も多いことでしょうし、指定投票所から離れていれば投票を諦める被災者が多くなるのではないでしょうか。支援を要する被災地の有権者の投票機会(=国民の権利)が損なわれかねない状況下で急いで選挙を強いることが、民主国家としてはたしてふさわしい政治なのか、マジメに考える必要があります。